*

『ゴーストバスターズ(2016)』クリス・ヘムズワースに学ぶ明るい生き方

公開日: : 映画:カ行, 映画館

Courtesy of Sony Pictures.

アイヴァン・ライトマン監督作品『ゴーストバスターズ』は80年代を代表するブロックバスタームービー。自分も子どもの頃、夢中になって何度も観た。パート2もできたけど、そっちはなんとなく今まで観ずにいた。パート3を作る作らないと言ってるうちに、ゴーストバスターズのメンバーのひとりハロルド・ライミスが亡くなってしまった。なのでメンバーを全員女性に入れ替えて、リブート企画が始まった。

このリブート映画を観た人からは、口を揃えて「面白かった」との声が聞こえてきた。でもアメリカではバッシングの嵐。ウチも子どもたちが観たがっていたので、どうしようか考えているうちに、早々に上映が終わってしまった。客入りはイマイチだったのか。

ブルーレイになったのでやっと観たら、やっぱり面白かった! ウチの子たちも、きゃあきゃあ怖がりながら喜んでた。このリブート『ゴーストバスターズ』も、続編もつくる気マンマンの展開。旧メンバーのカメオ出演もあったけど、前作知らなくたって大丈夫。ビル・マーレーの出番が意外と多かったのにビックリ。吹替版で観たら、声優さんが一緒だった。細かい配慮。作品の敷居はいたって低い。それが旧来のファンには受け入れられなかったのかしら?

ゴーストバスターズのメンバーで、白人女性はみな科学者だけど、唯一の黒人メンバーだけが地下鉄員からの転職だった。それが差別だと感じた人がいたらしい。白人のゴーストバスターズメンバーは、リケジョでオタク。イケてないけど、やっぱり才女。黒人女性だけなぜ?ってルサンチマンな感覚だけど、高学歴を得られるのはやはり裕福な家庭環境あってのこと。差別というよりは、残酷な現実。経済力でその人の可能性に制限がかかってしまうのは社会問題としてとらえられる。

この新ゴーストバスターズでいちばん気になる登場人物は、クリス・ヘムズワースが演じる事務受付担当のケヴィン。この人、仕事なんにもできないの。電話応対すらできない。「ウェブかじってたからコーポレートロゴ考えてきた」なんて、どんなロクでもないデザイン見せられるのかと、期待に胸膨らませられちゃう。じゃあなんでこんな使えない人が採用されたかというと、ルックスがサイコーにイケメンだったから。

仕事ができない男なんて、普通だったら嫌われちゃう。でも人は見た目が9割。見た目だけで採用しちゃうゴーストバスターズの彼女たちも、やっぱりダメダメってこと。

ダメダメな女ゴーストバスターズに、歯がゆさを感じる男性観客も多いことだろう。でもこれ、男女逆転して考えればまったく平生普段の社会の縮図と変わらない。美人というだけで、仕事がなにもできないのに成り上がる人なんてざら。同性からは嫌われてるけど、異性からは異常にウケが良い。そういうタイプの人の努力は、仕事のスキルアップはなく、見栄えを磨くこと。それはそれで努力して頑張っている。

ダメダメなケヴィンは、ゴーストバスターズの足をひっぱってばかり。でもケヴィン、それほど悪いヤツじゃない。だからこそ女ゴーストバスターズは、ケヴィンを守ろうとゴーストたちと戦うのだ!

ケヴィン演じるクリス・ヘムズワースは、キラッキラ輝いてる! 彼の代表作『マイティ・ソー』もしのぐくらいのインパクト。ダメ男だって、明るい性格ならたくさん味方ができる。ケヴィンはそうやって今まで世渡りしてきたのだろう。

そういえば『マイティ・ソー』は、一作目では自分の王国を追放されて、地球に島流しされる。ボロボロで身寄りもないのに「俺は王だ!」と威厳を失わない。頭のおかしな男にしかみえないんだけど、明るく堂々としている彼に、自然と仲間ができてくる。ガールフレンドもすぐできちゃう。ボロを着てても、「これオシャレなんじゃないか?」と感じさせてしまう。追放された王なんて、アジアの作品だったらきっとメソメソしちゃうだろうな。

楽観的な人は、ものごとを暗く考えない。悲観的な考えも、所詮妄想にすぎないから。考えてもしょうがないことは、最初から考えない。悲観的妄想を、潜在的にシャットアウトしてしまうのも才能だ。パラノイアに陥るどころか、鬱にもなりそうもない。人からバカにされようと笑われようと、自分が楽しく生きられるならささいなことだ。明るく楽しく生きている人は魅力的にみえる。自ずと人生が好転してくるのは当たり前。

ケヴィンに乗り移ったゴーストが、「この鍛え抜かれた身体は、なんてラクなんだ!」と語る。あの厚い胸板や六つに割れた腹筋は、1日では成らず。体も軽くなれば、考え方だって軽くなる。こりゃあ本気で身体を鍛えるところから始めた方が良さそうだ。

関連記事

『リップヴァンウィンクルの花嫁』カワイくて陰惨、もしかしたら幸福も?

岩井俊二監督の新作『リップヴァンウィンクルの花嫁』。なんともややこしいタイトル。岩井俊二監督

記事を読む

風が吹くとき

『風が吹くとき』こうして戦争が始まる

レイモンド・ブリッグズの絵本が原作の映画『風が吹くとき』。レイモンド・ブリッグズといえば『さ

記事を読む

『かぐや姫の物語』この不気味さはなぜ?

なんとも不気味な気分で劇場を後にした映画。 日本人なら、昔話で誰もが知っている 『

記事を読む

『バッファロー’66』シネクイントに思いを寄せて

渋谷パルコが立て替えとなることで、パルコパート3の中にあった映画館シネクイントも休館となるそ

記事を読む

招かざる未来に備えて『風立ちぬ』

なんとも不安な気分にさせる映画です。 悪夢から覚めて、夢の内容は忘れても、 ただただ不安

記事を読む

日本企業がハリウッドに参入!?『怪盗グルーのミニオン危機一発』

『怪盗グルー』シリーズは子ども向けでありながら大人も充分に楽しめるアニメ映画。アメリカのユニ

記事を読む

『野火』人が人でなくなるところ

http://www.tsukamotoshinya.net/[/caption] 塚本晋也

記事を読む

『がんばっていきまっしょい』青春映画は半ドキュメンタリーがいい

今年はウチの子どもたちが相次いで進学した。 新学年の入学式というのは 期待と不安が入り交

記事を読む

『機動戦士Zガンダム劇場版』ガンダム再ブームはここから?

以前バスで小学3~4年生の子どもたちが 大声で話していた内容が気になった。 どうせ今

記事を読む

『パイレーツ・オブ・カリビアン』映画は誰と観るか?

2017年のこの夏『パイレーツ・オブ・カリビアン』の新作『最後の海賊』が公開された。映画シリーズ

記事を読む

PAGE TOP ↑