『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』 これぞうつ発生装置
90年代のテレビシリーズから
最近の『新劇場版』まで根強い人気が続く
『エヴァンゲリオン』。
自分はずっとリアルタイムで観ていた。
この作品、観賞後面白かったらしく
興奮状態になるのだけれど、
同時にものすごい倦怠感が襲ってくる。
寝込みたくなるような気分になる。
エンターテイメントでありながら
ものすごいネガティブパワーを孕んでいる。
自分はSFやファンタジーは好きなのだけれど、
どうも萌えとか少女趣味が苦手。
『エヴァンゲリオン』は聖書からの引用もあって、
SFとして面白い題材を扱っているのに、
女の子が出てこなければ
もっと面白いのに残念だな~
といつも感じているのだから、
世のファンからしてみれば邪道もいいところ。
SFと学園恋愛ものをミックスさせたこの作品。
思春期のドロドロとした不安定な心理も描いていて
そこが人気のポイントだったのかもしれない。
誰もが経験する思春期のトガッた感情。
これは一過性のもので、大人になれば
なんであんなめんどくさい
生き方をしていたのだろうと
恥ずかしくもなるのだ。
この作品は大手を切って、このドロドロを描いている。
『新劇場版』は若干前向きになってはいるけれど、
観賞後の倦怠感は相変わらず。
ネガティブオーラ全開。
『エヴァンゲリオン』が未熟な心理を肯定する
免罪符に使われているとさえ感じてしまう。
『新劇場版』の最新作『Q』を観に行くとき、
自分がこの作品に出会った頃、
登場人物のミサトさんは年上のお姉さんだったのが、
すっかり年下になってしまうのかと
重い気持ちになったが、さにあらず。
前作から14年の年月が過ぎた設定になり、
主人公・シンジは自覚していないのに
周囲から恐れられている。
あたかもフィリップKディックや夢野久作の小説のよう。
SFファンはニヤリとする展開だが、
アニメファンは振り落とされる。
制作者は一生懸命、良い意味でファンを裏切ろうとしているが、
当初4部作の予定が、なかなか完結編が発表されない。
なんでもここ数年、庵野秀明監督が
うつ病を患っていたとのこと。
『エヴァ』を観た時のあの倦怠感はうつの症状だったんだ!!
むしろうつ状態でよくあれだけの作品を作ったと思う。
とにかくこの作品、
うつ的症状は作品の副作用についてくるので、
鑑賞する時は要注意ですね。
関連記事
-
『愛がなんだ』 さらば自己肯定感
2019年の日本映画『愛がなんだ』が、若い女性を中心にヒットしていたという噂は、よく耳にして
-
『イレイザーヘッド』 狂気は日常のすぐそばに
渋谷のシネマライズが閉館した。自分が10代の頃からあしげく通っていた映画館。そういえば最近、
-
『ジュブナイル』インスパイア・フロム・ドラえもん
『ALWAYS』シリーズや『永遠の0』の 山崎貴監督の処女作『ジュブナイル』。
-
『チェンソーマン』 サブカル永劫回帰で見えたもの
マンガ『チェンソーマン』は、映画好きにはグッとくる内容だとは以前から聞いていた。絵柄からして
-
逆境も笑い飛ばせ! 日本人のユーモアセンスは!?『団地ともお』
『団地ともお』は小学生。 母親と中学生になる姉と 三人で団地暮らし。 父親
-
『さよなら銀河鉄道999』 見込みのある若者と後押しする大人
自分は若い時から年上が好きだった。もちろん軽蔑すべき人もいたけれど、自分の人生に大きく影響を
-
『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』ある意味これもゾンビ映画
『スターウォーズ』の実写初のスピンオフ作品『ローグ・ワン』。自分は『スターウォーズ』の大ファンだけど
-
『ゴーストバスターズ』ファミリー向け映画求む!
ずっと頓挫し続けてた『ゴーストバスターズ』の新作が、今年の夏公開される。ものごとって決まった
-
『ズートピア』理不尽な社会をすり抜ける術
ずっと観たかったディズニー映画『ズートピア』をやっと観ることができた。公開当時から本当にあちこちから
-
『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』アメコミみたいなアイツ
トム・クルーズが好きだ! 自分が映画を観るときに、監督で選ぶことはあっても、役者で決めることはほとん
- PREV
- 桜をみると思い出す『四月物語』
- NEXT
- 人を幸せにしたいなら、まず自分から『アメリ』