『かぐや姫の物語』 かの姫はセレブの国からやってきた
先日テレビで放送した『かぐや姫の物語』。
録画しておこうかと自分が提案したら家族が猛反対。でも実際かけてみるとこれが家族みんなから好評。ジブリ作品では『トトロ』や『魔女の宅急便』に次ぐ好評ぶり。
CMの雰囲気では暗い御涙頂戴作品の印象だったらしい。
実際の映画はコメディ要素が多く、日本のアニメは動かないのが特徴にも関わらず、この作品はキャラクターが良いお芝居をするので、小さな子どもでも飽きる事なく観ることができるみたい。
作中からは権力や金、美の追求の無意味さが伝わってくる。男がつくった社会の虚栄の空虚さ。
もし女性がつくる世の中なら、美味しいものをみんなで食べられ、子どもが育てやすい環境にすることを重視する事でしょう。翁はひとたび財を手にすると、どん欲に権力に惹かされて行く。これは翁が貧乏に苦しんだからこそ、金や力に執着するのであろう。
身分の高い人たちもこの映画では愚かしいつまらない人々として描かれている。
さもオリジナルキャラクターの捨丸がいちばん理想的な生き方なのではとさえ思えてしまう。貧乏だけど家族がいて、そこそこ幸せ。夢を見る事もなく、日々過ごすのがやっと。
作中からは共産主義的な「みんな平等が幸せ」という声が聞こえてくる。
かぐや姫も、貧乏暮らしでも実感のある生き方を望む。そこで迎えにきた月上人たちが不可解な顔をする。こんな汚れた地にいてもしょうがないじゃないって。
かぐや姫が貧乏暮らしでもいいよって簡単にいえるのは、彼女が本当の貧困生活を経験していないから。豊かな生活をしていると、原始的な生活に憧れる。
ロハスもスローライフもセレブから誕生した文化。
本当に貧しい人は、原始的な生活から脱しようと奮闘する。捨丸がそこそこの生活で、それ以上の欲をみせず、がんばってもしょうがないとそのまま静かに一生を終える事を良しとしているかにみえる。
でもみんなこの考え方では、人類が衰退してしまう。いきすぎる欲は身を滅ぼすが、やはりがんばったらがんばっただけの成果が得られる資本主義的な考え方だって必要。
一生のうち、いちども頑張る事なかったらなんのために生きてるのってことにもなる。
草食というか無気力の言い訳を、無意識のうちにこの映画がしてしまっているようにも感じる。
さて、本当に幸せな人生って、なんだろう?
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