『ハウルの動く城』 おばさまに好評のアニメ
スタジオジブリ作品『ハウルの動く城』。
公開当時、大勢から「わけがわからない」と声があがった。
とくに若い世代や男性から。
しかしながら、この作品をみた50代以上の
おばさまたちの感想はちょっとちがった。
「わからなかったけど、面白かった」という。
とくに掃除をするところがおもしろいとのこと。
実はこの映画、女性の一生の仕事を描いている作品なのです。
とかく魔法や戦争などの要素にひっぱられがちですが、
掃除、洗濯、料理、子どもの世話、介護、
外でわけの分からないことに夢中になってる夫の面倒……と、
ものすごく女性の日常に密着した内容。
人生を半ば過ぎたおばさまたちの共感を得たのです。
ジブリ作品は結構早くから女性の観客を意識して
映画の企画を進めています。
当初はおじさん目線で少女を主人公にしていたでしょうが、
時代は変わり、男性は映画を殆ど観なくなりました。
観に来ない人に向けて作品を発しても仕方ない。
井原西鶴の一節にある
「とかく女の好むもの 芝居 浄瑠璃 いもたこなんきん」
ではないけれど、映画を好むのは圧倒的に女性です。
その女性陣を味方に付けようとした
ジブリの着眼点には、先見の明を感じます。
ジブリは時代をいつも読んで作品を作ります。
そこが他のアニメスタジをとは違い、
映画としても成功している所以なのでしょう。
そしていま、ますます男性は
映画や文化的なものから離れていっています。
文化は心のオアシス。
男性がどんどん女性に負けていくは一目瞭然です。
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