*

DT寅次郎がゆく『みうらじゅんのゆるゆる映画劇場 』

公開日: : 最終更新日:2019/06/13 映画:ア行,

 

雑誌『映画秘宝』に現在も連載中の記事を再編集されたもの。普通の映画評論に飽きたら、このエッセイみたいな映画評でリフレッシュ!! 扱われている映画を観ていなくても楽しめるし、この文章を読んだからと言って、必ずしもその映画を観たくなるとは限らないところがミソ。

自分も映画はたくさん観てきているが、みうらじゅんさんはあえてつまらないとわかっている映画を観るというチャレンジ精神。そして絶対つまらないとかダメとか言わないようにするとのこと。「そこがいいんじゃない」とあえて良いところを探していく。なんとポジティブな!! 自分なんかは結構このブログでも、作品をこきおろしてしまっている。人間としての器の小ささを思い知らされた。反省。

この映画評はかなり下ネタ満載で「童貞」という言葉が頻発する。なんでも「童貞映画」なるジャンル分けまでしてしまっている。
そのなかで、自分もずっと気になっていた『男はつらいよ』の寅さんが童貞だったのでは? という仮説。あと『七人の侍』の菊千代とかね。いまでこそ「中年童貞」なんてことばもあるけど、寅さんの頃はそんな言葉はタブーだと思う。そこへ切り込んで行く。本編では「童貞」のことを「DT」と読んでいるので以降はDTと記します。

さて寅さんはDTだったか? みうらさんは「YES高須クリニック」と断言する。自分もそれには同意。寅さんは旅の途中、その地その地の商売女とも出会ってはいるだろうし、ねんごろになるチャンスは山ほどある。でも、寅さんは純情すぎる。『男はつらいよ』は寅さんが毎回変わるマドンナに恋をして、振られて、みんなのところにいられなくなって去って行くという定番の流れ。でもマドンナの中にも何人かは「寅さんと一緒になってもいい」と言う女性もいる。そこで寅さんは「バカを言っちゃあいけないよ」と自分から身を引いて行くのです。寅さんはすぐ恋をするけど、そこから先の一歩は踏み出さない。かっこつけて自分から去ってしまう。あともう少しで幸せになれるのにって、切なくなる。これDTでなければ、かっこつけずにそのマドンナとくっついちゃうと思うんですね。恋にものすごく奥手。

人間誰しも最初はバージン。だからこそこの寅さんのDTマインドは共感を得るのでしょう。でももし寅さんがマドンナの誰かを選んじゃったら、寅さんはそれで完結しちゃう。後半は甥っ子の満男の恋愛の手助けにまわったけど、満男の恋は成就する。なんとも寅さんは切ないDT映画なのである。

追記

自分は時々東急田園都市線を利用するのだが、目印になるアイコンが『DT』となっている。この『DT』サインをみるたびに「東急童貞線!?」と連想してしまう次第である。

関連記事

no image

『ハリー・ポッター』シングルマザーの邂逅

  昨日USJの『ハリー・ポッター』のアトラクションが オープンしたと言う事で話題

記事を読む

『ダンダダン』 古いサブカルネタで新感覚の萌えアニメ?

『ダンダダン』というタイトルのマンガがあると聞いて、昭和生まれの自分は、真っ先に演歌歌手の段

記事を読む

『俺の家の話』 普通って何なの?

現在放送中の『俺の家の話』がおもしろい。脚本がクドカンこと宮藤官九郎さんで、主演は長瀬智也さ

記事を読む

『このサイテーな世界の終わり』 老生か老衰か?

Netflixオリジナル・ドラマシリーズ『このサイテーな世界の終わり』。BTSのテテがこの作

記事を読む

『THE FIRST SLAM DUNK』 人と協調し合える自立

話題のアニメ映画『THE FIRST SLAM DUNK』をやっと観た。久しぶりに映画館での

記事を読む

no image

『ディファイアンス』他力本願ならカタルシス

  事実は小説よりも奇なり。 第二次大戦中のナチスドイツのユダヤ人迫害を描いた

記事を読む

『君たちはどう生きるか』 狂気のエンディングノート

※このブログはネタバレを含みます。 ジャン=リュック・ゴダール、大林宣彦、松本零士、大

記事を読む

no image

『猿の惑星:新世紀』破滅への未来予測とユーモア

  2011年から始まった『猿の惑星』のリブートシリーズ第二弾にあたる『猿の惑星:新

記事を読む

no image

『君たちはどう生きるか』誇り高く生きるには

  今、吉野源三郎著作の児童文学『君たちはどう生きるか』が話題になっている。

記事を読む

no image

『赤ちゃん教育』涙もろくなったのは年齢のせいじゃない?

  フランス文学の東大の先生・野崎歓氏が書いた育児エッセイ『赤ちゃん教育』。自分の子

記事を読む

『ウィキッド ふたりの魔女』 陰惨な世界を軽やかに歌い上げよう

観るべきかやめるべきか迷っていた映画『ウィキッド ふたりの魔女

『ひらやすみ』 とがって、たたかれ、まるくなり。

2025年の冬、自分のSNSのタイムラインでは『ひらやすみ』と

『プレデター バッドランド』 こんなかわいいSFアクション映画が観たかった

『プレデター』の最新作が公開される。近年日本では洋画が不人気。

『藤本タツキ 17-26』 変態宣言を強要する珠玉のアニメ短編集!

『チェンソーマン』は、期待してなかったにも関わらず意外とハマっ

『Ryuichi Sakamoto: Diaries』 こうしてすべてが変わっていく

『Ryuichi Sakamoto: Diaries』という映

→もっと見る

PAGE TOP ↑