*

『パイレーツ・オブ・カリビアン』 映画は誰と観るか?

公開日: : 最終更新日:2021/09/11 映画:ハ行, 映画館

2017年のこの夏『パイレーツ・オブ・カリビアン』の新作『最後の海賊』が公開された。映画シリーズ第1作目の『呪われた海賊たち』が2003年公開だから10年以上続く息の長いシリーズだ。

新作公開に先駆けて、フジテレビで過去4作をすべて連続放送してくれた。それを子どもたちと一緒に観たら、ものすごくおもしろかった!

小学生低学年の娘は、なんでも帰国子女の同級生から『パイレーツ・オブ・カリビアン』の存在を教えてもらって、「パパ、この映画知ってる? 観たい!」とご所望。自分も『パイレーツ・オブ・カリビアン』は、最初の三部作は映画館で観ている。当時も大ブームで、周りの人たちも声をそろえて「おもしろい!」と言っていた。

自分はといえば、このシリーズにはなんだか乗れず、おもしろさが理解できずにいた。毎回2時間半の長尺な映画との睡魔との戦いだった。基本ミーハーなので、流行りものの映画はなんでも観ていた。でももう今後『パイレーツ・オブ・カリビアン』は観ることはないだろうなと思っていた。

地上波放送用の再編集版『パイレーツ・オブ・カリビアン』は、小ネタが大幅にカットされていた。原作になっているディズニーランドのアトラクション『カリブの海賊』のワンシーンで、牢屋に閉じ込められた海賊たちが、檻の鍵を咥えた犬を呼んでる場面なんかも、さらっと短縮してる。でもそのおかげで、映画の大筋がみえやすくなった。脱線しないのでテンポもいい。そして自分がこのシリーズに乗れなかった理由がハッキリわかってきた。

『パイレーツ・オブ・カリビアン』の主人公は、ジョニー・デップ演じるジャック・スパロウなんだけど、実は本編ではこのキャラクターはあまり活躍していない。オーランド・ブルーム演じるウィル・ターナーと、キーラ・ナイトレイ演じるエリザベスの物語なんだということ。ウィルは実は呪われた海賊の子で、その宿命をさらわれた最愛のエリザベスを追う冒険の中で知っていく。ジャック・スパロウは、その冒険で出会った頭のおかしい海賊に過ぎない。ジャック自身には、この冒険に挑む動機はほとんどない。冒険にただただ流されているだけ。イカれた海賊だからなんでもアリと言ってしまえばそれだけだが、観客としてはどうしてもジャック・スパロウの活躍が観たい。存在感ありすぎで、めだつもの。ウィルが大活躍して自身の運命を切り拓いている横で、チョロチョロ走り回っているジャック・スパロウに苛立ちすら感じてしまっていた。でもこれは大人の偏見に満ちた視点だ。

非力な存在の主人公でも許される場合がある。スター的なカリスマ性がその主人公にあれば、活躍しなくとも観客は認めてくれる。自分にとってジョニー・デップの存在は、「きっとなにかしてくれるであろう役者さん」なのだろう。インディペンデントな香りが魅力だと思っているから、メジャーなスター的な扱いをされている本作では、ちと物足りなかったのかも?

でも初見の子どもたちは、一目でジャック・スパロウも、ウィルもエリザベスも好きになっていた。純粋にウィルの活躍に乗っかって楽しんでいる。エリザベスが啖呵を切って海賊たちを従える姿に胸躍らせる。何がしたいのかわからないジャック・スパロウにケラケラ笑ってる。海賊たちがガイコツになったら、きゃあきゃあ言って怖がる。海賊船が海の渦に飲み込まれそうになれば大騒ぎ。自分も一度観ているはずの映画なのに、新鮮な気持ちで子どもたちとはしゃいでいた。『パイレーツ・オブ・カリビアン』おもしろいじゃん!

