*

宇多田ヒカル Meets 三島由紀夫『春の雪』

公開日: : 最終更新日:2019/06/14 映画:ハ行, , 音楽

 

昨日は4月になったにもかかわらず、
東京でも雪が降りました。
ということで『春の雪』。

三島由紀夫氏作の『春の雪』の映画化。
原作は『豊穣の月』4部作の1作目にあたり、
最終章では死に別れた恋人達が
生まれ変わるという作品。
もうSFじゃん!!

三島由紀夫氏はこの4部作の
完結編を書き終えたあと、
市ヶ谷の陸上自衛隊で割腹自殺をします。
遺作というわけです。

この映画版は行貞勲監督で、
妻夫木聡さんと竹内結子さん主演。
映画はちっとも話題にならなかった。

映画は映像美ばかり気なる
普通の日本の文芸作品だった。
画面からもとくに若いスタッフの
エネルギーも感じず、凡作だった。

とにかく宇多田ヒカルさんが歌う
主題歌が良かった。

歌詞は意地悪なくらい現代的な言葉を使い、
英語も配し、タイトルも英語。
『Be My Last』。

けれども三島文学の遺伝子は
きちんと汲み取っているし、
曲を聴いただけで、
三島作品を読んだような気分にさせる。
脚色とは本来そういったもの。
根幹はつかんだままで、
アレンジは二次発展させる者に委ねられるべき。

宇多田ヒカルさんの主題歌は
三島由紀夫の世界観を描いてはいるものの、
残念ながら映画のエンドロールで
かかったときには違和感があった。
映画本編の制作意図と温度差を感じた。

宇多田さんが主題歌を担当した作品はいつもそう。

作品の根幹は彼女はしっかり掴んで、
作品で描ききれなかった部分を
補完しようとしているにもかかわらず、
大事な本編がそこまで表現しきれていない。
この原作解釈はカッコいい。

やっぱり宇多田ヒカルという人は
天才肌なのでしょうが、
それじゃあ今の日本では
アウェイにもなるだろう。

とにかく映画のラストにかかったとき、
違和感を感じるのでは失敗なんでしょう。

 

 

関連記事

no image

『ひつじのショーン〜バック・トゥ・ザ・ホーム』人のふり見て我がふり笑え

  なにこれ、おもしろい! NHK Eテレで放送しているテレビシリーズ『ひつじ

記事を読む

『ひとりでしにたい』 面倒なことに蓋をしない

カレー沢薫さん原作のマンガ『ひとりでしにたい』は、ネットでよく読んでいた。そもそもカレー沢薫

記事を読む

『ミステリー・トレイン』 止まった時間と過ぎた時間

ジム・シャームッシュ監督の1989年作品『ミステリー・トレイン』。タイトルから連想する映画の

記事を読む

no image

『ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない』ブラックって?

  ネット上の電子掲示板『2ちゃんねる』に たてられたスレッドを書籍化した 『ブ

記事を読む

『帝都物語』 混沌とした世にヤツは来る!!

9月1日といえば防災の日。1923年の同日に関東大震災で、東京でもたいへんな被害があったこと

記事を読む

『たちあがる女』 ひとりの行動が世界を変えるか?

人から勧められた映画『たちあがる女』。中年女性が平原で微笑むキービジュアルは、どんな映画なの

記事を読む

no image

『ゲゲゲの娘、レレレの娘、らららの娘』天才と呼ばれた普通の父親たち

  なんともうまいタイトルの本。本屋さんをブラブラしていたら、水木しげるさんの追悼コ

記事を読む

『プライドと偏見』 あのとき君は若かった

これまでに何度も映像化されているジェーン・オースティンの小説の映画化『プライドと偏見』。以前

記事を読む

no image

『村上さんのところ』村上春樹の人間力

  人気小説家の村上春樹さんと 読者の交流サイト『村上さんのところ』が 話題にな

記事を読む

『火垂るの墓』 戦時中の市井の人々の生活とは

昨日、集団的自衛権の行使が容認されたとのこと。 これから日本がどうなっていくのか見当も

記事を読む

『フランケンシュタイン(2025年)』 生きることを生きること

2025年、ギレルモ・デル・トロ監督によって『フランケンシュタ

『劇場版 呪術廻戦「渋谷事変 特別編集版」×「死滅回游 先行上映」』 イベントムービーの心得

我が家では自分よりも家族の方が『呪術廻戦』が好き。その『呪術廻

『ウィキッド ふたりの魔女』 陰惨な世界を軽やかに歌い上げよう

観るべきかやめるべきか迷っていた映画『ウィキッド ふたりの魔女

『ひらやすみ』 とがって、たたかれ、まるくなり。

2025年の冬、自分のSNSのタイムラインでは『ひらやすみ』と

『プレデター バッドランド』 こんなかわいいSFアクション映画が観たかった

『プレデター』の最新作が公開される。近年日本では洋画が不人気。

→もっと見る

PAGE TOP ↑