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『デッドプール2』おバカな振りした反骨精神

公開日: : アニメ, 映画:タ行,

http://www.foxmovies-jp.com/deadpool/

映画の続編は大抵つまらなくなってしまうもの。ヒット作でまた儲けたい企業の商魂が先に立つ。同じキャラクター、同じキャストが揃えば、観客はまた来てくれるという安易な発想。制作費が増えて、作風は派手になるが、アイデアは陳腐。一作目の輝きはいずこへ? ただただブランドを汚して終わるなんてことはよくある。

でもこの『デッドプール2』は、本国アメリカでの公開から、すこぶる評判がいい。日本での海外作品の公開は、世界でも一二を争うほど遅い。最近では洋画を観る客も激減しているので、この『デッドプール2』の日本劇場公開も、あっさり終わってしまった感がする。

最近日本では、続編だとヒットしないというジンクスがあるらしい。タイトルに数字がつくことを嫌い、邦題だけローカライズ改題してしまう。ときにはオリジナルとまったく違う、映画の内容ともズレた和製英語の邦題がつけられてしまうこともしばしば。いろいろ雑だ。そんな中で、原題の『デッドプール2』のまま日本公開したのだから、それだけでもオリジナルへの敬意を感じる。

前作『デッドプール』は面白かった。ヒーロー誕生モノは普通は退屈なのに、禁じ手の語り口でワクワクさせられた。もう変化球は出せますまい、どうする?と訝るのもつかの間。

事前情報では、多くの映画のパロディが作中に仕込まれているとのこと。果たして自分はどこまで分かるか自信がない。楽屋オチみたいなのだったらイヤだな〜。実際小ネタの嵐だが、それに気づくかどうかなんてあまり関係ない。数多の引用は、悪ふざけのようでいて、実のところリスペクトすら感じる。

キャメロン・クロウ監督の『セイ・エニシング』のパロディがあったのは嬉しかった。主人公のジョン・キューザックが、女の子に思いのたけをぶつける場面。曲に託してラジカセを天に掲げる。……感動的な場面のはずだが、当時の自分は、いろいろザワザワっと込み上げてくるものがあった。「ラジカセ重そうだな」とか、「ジョン・キューザックの服、ヘンなの」とかが浮かんできて、ストーリーに集中できない。自分はうがった目の人間なのだなと、ひっそり一人アウェイ感。デップーさん、やっぱりあの場面、おかしかったよね!

ヒーローモノで堂々とLGBTが出てきたのも、『デッドプール2』が初めてじゃないだろうか。ネガソニックのガールフレンドのユキオが登場する。それも日系の忽那汐里さんが演じてる。コスプレ・ヒーローで日本人の起用はアニメっぽくて、よくわかってらっしゃる。ユキオはなんかロープみたいので戦ってたぞ。彼女の活躍がもっとみたい。こりゃパート3に続くしかない。

主演のライアン・レイノルズは、『デッドプール』シリーズの製作も携わっている。今回は脚本にもクレジットされている。『デッドプール2』がまだまだトンガリが衰えないのは、ひとえにライアン・レイノルズの反骨精神の熱が、いまだに冷めていないからだ。

最近のハリウッドでは、過去のセクハラ問題で、プロデューサーやら監督やらが、業界から追放されている。名作を作った人たちが、作品とは真逆の行いをしているのだから、夢も壊れる。結局、夢を実現する作業は現実のこと。人の集まるところで起こることは、どこへ行っても、そうそう変わらない。これからハリウッドを目指そうとする人も減るんじゃないか?

そして最近のハリウッドの傾向も、商業主義一本になっている。観客を面白がらせよう、楽しませようというようなサービス精神より、如何に観客からせしめようとする魂胆の方が比率が高くなっている。「面白い映画」より「儲かる映画」に重点が置かれる。そりゃあ優秀なアーティストは、やる気がなくなってハリウッドを去るだろう。

ライアン・レイノルズも散々ハリウッドの失敗作に関わっている。「こうすればもっと面白くなるのに!」というフラストレーションが、この『デッドプール』で開花した。

『デッドプール2』の面白さは、この根底に沸々と煮えたぎった反骨精神にあると思う。パート2ということで、いい意味で小慣れてきた。90年代サブカルチャーのパロディ描写も、ハリウッドに嫌気がさしただけではなく、やっぱり好きなんだという敬意の表れ。

ハリウッドで辛酸をなめまくったライアン・レイノルズだからこそ。愛と批判が織り混ざった情念が作品を突き動かしている。R指定のバイオレンス描写も、照れ隠しにすら思えてしまう。昨今の、売れるためならモラルもへったくりもなく、ただただセンセーショナルに走るのとはちと違う。下品なようでいて品があったりする。ライアン・レイノルズがハリウッドへの愛憎を一緒くたに抱き抱えた印象だ。

このノリでパート3も観たくなってしまう。細かい小ネタや、ショウビズ界の裏事情を知るも知らざるも、楽しめるエンターテイメントに仕上げているのは流石です。まったく気の利いた映画だ。

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