『オール・ユー・ニード・イズ・キル 』日本原作、萌え要素を捨てれば世界標準
じつに面白いSF映画。
トム・クルーズのSF映画では
最高傑作でしょう。
死んだら同じ日をまた最初から
やり直すというタイムループもの。
死んだらやり直しという、
倫理観に悪影響を与えそうなテーマだが、
観ていると爽快感を感じる。
主人公が失敗して死ぬ、また最初からやり直す。
何度も何度も失敗してもやり直す……。
ど根性の映画。
しかも同じことを繰り返しているから、
どんどんスキルアップして強くなっていく。
継続は力なり!
似たような毎日の中で成長していく
サラリーマンの生活のよう。
この映画は日本のライトノベルが原作。
ライトノベルは一般的には、
アニメやマンガの小説版といたところなので、
偏った層のファンしか手に取ることはない。
原作は少年少女が主役らしいが、
映画はトムだからおじさんになるし、
相手役の女性もそれにそぐわなければならない。
少年少女のストーリーでは萌えや、
子ども向けにしかならない。
作品の根幹は残して、萌え要素を捨てれば、
世界標準の作品になるという好例。
日本のアニメの現状は、
深夜アニメというジャンルのごとく、
萌えやフェティズムが扱われている作品が多い。
この手の作品は、
海外ではポルノになってしまう。
萌えアニメを作るのを拒んだばかりに、
潰れてしまったアニメ制作会社のなんと多いことか。
萌え学園アニメを作らなければ
商売にならないということ。
ただ、世界に通用する作品は、
この萌え要素がないものでないと、
一般客は振り向かない。
純粋にSFならSF、
アクションならアクションを
みせるものでなければならない。
萌えを作らないと国内では売れないが、
萌えを捨てないと世界標準には乗れない。
どちらがビッグビジネスかは
考えなくても分かる。
トム・クルーズは親日家。
クールジャパンに率先して力を
貸してくれたのでしょう。
今後、日本発の
「健全なエンターテイメント作品」が
増えていくことが期待できるようになりました。
世界中に喜ばれる作品が
日本から誕生することは、
とても喜ばしいことです。
そういった意味でも、
本作は未来の映画なのです。
関連記事
-
『ハリー・ポッター』シングルマザーの邂逅
昨日USJの『ハリー・ポッター』のアトラクションが オープンしたと言う事で話題
-
『クラッシャージョウ』 日本サブカル ガラパゴス化前夜
アニメ映画『クラッシャージョウ』。1983年の作品で、公開当時は自分は小学生だった。この作品
-
『のだめカンタービレ』 約束された道だけど
久しぶりにマンガの『のだめカンタービレ』が読みたくなった。昨年の2021年が連載開始20周年
-
『下妻物語』 若者向け日本映画の分岐点
台風18号は茨城を始め多くの地に甚大なる被害を与えました。被害に遭われた方々には心よりお見舞
-
『アンブロークン 不屈の男』 昔の日本のアニメをみるような戦争映画
ハリウッド女優のアンジェリーナ・ジョリーが監督する戦争映画『アンブロークン』。日本公開前に、
-
『ハリー・ポッター』貧困と差別社会を生き抜いて
映画版『ハリー・ポッター』シリーズが日テレの金曜の夜の枠で連続放送されるのがすっかり恒例にな
-
『ワンダー 君は太陽』親になってわかること
自分はお涙頂戴の映画は苦手だ。この『ワンダー』は、予告編からして涙を誘いそうな予感がする。原
-
『火花』又吉直樹の飄々とした才能
お笑いコンビ・ピースの又吉直樹さんの処女小説『火花』が芥川賞を受賞しました。おめ
-
『キングコング 髑髏島の巨神』 映画体験と実体験と
なんどもリブートされている『キングコング』。前回は『ロード・オブ・ザ・リング』のピーター・ジ
-
『かがみの孤城』 自分の世界から離れたら見えるもの
自分は原恵一監督の『河童のクゥと夏休み』が好きだ。児童文学を原作に待つこのアニメ映画は、子ど