『アントマン』ちっちゃくなってどう闘うの?
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最終更新日:2019/06/12
映画:ア行
マーベルのスーパーヒーロー集団『アベンジャーズ』が集結する『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』がもうすぐ日本でも公開する。『キャプテン・アメリカ』の前作『ウィンター・ソルジャー』も面白かったので、期待は膨らむばかり。『シビル・ウォー』には新しい『スパイダーマン』も登場するが、『アントマン』も出るらしい。そうなるともう『アベンジャーズ3』みたいなもんだ。
自分は『アベンジャーズ』を初めて観たとき、『アイアンマン』と『インクレディブル・ハルク』しか観ておらず、『マイティ・ソー』は未見だった。悪役のロキの存在が理解できず、とても寂しい思いをしてしまった。なので『シビル・ウォー』の予習を含めて、大急ぎで『アントマン』を観ることにした。映画選びの動機としては変わってる。なんかノルマみたい。どうしてこんな労力を感じてしまうのだろう?
マーベルがディズニー傘下に入ってから、この『アベンジャーズ』プロジェクトが始まった。マーベルの映画シリーズは、すべて繋がっていて、大きな大河ドラマみたいになってる。もう数ヶ月おきに発表されるマーベル映画が、年間行事のごとく消化していくようになってしまった。公開された時系列順に観ないと、ネタバレになっちゃう。映画一本一本に思い入れを深めていくというよりは、次々発表されるシリーズ新作に乗り遅れまいとするのがやっと。消費社会の象徴とも言える。
競合のDCコミックスも対抗して、スーパーヒーローものに力を入れ始めている。『バットマン vs スーパーマン』や『スーサイド・スクワッド』なんかは、完全に大人をターゲットにしている。昨今のスーパーヒーローものブームにちょっと疲れを感じ始めている自分もいたりして。
このスーパーヒーローものとかファンタジーものとかって、観客も作り手もどっかでバカバカしさを忘れてはいけないのだと思うのです。大の大人がコスプレして、空飛んだりビーム出したりしてるんだから、冷静に考えたらしょーもないわけです。ここの距離感をはきちがえると、イタイことになっちゃう。ほどほどの距離感やセンスが必要。
実は自分はこのマーベルでいちばん目玉になってる『アベンジャーズ』と冠がついてるシリーズがもっとも退屈だったりする。これは、シリーズの全キャラクターが総出演だし、超A級のビッグバジェット大作。だからこそ作り手にそうとうのプレッシャーがかかっているのだと想像される。なのでどうしても必死で大まじめな作風になってしまう。なんだか理屈っぽくなっちゃって、観てて肩が凝ってきちゃう。観客としては、こういった軽いノリの娯楽作品で、頭使いたくない。エンターテイメントはラフに観たいものです。
『アントマン』は笑えると、前評判を聞いていた。ダメなパパが娘のためにヒーローになる話だと、勝手に予想していた。これなら親子でも観れるかなと。観てみると、やっぱりおじさん向けという印象。父と娘の要素はエピソードのひとつでしかない。マーベル映画の定番となった、過去の有名な役者がでてくる。今回はマイケル・ダグラス。そのキャラクターの物語も描くため、おじさんたちがごたくを並べる場面が多いけど、そこは我慢のしどころ。
アントマン登場してから、くだらない設定に笑いっぱなし。テレパシーで蟻たちを従えたり、そりゃないだろのツッコミどころのオンパレード。このバカバカしいスピリットは、エンターテイメントにはホントに大事。主人公のスコットは、前科持ちゆえ職に就けず、どうにかしようとアントマンになる。どうしようもないところからのスタート。ダメなおじさんの起死回生。
とかくスーパーヒーローとは、男の子が自分の無力さに夢を託すための存在。現在ハリウッドで生産されているスーパーヒーローものは、子ども向けではなく、大人がターゲット。主人公の年齢もかなり高い中年のおじさんばかり。己の人生に納得出来ないおじさんたちが、スーパーヒーローに夢を託すのだろうか? なんとも切ない。リアルヒーローものは、とんでもなく世知辛い世の姿を反映している。我々おじさんたちすら、夢を求めてさまよっているということの象徴なのかもしれない。
さて、ディズニー・マーベル的キャッチコピーを自分なりに考えてみました。「日本人よ、これがアリのままの愛だ!!」……お後がよろしいようで。
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