*

ワーカホリックという病『アメリカン・スナイパー』

公開日: : 最終更新日:2015/11/08 映画:ア行

t02200293_0435058013271251735

365日24時間いつでもご用命ください。不眠不休で対応致します。

なんとも頼もしい言葉ではあるが、
自分はそんな事を言える人を信用しない。

不眠不休で働くという事は、
その人が他にやらなくてはならない事を
すべて犠牲にしているからだ。
だから「やる気」より「悲壮感」を感じてしまう。

自分も丸々一ヶ月休みがとれないこともあるが、
そんなときは判断力が弱まり、
普段ならあり得ないケアレスミスが多発したりして
かえって仕事が進まなかったりもする。
休養や気分転換も仕事には必須。

仕事についてはいろいろと
個人によって考え方は違うだろうが、
自分にとって仕事とは、
豊かな人生をおくる為の手段でしかない。

ワーカホリックの言葉が示すよう、
その人が仕事を理由に、
人生で向き合わなければいけない問題から
逃げてしまって、
幸せになる為の仕事が、
かえって自分を苦しめるだけの仕事へと
変換させてしまう。
結果的に人生がメチャメチャになる。

この映画『アメリカン・スナイパー』の主人公は
実在したイラク戦争に従軍した狙撃手クリス・カイル。
彼は160人ものイラク兵を狙撃した
「レジェンド」と呼ばれるアメリカの英雄。

彼がシールズに志願した当初は
祖国を守るというシンプルなものだった。
従軍から帰還するとPTSDで
普通の生活が出来なくなっている。
家族も待ってくれているのだが、
それと正面から向き合う事が出来ない。
やがて戦場しか行き場所がなくなり、
4度も従軍する事になる。

その間彼の妻は、
ひとりで子どもを産み、ひとりで育てていく。
英雄が家族にいるとはそういうことだ。

ここで戦争をひとつの
メタファーとしてとらえれば、
観客である我々だって
人生と言う戦場で闘う兵士になる。

家族を幸せにする為に働く。
やがて仕事に夢中になり、
仕事しか自分の場所をみいだせなくなり、
やがて家族が崩壊する。
まさに本末転倒。

エンディングで実際の
クリス・カイルの写真が映し出される。
観客はこれは実話なんだと改めて思い知らされる。

エンドロールでは音楽もかからず無音。
この静けさの中、自分の人生について考えなさいよと、
クリント・イーストウッド監督から
時間を作ってもらったような気がする。

関連記事

『アメリカン・ビューティー』幸福か不幸か?

アカデミー賞をとった本作。最近ではすっかり『007』監督となった映像派のサム・メンデス監督の

記事を読む

『アニー(1982年版)』子どもから見た大人たちの世界

かつてタレントのタモリさんが、テレビでさんざっぱら自身のミュージカル嫌いを語っていた。まだ小

記事を読む

『イレイザーヘッド』狂気は日常のすぐそばに

渋谷のシネマライズが閉館した。自分が10代の頃からあしげく通っていた映画館。そういえば最近、

記事を読む

『アイ・アム・サム』ハンディがある人と共に働ける社会

映画『アイ・アム・サム』は公開当時、びっくりするくらい女性客でいっぱいだった。満席の劇場には

記事を読む

『あの頃ペニー・レインと』実は女性の方がおっかけにハマりやすい

名匠キャメロン・クロウ監督の『あの頃ペニー・レインと』。この映画は監督自身が15歳で音楽ライ

記事を読む

『WOOD JOB!』そして人生は続いていく

矢口史靖監督といえば、『ウォーターボーイズ』のような部活ものの作品や、『ハッピーフライト』み

記事を読む

『ヴァンパイア』お耽美キワもの映画

映画「ヴァンパイア」録画で観ました。岩井俊二がカナダで撮った映画です。ものすごく暗かった。ヴ

記事を読む

日本アニメを世界的評価に繋げた『AKIRA』

日本のアニメが凄いと世界に知らしめた エポックメーキング的作品『AKIRA』。 今更

記事を読む

それを言っちゃおしまいよ『ザ・エージェント』

JERRY MAGUIRE, Tom Cruise, Jonathan Lipnicki, 199

記事を読む

『オネアミスの翼』くいっっっぱぐれない!!

先日終了したドラマ『アオイホノオ』の登場人物で ムロツヨシさんが演じる山賀博之氏。

記事を読む

『ペンタゴン・ペーパーズ』ガス抜きと発達障害

スティーヴン・スピルバーグ監督の『ペンタゴン・ペーパーズ』。ベトナ

『デザイナー渋井直人の休日』カワイイおじさんという生き方

https://www.tv-tokyo.co.jp/shibuin

『ピーターラビット』男の野心とその罠

http://www.peterrabbit-movie.jp/[/

『めぐり逢えたら』男脳女脳ってホント?

1993年のアメリカ映画『めぐり逢えたら』。実は自分は今まで観

『タクシー運転手』深刻なテーマを軽く触れること

http://klockworx-asia.com/taxi-dri

→もっと見る

PAGE TOP ↑