*

日本映画の時代を先行し、追い抜かれた『踊る大走査線』

公開日: : 最終更新日:2015/11/08 テレビ, ドラマ, メディア, 映画:ア行

t02200220_0300030013125697470

『踊る大走査線』はとても流行ったドラマ。
ドラマが映画化されて、国民的作品となった。
観た事はなくとも日本に住んでいれば
タイトルぐらいは誰もが知っていると思う。

ドラマから映画化へという、
日本映画の今のスタイルのひな形を作った。

90年代後半、このドラマが出てきたとき、
確かに新しいタイプの娯楽作品だった。

今までの刑事物は、鉄砲を撃ったり、
ノーヘルでバイクに乗ったり、
フィクション性が高かったのだが、
本作では刑事もサラリーマンと同じという、
ある意味夢を壊して、現実的に描いた。

今までの日本映画は泥臭かったのに対し、
本作のように走っても汗をかかない主人公の姿に、
日本娯楽映画の新境地を拓いたといってもいい。

それでいて根底にはサブカルネタ満載で、
いま実写版も制作されている
アニメ作品『パトレイバー』からは
大きく影響を受けている。

いくつものスプンオフ作品(番外編)も作られ、
もう面白いんだかつまらないんだかどうでもいいくらい
ブランディングされてしまった。

2010年に久しぶりに劇場版3作目が公開された。
正直もう『踊る』は飽きていたのだが、
今まで観てきたしと思って、こわごわ観てみる。

正直つまらなかった。
なにもかもが古くさく感じた。

スリーアミーゴスというダメ上司三人組が、
自分の保身のため猿芝居をうつ様など、
堅い職種の人の不祥事が多い昨今では
不愉快きわまりない。

主人公・青島とすみれの関係も
まったく進展していないのにもいらつきを感じさせた。
アニメの主人公をイメージした青島が
恋愛に成就したり、結婚したりしてはいけないのだろうが、
こんな草食系では主人公としてなんとも頼りない。

こんなつまらない映画を評価したりして
制作者を甘やかしたらダメだと感じた。

しかしブランドに弱い日本人。
『The FINAL』とうたった完結編も大ヒット。
この予告編を観たとき、
「あれ、新作なのに全部観た事あるような気がする」
と感じ、さすがに劇場へは足を運ばなかった。

あとで観たと思うのだが、全然記憶にない。

続編が重なると面白くなくなるのは世の常。
しかしながらここまでつまらない作品が、
それなりに観客動員を稼げるとは、
日本人のブランド信仰の根深さを感じる。

そりゃあリサーチの仕方も
観客をナメたものになるだろうし、
ウケるウケないの基準が
わからなくなってしまうだろう。

『踊る大走査線』は時代を先行し、
時代に追いつかれ、追い越されて行った作品だと思う。

かつて面白くても、
今の世に合わないものってあると思います。

関連記事

『不屈の男 アンブロークン』昔の日本のアニメをみるような戦争映画

ハリウッド女優のアンジェリーナ・ジョリーが監督する戦争映画『アンブロークン』。日本公開前に、

記事を読む

『生きる』立派な人は経済の場では探せない

黒澤明監督の代表作『生きる』。黒澤作品といえば、時代劇アクションとなりがちだが、この『生きる

記事を読む

『ALWAYS 三丁目の夕日』美化された過去の日本

映画『寄生獣』も公開された山崎貴監督の出世作。 CG畑出身の山崎監督が撮る映画は、

記事を読む

『風立ちぬ』憂いに沈んだ未来予想図

映画『風立ちぬ』、 Blu-rayになったので観直しました。 この映画、家族には不評

記事を読む

『アメリカン・ビューティー』幸福か不幸か?

アカデミー賞をとった本作。最近ではすっかり『007』監督となった映像派のサム・メンデス監督の

記事を読む

『ごめんね青春!』クドカンもああみえて天才なのよね

話題の新ドラマ『ごめんね青春!』。 脚本はクドカンこと宮藤官九郎さん。 昨年『あまち

記事を読む

ピースの1つじゃない『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』

『アベンジャーズ2』にあたる『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』の公開を前にこれは押

記事を読む

『パイレーツ・オブ・カリビアン』映画は誰と観るか?

2017年のこの夏『パイレーツ・オブ・カリビアン』の新作『最後の海賊』が公開された。映画シリーズ

記事を読む

『ルパン三世(PART1)』実験精神あればこそ

MXテレビで、いちばん最初の『ルパン三世』の放送が始まった。レストアされて、ものすごい高画質

記事を読む

『アーロと少年』過酷な現実をみせつけられて

movies.disney.com[/caption] く、暗いゾ。笑いの要素がほとんどない

記事を読む

『風と共に去りぬ』時代を凌駕した人生観

小学生の娘が突然、映画『風と共に去りぬ』が観たいと言い出した。

『光とともに…』誰もが生きやすい世の中になるために

©戸部けいこ・秋田書店[/caption] 小学生の娘が、学校

『ゲゲゲの女房』本当に怖いマンガとは?

水木しげるさんの奥さんである武良布枝さんの自伝エッセイ『ゲゲゲ

『チャーリーとチョコレート工場』歪んだ愛情とその傷

映画が公開されてから時間が経って、その時の宣伝や熱狂が冷めたあ

『ドラゴンボール』元気玉の行方

http://www.maniado.jp/community/ne

→もっと見る

PAGE TOP ↑