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『未来少年コナン』厄介な仕事の秘密

公開日: : 最終更新日:2020/03/01 アニメ, 映画:マ行

NHKのアニメ『未来少年コナン』は、自分がまだ小さい時リアルタイムで観ていた。なんでもNHKで初の連続アニメ作品だとか。当時ちょっと難しい内容だなと思っていた。そもそも未来なのに文明が退化しているのがわからない。最終戦争後の地球が舞台というディストピアなのが、小学生低学年の自分には未知の発想だった。

自分の子どもたちに、身内が携わった作品を観せたくて、久しぶりに『未来少年コナン』を全話通して観た。子どもたちにしてみれば宮崎駿監督の作品だし、制作会社が『世界名作劇場』と同じ日本アニメーションということもあって、すぐ入り込めたみたい。ちょうどNHK朝ドラでも、この頃のアニメ業界の様子を扱っていたので不思議な感覚だった。息子は今小学校低学年。自分が初めて『未来少年コナン』を観た頃と同じ年頃だ。

この宮崎駿監督の初期作品の『未来少年コナン』は、のちに数々の国民的アニメを生み出すスタジオジブリ作品のアイデアの原点なのがわかる。もうその辺は語り尽くされた感すらあるくらい。

要するに、一つ物語の雛形を確立してしまえば、そのアレンジで幾通りかの別のストーリーが出来てしまうのがわかる。逆に新しいことを狙いすぎると、観客がそれについていけなくて、楽しんでもらえないのだろう。

シンプルでも力強い演出があれば、観客はみんなワクワクするものだ。『未来少年コナン』は、テレビアニメとは思えないくらいアクションシーンが多い。ストーリー展開があまりスピーディーだと、観客がついていけない場合もある。派手なアクションと複雑なストーリーのいい塩梅さがテクニック。

よく宮崎駿監督の作品の男女は、出会った瞬間に相思相愛になりすぎて不自然だと言われがちだ。でも、宮崎作品の主人公たちはとても魅力的。主人公の男女は、一目みただけで観客のほとんどの人が好感を抱くだろう。そんな男女が、出会った瞬間に恋に落ちても、それは親公認というか観客公認。このカップルに幸あれと、無意識に応援してしまう。

商業作品のストーリーは、たった一人の作家で作られることはない。スタッフロールに名前の出ないくらい多くのブレーンが、アイデアを持ち寄って形成させていく。いくら作家主義と言えども、個人が好き勝手に商業作品を作れることは難しい。

たとえば誰かの名前がエンドクレジットされていても、その人がその話だけを担当した訳ではない。本来、全体のシリーズ構成はスタッフの多くが把握している。身内が担当した回は、厄介なエピソードが多かったらしい。それをそのまま鵜呑みにすると、見せ場になる回を担当していたのかと思っていた。

さて『未来少年コナン』の身内の担当回を観てみると、なんとも難しい話が多かった。要するに大きな出来事の合間にある、地味な回が多かった。クライマックス的な派手な展開の回は、ある程度の技術があれば作りやすいし、あまり作家の個性は出ない。地味な展開の話を、いかに観客に飽きさせずに観せることができるか。ある意味、見込まれての担当なのだろう。

エンターテイメントで大切なのは、派手な場面ばかりではない。地味な場面で、登場人物がどんな人なのか、その登場人物が信頼できるキャラクターなのか、観客は感情移入のきっかけを探している。そう、観客は無意識のうちに、その作品の主人公を好きになろうと努力しているのだ。

『未来少年コナン』は、テレビシリーズとは思えないくらい、物語の緩急がしっかりしている。もちろん今観るとちょっと説明的な場面もあるが、メインの客層は子どもだから、それはそれでいいのかもしれない。ある意味、近年の宮崎監督の作品が難解になりすぎているかも。

この作品を作っていた頃のスタッフ陣は、きっと今の自分よりも若かっただろう。アニメに携わる人は、学者タイプとオタクタイプにはっきり分かれる。この頃は学者タイプの作家が多かったみたいだ。お互いが刺激し合って作品を作り上げている。そりゃ名作も生まれる。

最近のエンターテイメント作品には、そんなアグレッシブさは薄れてしまった。安易に暴力や性描写ばかりのエキセントリックな傾向に走りすぎてはいないか。それは作品の品位どころか、モラルも疑ってしまう。作品にはもっと遊び心が必要だ。それはある特定のジャンルの仕事に限らず、全てのことに言える。表現に自由があった日本アニメ黎明期。ある意味、古き良き時代だったのかもしれない。

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