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『Mr.インクレディブル』好きな仕事に就くこと

公開日: : アニメ, 映画:マ行

今年続編が公開される予定のピクサー2004年の映画『Mr.インクレディブル』。もうあれから14年も経つのか。まだあの頃は独身だった。劇場公開時、他の映画とハシゴして観たっけ。もう一本の作品は邦画で、あまりにつまらなくて体調が悪くなってきていた。無理してこの『Mr.インクレディブル』を観たら、ものすごく元気になってしまった。おもしろい映画というのは、気持ちだけでなく体調まで良くさせてしまう!

2018年のハリウッドでは、まさにスーパーヒーロー映画ブーム。その先駆けとなった『Mr.インクレディブル』。いつのまにかピクサーもマーベルも、FOXまでもがディズニー傘下になってしまった。本作は、さまざまな作品からのオマージュが満載。いま、すべてがディズニーに集約されてしまったのは意味深い。もしかしたら、いま人気のマーベル・ヒーローものより、『Mr.インクレディブル』の方がおもしろいんじゃないか?

この名作を6歳の息子にぜひ紹介したくて、あらためて鑑賞してみた。

日進月歩のハリウッドのCGアニメに慣れてしまうと、14年前の作品はさすがに技術的には古いと、映画の冒頭では感じるのだが、ストーリー展開のおもしろさやキャラクターの細かい芝居にグイグイ引き込まれて、その時代の技術的な壁はなんなく飛び越えてしまう。ウェルメイドとはまさにこのこと。

スーパーヒーローたちが、その能力を封印しなければならない社会の話。Mr.インクレディブルことボブは、保険会社の窓口で毎日つまらない仕事をしている。上司は「お客のために働くな。会社の利益のため、会社の株主のためだけに働け」と言う。

映画を初めて観たときは、フィクションとはいえ、酷い会社だな〜と思っていた。この14年の間に自分も人生の節目をいくつか経験して、ときには大きな買い物もしなければならないこともあった。そこで度々感じるのは、大きな買い物であればあるほど、売り手側の会社は、客のためには働いてくれないということ。

自社の取り分には迅速に動くけれど、客の要望などは、こちらから発しなければ耳を傾けてはくれない。窓口の人間は、客のためではなく、会社の利益と上司の顔色伺いのために仕事をこなす。だから客から感謝されるどころか、憎まれることもある。そんな会社で働く人たちは、誰もが目が死んでいて、やる気がない。

難しい試験を通過して今の職に就いたとか、安定収入が約束されているからと、引き返せないところにいるのかもしれない。惰性で仕事されては、客側はたまったものではない。本来ならそんな会社は淘汰されるべきだ。

ボブはそんな手前勝手な思考の上司に反発して、仕事をクビになってしまう。そのさなか、ふたたびスーパーヒーローの仕事をしないかと、謎の組織からヘッドハンティングされる。Mr.インクレディブルの再起動。

ボブは毎日が楽しくなって、ワークアウトに励む。上機嫌で家族にハグやキスしまくってる。好きな仕事に就ければ、人生バラ色。出てきた腹も引っ込むけど、久しぶり会った元同僚のスーツデザイナーには「太ったね」と言われるのがリアル。やっぱり年齢は隠せない。

よく富裕層の立場のある人から、「仕事を選ばなければ、いくらでも職はある」という言葉を聞く。でも、職を選ばないのは良いことではない。どんな仕事に就いても、楽しく明るくやっていけるメンタルの強さを持っているならまだしも、普通の人なら、嫌な仕事ばかりしていると、どんどん荒んでいってしまう。

やりたい仕事に就いて大活躍せよと、極端な夢を語るのではない。そんな夢物語に取り憑かれると詐欺にあう。まずはこれなら毎日やっていけそうな仕事を探す。地道なこと。不景気な今の世の中では、堅実さは必要だ。

ブラック会社で働くブラック社員にならない強い意志。自分できちんと考えて仕事をする人が増えれば、ブラック会社はやっていけなくなって潰れていく。ブラック会社に自分の能力を使わせてしまうのは、社会悪に貢献するのと同義。そりゃあ人生が開けるわけもない。ハッピーとはほど遠い。

果たして自分は、こんな仕事をするために生まれきたのかと、かえりみえることができるかどうかが人生の分かれ道。

そして、人が嫌がるけれども社会に重要な仕事においては、本当に価値が上がり、そういった職に就く人は高給を貰える世の中が理想だろう。

どんな仕事に就いても辛いことはある。ならば少しでも自分が生きやすさを感じられる仕事を選ぶことが大切だ。自分が人生にハッピーを感じることと、社会が良い方向に向かっていくこととは、ピッタリ繋がっている。

映画ではスーパーヒーローの家族たちが、紆余曲折しながら、おのれの使命に気づいていく。中盤でバラバラになっていた家族が一同に会し、ファイティングポーズをとってワンカットに収まる場面がある。ヒーローショット。なんとも言えないカタルシス!

監督は、のちに『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』も撮ったブラッド・バード。アクション映画のツボをよくわきまえてる。製作総指揮には最近セクハラで訴えられたジョン・ラセター。作品を汚してくれたもんだ。ラセターは今までディズニーのCGアニメすべてに名を連ねてたけど、今後はどうなるのだろう?

6歳になる息子は、やっぱりこの映画を気に入ってくれた。インクレディブル一家の家族構成、我が家にも似てるし。「パパはどのヒーローが好き?」と聞いてきたので、「ジャック=ジャックかな〜」と答えたら、息子はフロズンがお気に入りとのこと。こっちも変化球投げたつもりだったが、息子くん、なかなかシブい趣味だ。

映画に出てくる悪徳保険会社の上司や、スーツデザイナーは日本人がモデルだろう。後者のアーティスティックなイメージはいいとしても、前者のステレオタイプはちっとも関心しない。このイメージは日本の恥だから、努力して払拭していかないといけない。

『Mr.インクレディブル』のDVDは図書館で借りてきた。息子はこの映画を気に入って、「返さないで」って頼んでる。『Mr.インクレディブル』は、自分も好きな作品だから、コレクションには加えるのはやぶさかではない。でもディズニーのソフトって、廉価版は出さない方針で、いつまでたっても高いんだよね。ついつい購入に躊躇してしまう。ディズニーさん、いいかげんなんとかなりませんかね?

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