*

DT寅次郎がゆく『みうらじゅんのゆるゆる映画劇場 』

公開日: : 最終更新日:2015/11/08 メディア, 映画:ア行,

118579837_624.v1431596557

雑誌『映画秘宝』に現在も連載中の記事を再編集されたもの。普通の映画評論に飽きたら、このエッセイみたいな映画評でリフレッシュ!! 扱われている映画を観ていなくても楽しめるし、この文章を読んだからと言って、必ずしもその映画を観たくなるとは限らないところがミソ。

自分も映画はたくさん観てきているが、みうらじゅんさんはあえてつまらないとわかっている映画を観るというチャレンジ精神。そして絶対つまらないとかダメとか言わないようにするとのこと。「そこがいいんじゃない」とあえて良いところを探していく。なんとポジティブな!! 自分なんかは結構このブログでも、作品をこきおろしてしまっている。人間としての器の小ささを思い知らされた。反省。

この映画評はかなり下ネタ満載で「童貞」という言葉が頻発する。なんでも「童貞映画」なるジャンル分けまでしてしまっている。
そのなかで、自分もずっと気になっていた『男はつらいよ』の寅さんが童貞だったのでは? という仮説。あと『七人の侍』の菊千代とかね。いまでこそ「中年童貞」なんてことばもあるけど、寅さんの頃はそんな言葉はタブーだと思う。そこへ切り込んで行く。本編では「童貞」のことを「DT」と読んでいるので以降はDTと記します。

さて寅さんはDTだったか? みうらさんは「YES高須クリニック」と断言する。自分もそれには同意。寅さんは旅の途中、その地その地の商売女とも出会ってはいるだろうし、ねんごろになるチャンスは山ほどある。でも、寅さんは純情すぎる。『男はつらいよ』は寅さんが毎回変わるマドンナに恋をして、振られて、みんなのところにいられなくなって去って行くという定番の流れ。でもマドンナの中にも何人かは「寅さんと一緒になってもいい」と言う女性もいる。そこで寅さんは「バカを言っちゃあいけないよ」と自分から身を引いて行くのです。寅さんはすぐ恋をするけど、そこから先の一歩は踏み出さない。かっこつけて自分から去ってしまう。あともう少しで幸せになれるのにって、切なくなる。これDTでなければ、かっこつけずにそのマドンナとくっついちゃうと思うんですね。恋にものすごく奥手。

人間誰しも最初はバージン。だからこそこの寅さんのDTマインドは共感を得るのでしょう。でももし寅さんがマドンナの誰かを選んじゃったら、寅さんはそれで完結しちゃう。後半は甥っ子の満男の恋愛の手助けにまわったけど、満男の恋は成就する。なんとも寅さんは切ないDT映画なのである。

追記

自分は時々東急田園都市線を利用するのだが、目印になるアイコンが『DT』となっている。この『DT』サインをみるたびに「東急童貞線!?」と連想してしまう次第である。

関連記事

『ラストサムライ』渡辺謙の作品選び

トム・クルーズ主演の日本を舞台にした時代物ハリウッド映画『ラストサムライ』。渡辺謙さんのハリ

記事を読む

『ジャングル大帝』受け継がれる精神 〜冨田勲さんを偲んで

作曲家の冨田勲さんが亡くなられた。今年は音楽関係の大御所が立て続けに亡くなっている。ご冥福を

記事を読む

90年代再燃か!?『ONE OK ROCK』

若い子に人気の『ONE OK ROCK』。 映画『るろうに剣心』実写版三部作の主題歌で

記事を読む

『マイマイ新子と千年の魔法』真のインテリジェンスとは?

近年のお気に入り映画に『この世界の片隅に』はどうしも外せない。自分は最近の日本の作品はかなり

記事を読む

岡本太郎の四半世紀前の言葉、現在の予言書『自分の中に毒を持て』

ずっと以前から人に勧められて 先延ばしにしていた本書をやっと読めました。 エキセント

記事を読む

『レザボア・ドッグス』チャンスをつかむには、せっかちさんの方がいい

新作準備の『ザ・ヘイトフル・エイト』 の脚本流出で制作中止を発表し、 先日それを撤回した

記事を読む

アニメ『機動戦士ガンダムUC』が遂に完結!!

2010年スタートで完結まで4年かかった。 福井晴敏氏の原作小説は、遡る事2007年から。

記事を読む

さよならロビン・ウィリアムズ = ジーニー『アラジン』

ロビン・ウィリアムズが 8月11日に亡くなったそうです。 彼の作品には名作が多く、

記事を読む

『スパイダーマン ホームカミング』ハイテク・スパイディは企業を超えて

http://www.spiderman-movie.jp/[/caption] スパイダー

記事を読む

『コウノドリ』で子どもへの目が優しくなれば…… その1

自分はすっかりテレビドラマを観ることがなくなってしまった。というか結婚して子どもができてから、ろ

記事を読む

PAGE TOP ↑