*

『さよなら銀河鉄道999』 見込みのある若者と後押しする大人

公開日: : 最終更新日:2021/05/11 アニメ, 映画:サ行

自分は若い時から年上が好きだった。もちろん軽蔑すべき人もいたけれど、自分の人生に大きく影響を与えた尊敬すべき人生の先輩との出会いは、自分の人生の宝。

人間誰しもそういった年長者たちとの出会いがあるものだと思っていたが、どうやら背中をみせてくれる大人との出会いがないまま、中年になってしまった人も意外と多くて愕然としてしまいます。どうやら人との出会いも才能のひとつらしい。

自分が20代はじめに入った会社では、社長をはじめ中堅社員から厳しく教育をされたものです。厳しいがゆえ「なんで自分ばかりが!」と上司達を恨みもしましたが、なんとなくこれに従うべきだと感覚的に理解していました。自分はその会社は辞めてしまったけれど、そのとき一緒にスパルタ教育されていたもうひとりの同僚は、いまその会社の社長になっています。今になって思うと、あのとき上司達は自分を見込んでくれていたのかも知れません。

アニメ映画『さよなら銀河鉄道999』。前作のヒットを受けてのスタッフキャスト再結成の作品。原作にもなかった、旅のその後の世界。機械化人間と生身の人間が全面戦争をしている。

前作で栄華を極めた未来都市も廃墟となる激戦地と化している事に驚く。この未来描写は後の『ターミネーター』にも影響を与えているだろう。

どうやら人間は機械化人間との戦いに劣勢。主人公・鉄郎も反乱軍の最年少兵として戦っている。そんな中、鉄郎は旅立ちを決意する。そこで先輩レジスタンス達は命がけで鉄郎を999に乗せるためにステーションへ向かうのです。みんな旅立つ若者・鉄郎の盾になってボロぞうきんのように死んでいくのです。

子どもの頃、鉄郎に感情移入してみているので、主人公は死なずにサブキャラが死んでいくくらいにしか観ていなかったけれど、若者ではなくなった現在、若者の背中を押す大人の方の気持ちで観てしまう。

どうせ負け戦で死ぬのなら、見込みのある若者に託して死んだ方がいい。
そろそろ継承を考える時期かとぼやいたら、人にまだ早いって笑われちゃいましたけどね。

昔はもっとカッコいい大人がいたのかもしれない。平均寿命ものびて、ずっと若いまま歳ばかり重ねた今の大人たち。果たして自分はカッコいい大人になれているだろうか?

関連記事

『BLUE GIANT』 映画で人生棚卸し

毎年年末になると、映画ファンのSNSでは、その年に観た映画の自身のベスト10を挙げるのが流行

記事を読む

no image

自国の暗部もエンタメにする『ゼロ・ダーク・サーティ』

  アメリカのビン・ラディン暗殺の様子を スリリングに描いたリアリスティック作品。

記事を読む

『ジョーカー』時代が求めた自己憐憫ガス抜き映画

めちゃめちゃ話題になってる映画『ジョーカー』。ハリウッド映画のアメコミ・ヒーロー・ブームに乗

記事を読む

『SAND LAND』 自分がやりたいことと世が求めるもの

漫画家の鳥山明さんが亡くなった。この数年、自分が子どものころに影響を受けた表現者たちが、相次

記事を読む

『斉木楠雄のΨ難』生きづらさと早口と

ネット広告でやたらと『斉木楠雄のΨ難』というアニメを推してくる。Netflix独占で新シーズ

記事を読む

『マッドマックス フュリオサ』 深入りしない関係

自分は『マッドマックス 怒りのデス・ロード』が大好きだ。『マッドマックス フュリオサ』は、そ

記事を読む

『チ。 ー地球の運動についてー』 夢に殉ずる夢をみる

マンガの『チ。』の存在を知ったのは、電車の吊り広告だった。『チ。』というへんなタイトルがキャ

記事を読む

no image

『世界の中心で、愛をさけぶ』 フラグ付きで安定の涙

  新作『海街diary』も好調の長澤まさみさんの出世作『世界の中心で、愛をさけぶ』

記事を読む

no image

それを言っちゃおしまいよ『ザ・エージェント』

社会人として働いていると「それを言っちゃおしまいよ」という場面は多々ある。効率や人道的な部分で、これ

記事を読む

『千と千尋の神隠し』子どもが主役だけど、実は大人向け

言わずもがなスタジオジブリの代表作。 フランスのカンヌ映画祭や アメリカのアカデミー賞も

記事を読む

『アバウト・タイム 愛おしい時間について』 普通に生きるという特殊能力

リチャード・カーティス監督の『アバウト・タイム』は、ときどき話

『ヒックとドラゴン(2025年)』 自分の居場所をつくる方法

アメリカのアニメスタジオ・ドリームワークス制作の『ヒックとドラ

『世にも怪奇な物語』 怪奇現象と幻覚

『世にも怪奇な物語』と聞くと、フジテレビで不定期に放送している

『大長編 タローマン 万博大爆発』 脳がバグる本気の厨二病悪夢

『タローマン』の映画を観に行ってしまった。そもそも『タローマン

『cocoon』 くだらなくてかわいくてきれいなもの

自分は電子音楽が好き。最近では牛尾憲輔さんの音楽をよく聴いてい

→もっと見る

PAGE TOP ↑