*

『あしたのジョー』は死んだのか?

公開日: : 最終更新日:2021/01/02 アニメ, 映画:ア行,

先日『あしたのジョー』の主人公矢吹丈の
ライバル・力石徹役の仲村秀生氏が亡くなりました。
ご冥福をお祈り致します。

さて、ジョーは最終回で
ホセ・メンドーサとの対決後、
真っ白に燃え尽きます。

ジョーはリングサイドのベンチに
笑みを浮かべながらうつむいています。
文字通り真っ白になって。

子どもの頃、これをみて感じました。
「ああ、ジョーは死んじゃったんだな」

子ども心には、夢とロマンに殉じた方が
カッコいいと思っていました。

ただ後に作者の一人ちばてつや氏などが、
ジョーは死んでいないかもと
ほのめかすようになりました。

ジョーが望んだ
「真っ白に燃え尽きる」というのは、
死ぬと言う意味ではなく、
自分の夢やロマンに納得がいくまで
向き合うということらしい。

だからこそジョーは、
試合には負けたけれど全力を尽くしたので、
満足そうに笑みを浮かべているのです。

ひとつの危ういロマンに
区切りがついたというところ。

納得のいったジョーはリングをおりて、
第二の人生を歩き出したかもしれません。
白木葉子のもとに帰ったかもしれません。

ちば氏もジョーと葉子が暮らしている様子の
絵を描いた事もあります。

 

命がけのロマンを追い求め、
それでも生還し、新しい人生をみつける。

当時としては、先見の明がある結末。

夢に殉じるよりも遥かに現代的で、
希望のある物語となった印象を与えます。

大人となった今では、
ジョーに生きていて欲しいと感じてしまうのです。

関連記事

『機動戦士ガンダム』 ブライト・ノアにみる大人のあり方

『機動戦士ガンダム』は派生作品があまりに多過ぎて、 TSUTAYAでは1コーナー出来てしま

記事を読む

no image

『モモ』知恵の力はディストピアも越えていく

ドイツの児童作家ミヒャエル・エンデの代表作『モモ』。今の日本にとてもあてはまる童話だ。時間泥棒たちに

記事を読む

no image

DT寅次郎がゆく『みうらじゅんのゆるゆる映画劇場 』

  雑誌『映画秘宝』に現在も連載中の記事を再編集されたもの。普通の映画評論に飽きたら

記事を読む

『ホットスポット』 特殊能力、だから何?

2025年1月、自分のSNSがテレビドラマ『ホットスポット』で沸いていた。自分は最近ではほと

記事を読む

no image

『カールじいさんの空飛ぶ家』憐憫の情を脱せなければ、ドラマは始まらない。

  ディズニーアニメの最新作『ベイマックス』が 予告編とあまりに内容が違うと話題に

記事を読む

『愛の渦』ガマンしっぱなしの日本人に

乱交パーティの風俗店での一夜を描いた『愛の渦』。センセーショナルな内容が先走る。ガラは悪い。

記事を読む

『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』 問題を乗り越えるテクニック

映画『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』は、日本公開当時に劇場で観た。アメリカの91

記事を読む

『ドラえもん のび太の宇宙英雄記』 映画監督がロボットになる日

やっとこさ子ども達と今年の映画『ドラえもん』を観た。毎年春になると、映画の『ドラえもん』が公

記事を読む

『アバウト・タイム 愛おしい時間について』 普通に生きるという特殊能力

リチャード・カーティス監督の『アバウト・タイム』は、ときどき話題になる映画。2013年制作の

記事を読む

no image

男は泣き、女は勇気をもらう『ジョゼと虎と魚たち』

  この映画『ジョゼと虎と魚たち』。 公開当時、ミニシアター渋谷シネクイントに

記事を読む

『Ryuichi Sakamoto: Diaries』 こうしてすべてが変わっていく

『Ryuichi Sakamoto: Diaries』という映

『M3GAN ミーガン 2.0』 ゆるぎないロボ愛よ永遠に

自分はSFが好き。友だちロボットのAIがバグって、人間を襲い出すS

『ナミビアの砂漠』 生きづらさ観察記

日曜日の朝にフジテレビで放送している番組『ボクらの時代』に俳優

『サタンタンゴ』 観客もそそのかす商業芸術の実験

今年2025年のノーベル文化賞をクラスナホルカイ・ラースローが

『教皇選挙』 わけがわからなくなってわかるもの

映画『教皇選挙』が日本でもヒットしていると、この映画が公開時に

→もっと見る

PAGE TOP ↑