言わずもがな子ども達に人気の『ドラえもん』映画作品。
『ドラえもん 新・のび太と鉄人兵団 ~はばたけ 天使たち~』

ドラえもんは現在第二期という。
2005年からスタッフ・キャストを一新して、
映画作品も2006年から新たに毎年発表している。

『ドラえもん』新シリーズの映画は、
藤子・F・不二雄の原作付リメイク版と、
オリジナルストーリー作品と毎年交互に発表されている。

キャラクターデザインも新たにされ、
毛筆タッチの原作に近い、かわいい顔立ちになっている。

リメイク作は毎回出来が良く、
時代に合わせて多少脚色されているのが絶妙。
だが残念なことに、オリジナル作のできがイマイチ。
絵の出来がいい分、全く以て残念。

昨今のアニメ作家は、絵こそは上手いが
ストーリーテラーがいないという象徴でしょう。

さて新監督の中でも特に光る演出をみせるのが、
30代半ばの女流監督・寺本幸代さん。

すばらしい出来映えの『鉄人兵団』以外にも、
『のび太の新魔界大冒険 ~7人の魔法使い~ 』、
『のび太のひみつ道具博物館 』も演出している。

この『鉄人兵団』は藤子原作でも名作と言われ、
1986年の芝山努監督作品のリメイク。

原作より、登場人物を増やしたりしている。
理由として寺本監督かく語りき。
「のび太くんの目線からぶれさせない為」

原作では、のび太くんが物語の問題提起をして、
しずかちゃんが解決していく。
これをあくまで「のび太が主役」の物語にしている。

戦争がテーマとなるシリアスな内容の本作。
演出では、新約旧約聖書からの引用もあり、
子ども向けにしてはかなり高尚な趣。

映画館では、
子どもを連れた親達が号泣するという事態。

演出設計に見事に成功していると思います。

原作にない寺本作品の特長として、
登場人物達の何気ない会話の場面等、
人物に沿った要素が追加されている。

ストーリーが面白い藤子原作に、
人生の機微を追加することで、さらに深いものとなり
クライマックスがさらに盛り上がることとなる。

この感性は女性ならではと言えます。

本作のクライマックスで、
戦争をするロボットたちの生みの親の博士が
それを知り、ロボット造りをやめるのではなく、
「思いやりの心」をプログラムします。
それで戦争はなくなっていくのです。

昨今の日本人に一番大切な心。

いつの世にも色あせない、
ウエルメイドな作品であることは確かです。