*

女による女のためのR18『ふがいない僕は空を見た』

公開日: : 最終更新日:2015/11/08 映画:ハ行,

t02200146_0450029913070893970

デンマークの監督ラース・フォン・トリアーは
ノルウェーでポルノの合法化の活動の際、発言している。
「女性も人がセックスをしている様を見るのが好きだが、
物語を無視してそこばかりをみせられるのを嫌う」

本作の原作は「女による女のためのR18文学賞」をとった
窪美澄さん著の短編からなる連作。
同じ時間軸を各章、主人公をかえ、
すべて一人称で描かれている。

性に溺れて行く物語で、
ハッピーエンドになるはずもない。

「バカな恋愛をしたことのない奴がいるか」
と本編中の台詞でもあるが、その類いの恋愛像。

よく若い頃は「映画やドラマみたいな恋がしたい」
と言うが、本当の恋愛というものは
それほどドラマチックなものではない。
波瀾万丈でない方が幸せな恋愛なのだ。

シナリオ学校に通っていたとき、
講師が言っていました。

「ドラマは面白おかしくみせるために、
毎回ハプニングを考え、織り込んでいく。
日常でこんな事がいつも起こってしまっては、
普通の生活はできなくなる。
映画やドラマみたいな恋は反面教師にしてください」

現実世界と創作物語とは本来違うもの。
この違いは今までは誰もが了解済みで
映画やドラマを観ていたと思う。
いつからかその垣根がごちゃ混ぜになってしまったか。

現実の恋愛や結婚がどいったものか、
自分の頃は人生の先輩がそれとなく
教えてくれていたと思うが、
今はそんな先輩もいなくなっているかも知れない。

20代はじめの頃、勤めていた会社で、
同年代の子たちの社内恋愛が加熱して、
収集つかなくなったことがある。

自分はなんとなく遠目でみていた。
結局傷害事件みたいになってしまった。

「お前は映画や本をよく読んでいるから
おかしな事はしないんだな」と上司に言われた。
自分は単純に恐がりなだけだけど……。

この作品、映画と原作のブレはない。
原作だけ映画だけの場面もあるが、どちらも良かった。
映画化で作品の根幹が揺らぐ事はなかったのです。

テーマは「性と生」。

監督は女流のタナダユキさん。
原作も女性、監督も女性ということで
読後観賞後の印象を変える事なく、
ドロドロの世界観にもであっても、
女性らしい美しい作品に仕上がったのだと思います。

思うのは、いまやアニメとエロは
ほぼ同義語となってしまっているようです。

関連記事

『ほぉ…、ここがちきゅうのほいくえんか』大人よりも子どもの方が真実を知っている

20代後半の男性保育士さんが、 園児たちの何気ない言葉、 ハッとした言葉を綴った Tw

記事を読む

女性が生きづらい世の中じゃね……『ブリジット・ジョーンズの日記』

日本の都会でマナーが悪いワーストワンは ついこの間まではおじさんがダントツでしたが、 最

記事を読む

『おやすみなさいダース・ヴェイダー』SWファンもすっかりパパさ

ジェフリー・ブラウン著『おやすみなさいダース・ヴェイダー』。 スターウォーズの暗黒卿ダース

記事を読む

『あしたのジョー』は死んだのか?

先日『あしたのジョー』の主人公矢吹丈の ライバル・力石徹役の仲村秀生氏が亡くなりました。

記事を読む

『桐島、部活やめるってよ』スクールカーストの最下層にいたあの頃の自分

原作小説と映画化、 映画公開後もものすごく話題になり、 日本アカデミー賞を総なめにした

記事を読む

『キングコング 髑髏島の巨神』映画体験と実体験と

https://news.walkerplus.comhttp://wwws.warnerbros

記事を読む

『ベイマックス』を起爆剤に日本も!! その2

日本人でエンタメ大国アメリカで、 日本のアニメスタジオ作って、 世界発信すればいいのに。

記事を読む

『裸足の季節』あなたのためという罠

トルコの女流監督デニズ・ガムゼ・エルギュヴェンが撮ったガーリームービー。一見した画面の印象は

記事を読む

『パンダコパンダ』自由と孤独を越えて

from:http://www.cinematoday.jp/movie/T0005919[/ca

記事を読む

『炎628』戦争映画に突き動かす動機

『炎628』は日本では珍しい旧ソビエト映画。かつて友人に勧められた作品。ヘビーな作品なので、

記事を読む

『Ryuichi Sakamoto : CODA』やるべきことは冷静さの向こう側にある

http://ryuichisakamoto-coda.com/[/

『マイティ・ソー バトルロイヤル』儲け主義時代を楽しむには?

http://marvel.disney.co.jp/movie/t

『わたしを離さないで』自分だけ良ければいいの犠牲

今年のノーベル文学賞を受賞したカズオ・イシグロ原作の映画『わたしを

『ブレードランナー2049』映画への接し方の分岐点

http://www.bladerunner2049.jp/[/ca

『トロールズ』これって文化的鎖国の始まり?

配信チャンネルの目玉コーナーから、うちの子どもたちが『トロール

→もっと見る

PAGE TOP ↑