*

『GODZILLA』破壊神というより守護神だったハリウッドリブート版

公開日: : 最終更新日:2019/06/15 映画:カ行

 

早くも2018年にパート2をやると
発表されたハリウッド版『ゴジラ』。

近年、アメリカではテロや戦争があり、
日本では震災、原発事故があった。

そもそも1954年に発表された、
第一作目の『ゴジラ』は、
戦争や核の破壊のメタファー。
制作者からの怒りや悲しみが
映像からビビッドに伝わってきた。

今回のハリウッド版『ゴジラ』、
この近年のディザスター要素を取り込んで、
さぞ恐ろしいエンターテイメントに
仕上がっているかと期待していた。

しかしながらこちらが予想していた
テーマとはちと違うみたい。

本編で確かに原発事故や津波の場面はあるし、
CGでのゴジラはデカい。
でも怖くない。情念がない。

この作品での破壊は、
「メタファー」ではなくて「ギミック」。

ゴジラは人類の味方で、ライバル怪獣ムトーは敵。
ムトーからしてみれば、
普通に繁殖したいだけなのでから気の毒。

これは第一作の『ゴジラ』ではなく、
後続する『ゴジラ対◯◯』の流れ。
ディザスター映画やSF映画というより、
純粋な「怪獣映画」。

テーマ性よりも娯楽性重視の
大人から子どもまで楽しめる作品。

ハリウッド映画を観てるのに、
日本の怪獣映画を観てるのとなんら違いなかった。

この日本で後に築き上げてきた
「ゴジラ映画の約束事」は見事に継承されている。
前半一時間はゴジラが全容をみせずに、
引っぱり倒すなんていい例。
(子どもの頃、これが退屈だった)

怖いものを期待して劇場に行ったので、
肩すかしを食らってしまったが、
これはこれでアリですね。

どうのこうの言って、
パート2も観てしまうだろうな。

関連記事

『帰ってきたヒトラー』 これが今のドイツの空気感?

公開時、自分の周りで好評だった『帰ってきたヒトラー』。毒のありそうな社会風刺コメディは大好物

記事を読む

『かもめ食堂』 クオリティ・オブ・ライフがファンタジーにならないために

2006年の日本映画で荻上直子監督作品『かもめ食堂』は、一時閉館する前の恵比寿ガーデンシネマ

記事を読む

『君たちはどう生きるか』 狂気のエンディングノート

※このブログはネタバレを含みます。 ジャン=リュック・ゴダール、大林宣彦、松本零士、大

記事を読む

『async/坂本龍一』アートもカジュアルに

人の趣味嗜好はそうそう変わらない。 どんなに年月を経ても、若い頃に影響を受けて擦り込ま

記事を読む

『クレヨンしんちゃん』 子どもが怖がりながらも見てる

かつて『クレヨンしんちゃん』は 子どもにみせたくないアニメワースト1でした。 とにか

記事を読む

『ケイコ 目を澄ませて』 死を意識してこそ生きていける

『ケイコ 目を澄ませて』はちょっとすごい映画だった。 最新作『夜明けのすべて』が話題に

記事を読む

『今日から俺は‼︎』子どもっぽい正統派

テレビドラマ『今日から俺は‼︎』が面白かった。 最近自分はすっかり日本のエンターテイメ

記事を読む

no image

ロビン・ウィリアムズが若者に席を譲った『グッド・ウィル・ハンティング』

  ロビン・ウィリアムズの突然の訃報。 自殺だったと報道されました。 自殺は

記事を読む

『きっと、うまくいく』 愚か者と天才の孤独

恵比寿にTSUTAYAがまだあった頃、そちらに所用があるときはよくその店を散策していた。一頭

記事を読む

no image

『カールじいさんの空飛ぶ家』憐憫の情を脱せなければ、ドラマは始まらない。

  ディズニーアニメの最新作『ベイマックス』が 予告編とあまりに内容が違うと話題に

記事を読む

『ウェンズデー』  モノトーンの10代

気になっていたNetflixのドラマシリーズ『ウェンズデー』を

『坂の上の雲』 明治時代から昭和を読み解く

NHKドラマ『坂の上の雲』の再放送が始まった。海外のドラマだと

『ビートルジュース』 ゴシック少女リーパー(R(L)eaper)!

『ビートルジュース』の続編新作が36年ぶりに制作された。正直自

『ボーはおそれている』 被害者意識の加害者

なんじゃこりゃ、と鑑賞後になるトンデモ映画。前作『ミッドサマー

『夜明けのすべて』 嫌な奴の理由

三宅唱監督の『夜明けのすべて』が、自分のSNSのTLでよく話題

→もっと見る

PAGE TOP ↑