『若草物語(1994年)』本や活字が伝える真理

読書は人生に大切なものだと思っている。だから自分の子どもたちには読書を勧めている。
よく「マンガも読書」という人もいるが、活字を読んでいくことと、マンガを読んでいくことでは、どうも脳ミソの動きが違うように感じる。夜寝る前に活字を読んでいると、どんなにそれが面白くとも、眠気に誘われることがある。でも、マンガなど読んでしまったら、興奮して寝るどころではなくなってしまう。強烈な絵とセリフで刺激を受けてしまう。マンガはハマると中毒性も強い。
夏になると子どもと一緒に同じ本を読むのが恒例になってきた。世界の名作と言われている古典文学でも、読んでいるつもりになって未読の作品も多い。小学校高学年の娘の今年のセレクトは、オルコットの『若草物語』。まず最初にアニメ化された『世界名作劇場』の『愛の若草物語』から鑑賞。
このアニメは、四人姉妹の少女時代に絞られたもの。それを1年間放送分の50話にまとめたので、水増しストーリー展開。なかなか先に進まない。原作はまだまだ続きがある。うちの子たちも、この四姉妹の行く末が気になって仕方がない。
次に観たのが1994年に映画化されたバージョン。主人公の次女ジョーをウィノナ・ライダーが演じてる。というより、当時ハリウッドで人気があった若手俳優が、オールスターキャストで揃ってる。末娘のエイミーの幼少時代をキルスティン・ダンストが演っているのも驚きだ。古典離れの客層を引き込む作戦だったのだろう。南北戦争時代を描いた作品なのに、1990年代当時のハリウッドの流行がそのまま見えてくるのが不思議。
映像化作品が多数ある場合は、みくらべたくなるもの。同じ原作にも関わらず、それぞれ描かれ方が違うのが趣深い。そうなると、原作小説にますます興味が湧いてくる。
少女時代から始まる『若草物語』。子どもたちは、自分に年齢の近い登場人物たちに感情移入していく。そして続編へと進んでいくことで、登場人物たちも大人になっていく。子どもたちは、成長していく登場人物たちと、自分の将来を重ねていく。読書を通して、大人になった自分の姿を模索していく。ただ漠然と大人になっていくのではなく、何かになるにはどうしたらいいのか考える。自分ならどうするか?
『若草物語』をオルコットが執筆したのは150年以上前。フィクションの姿を借りながら、半自伝のエッセイを書いている感覚だ。
何気ない四姉妹のやりとりが、当時の生活を語り継ぐ貴重な資料となる。そこには150年の年月や国境文化も超えてしまう。タイムスリップして、オルコットその人と直接対話できる。これこそ本の醍醐味だ。
臨床心理士の信田さよ子さんの著書で、金銭トラブルや家庭紛争で裁判沙汰になる人たちは比較的、読書不足だとあった。人生を如何にスムーズにおくれるかどうかは、読書量と比例している。
そりゃあ不慮のトラブルで裁判沙汰になってしまうこともあるだろう。でも、日頃から用心を心得ている人は、トラブルの匂いを察知し、上手に距離を置く。仮にトラブルに巻き込まれても、読書によって人生のパターンを多く知っていれば、さほど慌てずに行動できる。
読書が人生のリスクヘッジになるというのは、とても説得力がある。本はさまざまな人が、十人十色さまざまな意図で書かれている。なにか悪意のある文章は、読者の心も荒ませる。ときとしてフィクションである小説の方が、ノンフィクションよりも真理を伝えていたりするものだ。
テレビや映画など、多くの人が作り出すメディアでは、情報が整理されている。極端な思想に偏っていると商売にならないので、比較的マイルドに仕上がっている。テレビや映画で扱われたテーマを知りたいなら、自分であとから調べた方がいい。メディアで描かれているものは、すでに製作者やスポンサーの意図が介在している。商売第一主義の情報。
書店で平積みにされているベストセラーであっても、反社会的な内容だったり、犯罪を助長しようとする内容だったりする。こんなエグい内容のもの、普通に店で売ってていいの?と仰天してしまう。倫理や検閲なんてあってないようなものだとつくづく感じる。ためにならない本が売っていることを知った十代のころ、初めは憤りを覚えたが、このエグさが読書の魅力なのだと途中で気がついた。
人生など光と陰の表裏一体。清濁一緒くた。醜いものを知って、それでも美しいものを選んでいく感性を磨いていく。それは自分自身でしかできないこと。学校や他者では教えられない。
バラバラの種類の本を読んでいたら、あるときそれらの全てが一つにつながる瞬間があると、よく読書家の人から聞く。自分はまだその境地には達していないが、そうなると真理はひとつしかないということなのだろうか?
そういえば『若草物語』の新しい映画がいま製作されているらしい。なんでも『レディ・バード』の監督主演コンビとか。長女メグ役はエマ・ワトソンが演るらしい。こちらも楽しみだ。
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