*

『ピーターパン』子どもばかりの世界。これって今の日本?

公開日: : 最終更新日:2019/06/15 アニメ, 映画:ハ行

 

1953年に制作されたディズニーの
アニメ映画『ピーターパン』。

世代を超え、時代を超え、
自分の子どもたちも大好きな映画。

自分も幼少の頃以来久しぶりに
自分の子どもたちと観る。
何とも不思議な体験。

作品のクオリティが高いので、
今観てもなんら古さを感じさせない。
むしろ今の日本アニメの方が
ヌルい作品ばかりに感じさせる。

社会の厳しい人間関係も描いているし、
基本コメディという精神は忘れていない。

子どもの頃はネバーランドに憧れたが、
なんともはや今観ると、
現実の厳しさばかりが伝わり、
子どもばかりの社会では破綻してしまうな~
という、あまりいい印象を受けなかった。

90年代、何でもかんでも分析するのがブームになったが、
この『ピーターパン』は格好の分析材料。
「ジェネレーションX」と呼ばれた自分たちの世代は、
この『ピータパン』や『エヴァンゲリオン』と
照らし合わされてきた。

確かにこの「ネバーランド」は
現代の日本に酷似している。

ピーターパンは大人になる事を拒否し、
子どもたちのリーダーになる。
女の子たちにモテて、それをハナにかけている伊達男。

ウエンディはピーターにとって
ガールフレンドではなく、母親の象徴。
助けているようでいて実は甘えている。
この関係は『ハウルの動く城』でも描かれている。

ティンカーベル(ティンク)は嫉妬深く、
ピーターがウエンディに優しくすると、
ウエンディにイジワルをする。殺しかけたりもする。
子ども時代、ティンカーが怖かった。

人魚たちはきれいな容姿たちだけれど、
ピーターがウエンディを紹介したら、
とたんにウエンディをいじめだす。
なんとも村社会で排他的。
日本のヤンキーに近い性格だろう。
ヤンキーはある時点で
急に老成したことを言い始めるもの。

海賊たちは、大人なのにずっと精神が幼く、
子どもたちと本気でむきになって闘っている。
いわばオタクといったところ。

そして親のいないみなしごたち。

こういった子どもたちが自分たちだけの
社会を築いて崩壊して行く姿は、
戦後の日本でもなんども見せつけられている。
「浅間山荘」や「オウム真理教」などが例。

行政が競ってゆるキャラをつくったり、アニメやマンガ、
アイドルという年端もいかない少女たちに、
大の大人が夢中になっている日本。

そこには冷静さはなく、
人生のすべてのパワーを注ぎ込んでいる勢い。

ネバーランドが現実に存在するなら、
日本はまさにそれ。

当時の制作者は、
アイルランドやネイティブアメリカを
イメージしていたと思う。
ファンタジックな世界観があるからだろう。

しかしファンタジーが現実のものとなると、
何ともグロテスク。

この『ピーターパン』は子ども向けと侮ることなく、
大人社会の矛盾をそのまま描いているのです。

当時の制作者は
そこまで意図していないと思いますがね。

クライマックスでピーターは言い放ちます。
「ぼくにとっていちばん大切なのはティンクなんだ!」

女の子にモテて、誰にでも好かれようとするピーターパンが
ひとりの女の子を選び、宣言します。
とても爽快感があるシーン。

そしてティンクもその告白の後からは、
ウエンディをいじめたりすることはなくなるのです。

ひとりの伴侶を選んだこの瞬間、
ピーターは大人になったのかもしれません。

関連記事

no image

『王と鳥』パクリじゃなくてインスパイア

  先日テレビで放送された 『ルパン三世・カリオストロの城』(以下『カリ城』)、

記事を読む

no image

ホントは奇跡の企画『となりのトトロ』

  先日『となりのトトロ』がまたテレビで放映してました。 ウチの子ども達も一瞬にし

記事を読む

no image

『ベイビー・ドライバー』洗練革新されたオールドファッション

ミュージカル版アクション映画と言われた『ベイビー・ドライバー』。観た人誰もがべた褒めどころか、ちょっ

記事を読む

『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』そこに自己治癒力はあるのか?

自分はどストライクのガンダム世代。作家の福井晴敏さんの言葉にもあるが、あの頃の小学生男子にと

記事を読む

no image

子ども目線は逆境を超える『崖の上のポニョ』

  日中二歳の息子の子守りをすることになった。 『風立ちぬ』もBlu-rayに

記事を読む

no image

『ドラえもん 新・のび太と鉄人兵団 』 若手女流監督が人生の機微で原作を補完

  言わずもがな子ども達に人気の『ドラえもん』映画作品。 『ドラえもん 新・のび太

記事を読む

no image

『SING』万人に響く魂(ソウル)!

「あー楽しかった!」 イルミネーション・エンターテイメントの新作『SING』鑑賞後、ウチの子たちが

記事を読む

no image

『ブレードランナー』あなたはどうして好きなの?

  『ブレードランナー』、 パート2の制作も最近決まった カルト中のカルトムービ

記事を読む

no image

作者を逆感化させた『ドラゴンボールZ 復活の「F」』

  正直に言ってしまうと自分は 『ドラゴンボール』はよく知らない。 鳥山明氏の作

記事を読む

no image

『耳をすませば』リア充映画?現実的な作品なのに

  ジブリアニメ『耳をすませば』は ネット民たちの間では「リア充映画」と 言われ

記事を読む

『ミッドナイト・イン・パリ』隣の芝生、やっぱり気になる?

ウッディ・アレン監督が2011年に発表した『ミッドナイト・イン

『1917 命をかけた伝令』戦争映画は平和だからこそ観れる

コロナ禍の影響で『007 ノー・タイム・トゥ・ダイ』の公開が当

『インセプション』自分が頭が良くなった錯覚に堕ちいる映画

クリストファー・ノーラン監督の『インセプション』。公開当時、映

『ホドロフスキーのDUNE』伝説の穴

アレハンドロ・ホドロフスキー監督がSF小説の『DUNE 砂の惑

『TENET テネット』テクノのライブみたいな映画。所謂メタドラえもん!

ストーリーはさっぱり理解できないんだけど、カッコいいからいい!

→もっと見る

PAGE TOP ↑