マンガ原作でも世界中の大人が評価した『アデル、ブルーは熱い色』
日本とフランスの文化は似てる。
カンヌ国際映画祭で最高賞であるパルムドールを受賞した『アデル、ブルーは熱い色』はグラフィックノベル(大人向けコミック)を原作にした映画。
同性愛の女学生の物語なので、日本で言うならボーイズラブものみたいなたぐいの作品なのかもしれない。
少女の恋愛ものにも関わらず、3時間という長尺のクレージーな映画。この長尺にだじろいでなかなか触手が伸びない作品ではあったが、やっとこさ鑑賞。
日本のマンガ原作ものはほとんどが若い人向けで、マンガチックな演出のまま映像化されるので、なかなか独自の作品としては観づらいもの。
このフランス映画は、ドラマチックな演出を排し、ドキュメンタリータッチで荒削りな作風。大人の鑑賞に堪えうる作品にしている。
クローズアップを駆使した映像は、自分たちの世界に留まった狭い視野の現れとして描かれているので、基本的には日本のマンガと、そうそう変わらない世界観なのだが、演出のセンスがいいので、世界的評価に繋がるんでしょうね。
フランスの若い子達は、自分の好き嫌いをハッキリ言えるのが偉いな~と感じてしまった。分からないことは多いだろうけど、とりあえず背伸びしてみせる姿勢。背伸びすることで、自然と身の丈が高くなっていくのでしょう。日本の若い子が、周りの目にビクビクしながら小さくなって言動しているのとはちと違う。
似たような世界観なのに、フランス人はずいぶん達観していて激しい。
ただもうすっかりオジサンになってしまった自分にとっては、若い女の子の恋愛なんてどーでもよかったりするのは本音でした。
まあエロとアートの間と言ったところでしょう。とにかく3時間の上映時間はやっぱりキツかった。
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