ジャン=ピエール・ジュネ監督の代表作『アメリ』。

ジュネ監督の今までの作風といえば
ウィットに富んだダークファンタジーや
SF作品が多かったにもかかわらず、
『アメリ』は女性から多く人気を得た。

オシャレな作風というのもある。
ハイテクのカメラワークを駆使した
魅力的な映像もある。
でもそれだけでは万人に受け入れられない。

そこにはそのハイテク映像にも
負けないくらいの魅力的な登場人物がいるからだ。

主人公アメリはカフェで働く女の子。
ふとした事から、他人の人生にちょっとした
イタズラを仕掛けて幸せにしてあげる。

「幸せにしてあげる」という
なんとも上から目線。

その冒険の途中、難病で家に閉じこもり
絵ばかり描いているおじいさんと知り合う。
おじいさんはアメリに言います。
「自分の人生を生きなさい。
私みたいになってはいけない」
アメリは次の瞬間、
自分の恋愛と本気で向き合います。

おじいさんがアメリに忠告するのは
彼女がみんなから愛される人物だったから。

よくボランティア活動に夢中になる人がいます。
世のため人のためとなることなので
善行と言っていいのでしょうが、
とかくそういった人たちは
不幸な人生をむかえていく。

ボランティアに入る時の動機が、
失恋やら事業の失敗やら、自分探しなど、
ネガティブなところから
スタートしているのが気になる。

自分の人生の困難にぶつかったとき、
その苦しみからすぐ他者へ
向かってしまうのが問題なのかも。

今の自分より不幸な人をみつけて
その人を幸せにすることで、
自分の価値を見いだしていく。
そう言ってしまうと、とても残酷。

幸せとは、人からもらうものではない。
人に与えられるものでもない。
自分自身から見いだしていくもの。

思うんです。
人を幸せにしたいなら、
先ず自分が幸せになることが大事だと。
自分の人生にキチンと向き合うこと。

そうして自分が少しずつ
幸せになっていく姿を見た誰かが、
共感してくれればいい。
幸せは他人から押し付けられるものじゃない。

自分自身を幸せにすることが
どんなに大変な仕事だろうか。
一生かかっても出来るかどうか分からない。
人生かけた一大仕事です。

アメリは「幸せ配達人ごっこ」に興じて
不幸な人生をむかえるすんでのところで、
おじいさんに救われたわけです。