あまりに楽しかったので、ブルーレイボックスを買ってしまった! 最新作を盛り上げるための過去作の放映やら、ボックス発売なのに、そちらばかり夢中になってしまった。

今回自分が初めて観た第4作目の『生命の泉』は、ウィルもエリザベスも出てこない。やっぱりジャックを活躍させなきゃダメだと制作者側も感じたのか、この回はジャックがメインで物語が進んでいく。しっかりしてるジャック・スパロウ。いままでの作品とは別人。もちろんシリーズ毎に主人公の性格が変わってしまう作品はたくさんある。それはそれで方向性はオッケー。でもまあやっぱり番外編臭は否めない。

最新作の『最後の海賊』は、ウィルもエリザベスも出てくるらしいし、なんでもウィルの息子がメインだとか? 映画『パイレーツ・オブ・カリビアン』は、ジャック・スパロウの冒険譚というよりは、ターナー家の物語といったところだ。最新作のジャック・スパロウのポジションは如何に!

だが重大な問題が発生した。過去作にハマり過ぎて、自分はもう『パイレーツ・オブ・カリビアン』でお腹いっぱい。最新作も観たような気分になってしまった。今はまだ『最後の海賊』を観る気になれないけど、観るならやっぱり子どもたちと観たい。なら吹き替え版か〜。だったらソフト化されるの待つかな? ディズニー作品はDVDやブルーレイの廉価版は出ないしな〜。

……なんだかんだしてる間に、上映も終わってしまいそうだ。果たして自分はいつ『最後の海賊』を観るのだろうか? それもこれも映画館の鑑賞料が高いからに尽きるんだろうけど。映画鑑賞は、すっかり敷居の高い娯楽になってしまった。

関連記事

『ハイドリヒを撃て!』 スタイリッシュな実録モノ

チェコとイギリス、フランス合作の映画『Anthropoid』というブルーレイを人から借りた。

記事を読む

no image

『バック・トゥ・ザ・フューチャー』でリアル・タイムトラベル

  なんだか今年は80年代〜90年代の人気映画のリブート作やリメイク作が目白押し。今

記事を読む

no image

『ハクソー・リッジ』英雄とPTSD

メル・ギブソン監督の第二次世界大戦の沖縄戦を舞台にした映画『ハクソー・リッジ』。国内外の政治の話題が

記事を読む

『鬼滅の刃 無限列車編』 映画が日本を変えた。世界はどうみてる?

『鬼滅の刃』の存在を初めて知ったのは仕事先。同年代のお子さんがいる方から、いま子どもたちの間

記事を読む

『ヒミズ』 闇のスパイラルは想像力で打開せよ!

園子温監督作品の評判は、どこへ行っても聞かされる。自分も園子温監督の存在は『ぴあフィルムフェ

記事を読む

『ヒトラー 〜最期の12日間〜』 負け戦には精神論

「欲しがりません勝つまでは」 戦後70年たった今となっては、こんな我慢ばかりを要求する言葉

記事を読む

no image

『ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない』ブラックって?

  ネット上の電子掲示板『2ちゃんねる』に たてられたスレッドを書籍化した 『ブ

記事を読む

『否定と肯定』感情を煽るものはヤバい

製作にイギリスのBBCもクレジットされている英米合作映画『否定と肯定』。原題は『Denial

記事を読む

『帰ってきたヒトラー』 これが今のドイツの空気感?

公開時、自分の周りで好評だった『帰ってきたヒトラー』。毒のありそうな社会風刺コメディは大好物

記事を読む

no image

『光とともに…』誰もが生きやすい世の中になるために

小学生の娘が、学校図書室から借りてきたマンガ『光とともに…』。サブタイトルに『〜自閉症児を抱えて〜』

記事を読む

『ロード・オブ・ザ・リング』 ファンタージーがファンタジーのままならば

Amazonのオリジナル・ドラマシリーズ『ロード・オブ・ザ・リ

『鎌倉殿の13人』 偉い人には近づくな!

NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』が面白い。以前の三谷幸喜さん

『星の子』 愛情からの歪みについて

今、多くの日本中の人たちが気になるニュース、宗教と政治問題。そ

『コーダ あいのうた』 諦めることへの最終章

SNSで評判の良かった映画『コーダ』を観た。原題の『CODA』は、

『あしたのジョー2』 破滅を背負ってくれた…あいつ

Amazon primeでテレビアニメの『あしたのジョー』と『

→もっと見る

PAGE TOP ↑