*

『アナと雪の女王』からみる未来のエンターテイメント

公開日: : 最終更新日:2020/03/28 アニメ, 映画:ア行

『アナと雪の女王』は老若男女に受け入れられる
大ヒット作となりました。

でもディズニーからしてみれば「当然でしょ?」
と言う声が聞こえてきそうです。

聞いた話によると、ディズニーでは
綿密にマーケットリサーチする部署があるらしいです。

要するに世界でどんなものが好まれ、
どうすればお客さんが喜ぶか、
それこそスパイ活動のようにリサーチして、
どうしたら表現につながるか研究している訳です。

作家がみなぎるエモーションで作るだけではなく、
研究に研究を重ね、人々の琴線に届くものを
技術的にカタチとしていく訳です。

本作が日本公開の前、
「Let it Go」のPVがあちこちで流れたとき、
日本のベテランアニメ作家たちは
肩を落としたと聞きます。

ファーストショットの雪山の遠景から、
山をトボトボ歩いているエルサに
近づいていく長回しの絵です。

あれを作るのに、どれだけの偉い人が会議をし、
どれだけの技術とお金がつぎ込まれたか、
と具体的な姿がみえたからです。

今の日本では、足下にも及ばない技術だと。

この映画を自分が初めてみたとき、
映画の冒頭、まだ物語が始まっていない、
登場人物の誰にも感情移入していない時点で、
涙が流れていたんですね。気がついたら。

これは演出技術に圧倒されたからに他ならないです。

観客を感動させようとする
クリエーターたちの高い技術によってもたらされる感動。

これは新しいエンターテイメントのスタイルです。

もちろんこれから来る、更なる高画質時代や、
派生するミュージカルや続編も念頭に入れているでしょう。

今の世代の孫の代が観ても楽しめる作品を
作ろうとしているのです。
いままでのディズニー作品がそうであったように。

日本でいま、日々作られているアニメとは
志もスケールも段違いです。

ディズニーは、アニメやミュージカルを越えた、
新しいジャンルのエンターテイメントを
作ってしまった訳です。

関連記事

no image

日本映画の時代を先行し、追い抜かれた『踊る大走査線』

  『踊る大走査線』はとても流行ったドラマ。 ドラマが映画化されて、国民的作品とな

記事を読む

no image

『ALWAYS 三丁目の夕日』美化された過去の日本

  映画『寄生獣』も公開された山崎貴監督の出世作。 CG畑出身の山崎監督が撮る

記事を読む

no image

『her』ネットに繋がっている時間、私の人生は停まっている

スパイク・ジョーンズ監督作品『her/世界でひとつの彼女』は、本格的なSF作品としてとても興味深い。

記事を読む

no image

『団地ともお』で戦争を考える

  小さなウチの子ども達も大好きな『団地ともお』。夏休み真っ最中の8月14日にNHK

記事を読む

『インターステラー』 いつか神仏の存在も科学で証明されるだろう

SF映画『インターステラー』はヒットはしないだろう。 けれども今後数十年語り継がれる作品に

記事を読む

『アーロと少年』 過酷な現実をみせつけられて

く、暗いゾ。笑いの要素がほとんどない……。 日本のポスタービジュアルが、アーロと少年ス

記事を読む

no image

『カールじいさんの空飛ぶ家』憐憫の情を脱せなければ、ドラマは始まらない。

  ディズニーアニメの最新作『ベイマックス』が 予告編とあまりに内容が違うと話題に

記事を読む

no image

さよならロビン・ウィリアムズ = ジーニー『アラジン』

  ロビン・ウィリアムズが 8月11日に亡くなったそうです。 彼の作品には名

記事を読む

『ヒックとドラゴン』真の勇気とは?

ウチの2歳の息子も『ひっくとどらぽん』と 怖がりながらも大好きな 米ドリームワークス映画

記事を読む

no image

『ひつじのショーン〜バック・トゥ・ザ・ホーム』人のふり見て我がふり笑え

  なにこれ、おもしろい! NHK Eテレで放送しているテレビシリーズ『ひつじ

記事を読む

『SHOGUN 将軍』 アイデンティティを超えていけ

それとなしにチラッと観てしまったドラマ『将軍』。思いのほか面白

『アメリカン・フィクション』 高尚に生きたいだけなのに

日本では劇場公開されず、いきなりアマプラ配信となった『アメリカ

『不適切にもほどがある!』 断罪しちゃダメですか?

クドカンこと宮藤官九郎さん脚本によるドラマ『不適切にもほどがあ

『デューン 砂の惑星 PART2』 お山の大将になりたい!

ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督、ティモシー・シャラメ主演の『デューン

『マーベルズ』 エンタメ映画のこれから

MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)の最新作『マーベ

→もっと見る

PAGE TOP ↑