*

『ドラえもん 新・のび太と鉄人兵団 』 若手女流監督が人生の機微で原作を補完

公開日: : 最終更新日:2019/06/15 アニメ, 映画:タ行,

 

言わずもがな子ども達に人気の『ドラえもん』映画作品。
『ドラえもん 新・のび太と鉄人兵団 ~はばたけ 天使たち~』

ドラえもんは現在第二期という。
2005年からスタッフ・キャストを一新して、
映画作品も2006年から新たに毎年発表している。

『ドラえもん』新シリーズの映画は、
藤子・F・不二雄の原作付リメイク版と、
オリジナルストーリー作品と毎年交互に発表されている。

キャラクターデザインも新たにされ、
毛筆タッチの原作に近い、かわいい顔立ちになっている。

リメイク作は毎回出来が良く、
時代に合わせて多少脚色されているのが絶妙。
だが残念なことに、オリジナル作のできがイマイチ。
絵の出来がいい分、全く以て残念。

昨今のアニメ作家は、絵こそは上手いが
ストーリーテラーがいないという象徴でしょう。

さて新監督の中でも特に光る演出をみせるのが、
30代半ばの女流監督・寺本幸代さん。

すばらしい出来映えの『鉄人兵団』以外にも、
『のび太の新魔界大冒険 ~7人の魔法使い~ 』、
『のび太のひみつ道具博物館 』も演出している。

この『鉄人兵団』は藤子原作でも名作と言われ、
1986年の芝山努監督作品のリメイク。

原作より、登場人物を増やしたりしている。
理由として寺本監督かく語りき。
「のび太くんの目線からぶれさせない為」

原作では、のび太くんが物語の問題提起をして、
しずかちゃんが解決していく。
これをあくまで「のび太が主役」の物語にしている。

戦争がテーマとなるシリアスな内容の本作。
演出では、新約旧約聖書からの引用もあり、
子ども向けにしてはかなり高尚な趣。

映画館では、
子どもを連れた親達が号泣するという事態。

演出設計に見事に成功していると思います。

原作にない寺本作品の特長として、
登場人物達の何気ない会話の場面等、
人物に沿った要素が追加されている。

ストーリーが面白い藤子原作に、
人生の機微を追加することで、さらに深いものとなり
クライマックスがさらに盛り上がることとなる。

この感性は女性ならではと言えます。

本作のクライマックスで、
戦争をするロボットたちの生みの親の博士が
それを知り、ロボット造りをやめるのではなく、
「思いやりの心」をプログラムします。
それで戦争はなくなっていくのです。

昨今の日本人に一番大切な心。

いつの世にも色あせない、
ウエルメイドな作品であることは確かです。

関連記事

no image

『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』アメコミみたいなアイツ

トム・クルーズが好きだ! 自分が映画を観るときに、監督で選ぶことはあっても、役者で決めることはほとん

記事を読む

no image

『ほぉ…、ここがちきゅうのほいくえんか』大人よりも子どもの方が真実を知っている

  20代後半の男性保育士さんが、 園児たちの何気ない言葉、 ハッとした言葉を綴

記事を読む

no image

『ゲゲゲの娘、レレレの娘、らららの娘』天才と呼ばれた普通の父親たち

  なんともうまいタイトルの本。本屋さんをブラブラしていたら、水木しげるさんの追悼コ

記事を読む

no image

大人になれない中年男のメタファー『テッド』

  大ヒットした喋るテディベアが主人公の映画『テッド』。 熊のぬいぐるみとマーク・

記事を読む

no image

『幕が上がる』覚悟の先にある楽しさ

  自分はアイドル文化や萌えとかよくわからない。だから『ももいろクローバーZ』の存在

記事を読む

no image

『赤ちゃん教育』涙もろくなったのは年齢のせいじゃない?

  フランス文学の東大の先生・野崎歓氏が書いた育児エッセイ『赤ちゃん教育』。自分の子

記事を読む

no image

『STAND BY ME ドラえもん』大人は感動。子どもには不要な哀しみ。

  映画『STAND BY ME ドラえもん』を 5歳になる娘と一緒に観に行きまし

記事を読む

no image

『ダンサー・イン・ザ・ダーク』顛落の悲劇。自業自得か殉教者か?

  問題作すぎて新作『ニンフォマニアック』の 日本公開も危ぶまれながらもうじき公開

記事を読む

no image

『時をかける少女』フリーになって頭角を現した細田守監督

  『時をかける少女』というと、自分の世代では 大林宣彦監督・原田知世主演の角川映

記事を読む

no image

『虹色のトロツキー』男社会だと戦が始まる

  アニメ『機動戦士ガンダム THE ORIGINE』を観た後、作者安彦良和氏の作品

記事を読む

『天気の子』 祝福されない子どもたち

実は自分は晴れ男。大事な用事がある日は、たいてい晴れる。天気予

『逃げるは恥だが役に立つ ガンバレ人類! 新春スペシャル!!』結束のチーム夫婦も前途多難⁉︎

2016年に人気だった『逃げるは恥だが役に立つ』、通称『逃げ恥

『JUNO ジュノ』ピンクじゃなくてオレンジな

ジェイソン・ライトマン監督の『JUNO ジュノ』は、エリオット

『トイストーリー4』人のお節介もほどほどに

大好きなピクサー映画の『トイストーリー』シリーズの最新作『トイ

『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』言わぬが花というもので

大好きな映画『この世界の片隅に』の長尺版『この世界の(さらにい

→もっと見る

PAGE TOP ↑