*

核時代の予言だったのか?『ストーカー』

公開日: : 最終更新日:2015/11/08 映画:サ行

t02200162_0544040013228236654

この映画のタイトル『ストーカー』は
いま世間的に流布している
特定の人につきまとう
行為や人の意味ではないのです。
発音も違うし。

これは旧ソ連時代の1979年の
アンドレイ・タルコフスキー監督のSF作品。

以前になにがしらの大きな事故があって、
立ち入り禁止区域になった場所にある
『部屋』にたどり着けば、願いが何でも叶うと言う。
その立ち入り禁止区域『ゾーン』への
道先案内人を『ストーカー』と呼ぶ。

この映画は自分は10代の時、
深夜のテレビで観ていた。

タルコフスキーの演出は観念的で、
ワンカット長回し。
陰鬱ながらも美しい映像と、
延々水のしたたる音がしているような
静かな映画。
眠くならない訳がない。

自分もこの映画、いまだに夢だったのか
実際に映画の中にあった場面なのか、
記憶がごちゃ混ぜになっている。

宮崎駿監督もどうやらこの映画の
テレビオンエアを観ていたらしく、
インタビュー集『風の帰る場所』のなかでも、
「凄い映画だと一瞬で分かりました。
でも全篇は観てない。
凄いのが分かったので、もういいんです」
と言っています。

実際この映画、
全篇通して観ようが、部分的に観ようが、
分かると言えば分かるし、
分からないと言えば分からない。
そんな不思議な映画。

この『ゾーン』と呼ばれる立ち入り禁止区域。
こんなものはSF設定の世界のみと
当時の自分は思っていたのだが、
この映画の後、1986年にチェルノブイリの事故が起こり、
本当に旧ソ連では立ち入り禁止区域が出来てしまった。

タルコフスキーはインタビューでも
「自分自身の存在が芸術だ」と語っています。
何かの予兆を感じて
この映画を作ったのかも知れません。

タルコフスキー作品は
政治的な意味合いの映画もあり、
旧ソ連にはいられなくなり、
晩年は海外を流転しながら作品を
作っていたタルコフスキー監督。

当時の旧ソ連の状況からすると
命がけの芸術表現だったことでしょう。

そして日本も福島原発事故で、
所謂『ゾーン』が生まれてしまった。

いつのまにか原発事故もなかったかのごとく
報道されなくなってきましたが、
チェルノブイリの影響は、
事故の5~6年後に
人々の体に表れてきたとのこと。

福島原発事故が2011年3月11日なので、
この2015年から2016年ぐらいから
発病なり奇形児なりが生まれてくる事になる。
何事も無いことを祈りたい。

芸術家たちが放つビジョンは、
良い事も悪い事も
現実になっちゃうことが多いので、要注意です。

関連記事

『シン・レッド・ライン』美しい場所ほど悲惨な戦場だったりする

  自然が美しい場所ほど、過去に激戦地だったりする。 とこく今ではリゾート

記事を読む

どこへいった? スプラッターブーム!?『13日の金曜日』

『13日の金曜日』というとキリストが 処刑された日として、キリスト教徒からは 不吉な人さ

記事を読む

『ズートピア』理不尽な社会をすり抜ける術

variety.com[/caption] ずっと観たかったディズニー映画『ズートピア』をや

記事を読む

『ジュブナイル』インスパイア・フロム・ドラえもん

『ALWAYS』シリーズや『永遠の0』の 山崎貴監督の処女作『ジュブナイル』。 この

記事を読む

『そして父になる』子役にはドキュメンタリー、大人にはエチュード

映画『そして父になる』は気になる作品。 自分も父親だから。 6年間育てていた自分の息

記事を読む

『シング・ストリート』海の向こう、おなじ年代おなじ時代

映画『シング・ストリート』は、事前にかなりの評判を耳にしていた。「はやくも今年ナンバーワンの

記事を読む

桜をみると思い出す『四月物語』

4月、桜の季節ということと、 主演の松たか子さんが 第一子誕生ということで、 岩井俊二

記事を読む

『サクリファイス』日本に傾倒した核戦争の世界

旧ソ連出身のアンドレイ・タルコフスキー監督が、亡命して各国を流転しながら映画をつくっていた遺作と

記事を読む

『シン・ゴジラ』まだ日本(映画)も捨てたもんじゃない!

from : www.oricon.co.jp/(C)2016 TOHO CO.,LTD.[/ca

記事を読む

『猿の惑星:新世紀』破滅への未来予測とユーモア

2011年から始まった『猿の惑星』のリブートシリーズ第二弾にあたる『猿の惑星:新世紀』。前作

記事を読む

『Ryuichi Sakamoto : CODA』やるべきことは冷静さの向こう側にある

http://ryuichisakamoto-coda.com/[/

『マイティ・ソー バトルロイヤル』儲け主義時代を楽しむには?

http://marvel.disney.co.jp/movie/t

『わたしを離さないで』自分だけ良ければいいの犠牲

今年のノーベル文学賞を受賞したカズオ・イシグロ原作の映画『わたしを

『ブレードランナー2049』映画への接し方の分岐点

http://www.bladerunner2049.jp/[/ca

『トロールズ』これって文化的鎖国の始まり?

配信チャンネルの目玉コーナーから、うちの子どもたちが『トロール

→もっと見る

PAGE TOP ↑