『めがね』 デジタルデトックスのススメ
公開日:
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最終更新日:2022/04/23
映画:マ行
荻上直子監督の前作『かもめ食堂』のヒットを受け継いで、ほとんどキャストも同じのこの映画『めがね』。
都会人女性のスローライフへの願望をかなえようとする映画の試み。このキャストで別監督で類似作品がのちに続々と作られていったけど、やはり荻上監督の視点とは違っていて、表層だけをまねた亜流作品ばかりとなっている。
映画のタイトル『めがね』の通り、登場人物全員が眼鏡をかけている。都会から逃げるように与論島に訪れた小林聡美さん演じる主人公。
たどりついた宿の主は言う。「ここは携帯がつながらないんですよ。いいでしょ?」
登場人物の生い立ちは一切語られないこの映画。みんなが眼鏡をかけている事が象徴するように、彼女らは都会ではエリートだったとは伺える。
それでもぼんやりたそがれたり、ルーズに生きる事に人生をみつめなおす。風が気持ちよかったり、料理やビールがうまいことの幸せ。2007年の公開当時には少し早かった感がするこの映画のテーマ、今だとちょうどいい。
SNSの進歩がみんなを疲れさせてる。
なんでもネットばかりで情報収集していると、小脳が退化して、物事を考えなくなるそうです。情報過多で刺激はあれど、実際に自分で考える能力がなくなってしまう。
ネット上で繰り広げられる、低次元な会話はこれが原因なのかも?
IT大国間国や中国では、『デジタルデトックスツアー』なるものも流行っているらしです。意識的にITから離れることで、停止していた小脳も動き始めるそうです。
この映画みたいに極端にスローライフにチェンジしなくとも、意図的に日々の生活の中に、休んで行く工夫は必要そうですね。
近いうちPCやスマホにすがるのはダサいことになるでしょうね。
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