*

大人になれない中年男のメタファー『テッド』

公開日: : 最終更新日:2019/06/15 アニメ, 映画:タ行,

 

大ヒットした喋るテディベアが主人公の映画『テッド』。
熊のぬいぐるみとマーク・ウォールバーグのコンビで
R指定と聞いて、作品の趣旨はピンと来た。

これは大人になれないおじさんを揶揄したコメディだと。

自分はこの映画の内容は観なくとも理解できた。
ここにでてくるのは自分だと。
コメディならなおのこと楽しいはずはない。

話題になればなるほど、みざるいわざるきかざる。
日本公開からしばらく経ってからこの映画を観た。
案の定、サブカル大好きで大人になりきれない男の話だった。

テッドの声もセス・マクファーレン監督自ら演じてる。
やっぱり自分と同年代だ。

ガールフレンドは必要だけど、結婚はしたくない。
責任を持ちたくない。
男友達と子どものようにきゃあきゃあ言っていたい。

あまりの大人げなさっぷりに
ガールフレンドが去ったとき、男は気づきます。
もう自分は子どもじゃないんだと。

携帯の着信音がサブカルネタだったのも、
ガールフレンドが去ってから普通の音に変わってる。
子ども心のメタファーであるテッドとも別れようとする。

そうなるとこの男とテッドの今後の展開が気になってくる。
年齢はとっくにおじさんなのに、心はずっとワルガキのまま。
いつかは卒業しなければ人生は拓けない。

ワルノリの映画かと思いきや、まっとうなテーマ。
娯楽映画なのでクライマックスには
アクションシーンが絡んでくるが、
納得のいく方向へと物語は進んで行く。

何かを捨てることによって、はじめて得るものがある。

自分も結婚なんてとんでもないとずっと思ってた人。
それが今は子どももいる。
この通過儀礼は必要不可欠だったと今は感じている。

結婚を機に、自分のサブカル趣味は限定されてしまったが、
思いもがけない面白いことが日々起こってる。
人生は予想外のことばかり。

でも最近気づいた。
自分の子どもを自分と同じ趣味の仲間にすればいいんだ。
子どもっぽい趣味も、子連れを言い訳に堂々と出来る!!

そんなことを言ったら、妻から釘を刺された。
「勉強しない子になったら困るからやめてくれ」と。

確かにサブカルに夢中になった青春時代、
自分は勉強がキライだった……。

この『テッド』もパート2がつくられるとか?
このあと大人になりきれない男たちはどうなることやら。

関連記事

『天気の子』 祝福されない子どもたち

実は自分は晴れ男。大事な用事がある日は、たいてい晴れる。天気予報が雨だとしても、自分が外出し

記事を読む

no image

『鉄コン筋クリート』ヤンキーマインド+バンドデシネ

アニメ映画『鉄コン筋クリート』が公開されて今年が10周年だそうです。いろいろ記念イベントやら関連書籍

記事を読む

『となりのトトロ』 ホントは奇跡の企画

先日『となりのトトロ』がまたテレビで放映してました。 ウチの子ども達も一瞬にして夢中になり

記事を読む

『レディ・プレイヤー1』やり残しの多い賢者

御歳71歳になるスティーブン・スピルバーグ監督の最新作『レディ・プレイヤー1』は、日本公開時

記事を読む

no image

『オール・ユー・ニード・イズ・キル 』日本原作、萌え要素を捨てれば世界標準

  じつに面白いSF映画。 トム・クルーズのSF映画では 最高傑作でしょう。

記事を読む

no image

『野火』人が人でなくなるところ

塚本晋也監督の『野火』。自分の周りではとても評判が良く、自分も観たいと思いながらなかなか観れずにいた

記事を読む

『星の子』 愛情からの歪みについて

今、多くの日本中の人たちが気になるニュース、宗教と政治問題。その中でも宗教二世問題は、今まで

記事を読む

『ターミネーター/ニュー・フェイト』 老人も闘わなければならない時代

『ターミネーター』シリーズ最新作の『ニュー・フェイト』。なんでもシリーズの生みの親であるジェ

記事を読む

『なつぞら』自分の人生とは関係ないドラマのはずだったのに……

「アニメーターってなによ?」7歳になる息子が、NHK朝の連続テレビ小説『なつぞら』の番宣での

記事を読む

no image

『ムヒカ大統領』と『ダライ・ラマ14世』に聞く、経済よりも大事なこと。

最近SNSで拡散されているウルグアイのホセ・ムヒカ大統領のリオで行われた『環境の未来を決める会議』で

記事を読む

『MEGザ・モンスター』 映画ビジネスなら世界は協調できるか

現在パート2が公開されている『MEGザ・モンスター』。このシリ

『パリ、テキサス』 ダメなときはダメなとき

ヴィム・ヴェンダースの1984年の映画『パリ、テキサス』を観た

『ベイビー・ブローカー』 内面から溢れ出るもの

是枝裕和監督が韓国で撮った『ベイビー・ブローカー』を観た。是枝

『恋する惑星』 キッチュでポップが現実を超えていく

ウォン・カーウァイ監督の『恋する惑星』を久しぶりに観た。199

『気狂いピエロ』 カワイイのセレクトショップ映画版

ジャン=リュック・ゴダールが91歳で亡くなった。ゴダールの名前

→もっと見る

PAGE TOP ↑