『ターミネーター2』 メジャーだって悪くない!!
今年の映画業界はビッグネームの続編やリメイク・リブート作で目白押し。離れてしまったかつての映画ファンを取り戻そうとしてるのか? それともただ単に新しい企画がないのか? こんなに立て続けにメジャー作が公開されると、全部消化するのは不可能だろうな。
『ターミネーター』シリーズもリブートされる。このシリーズは初期作の生みの親ジェイムズ・キャメロンが監督を降りてからも何度も新作が作られ、テレビシリーズにもなった。自分もぜんぶ観てると思うけど、やっぱり最初の2作品にはかなわない。なんとなく自分の中では『ターミネーター2』でシリーズは完結しているような印象だ。
『ターミネーター』の続編で、後に新作を発表する度社会現象にまでなるキャメロン監督の続投。1作目では低予算だったにも関わらず、パート2は超大作になっていた。
この映画が公開された1991年は自分はまさに映画学生。そのころアートシネマが流行っていて、自分も小難しい映画こそ映画と信じてた頃だった。ジャームッシュやヴェンダース、タヴィアーニ兄弟とか独立系映画に憧れていた。
そんな矢先に出会った学校の仲間で、もうメジャーアクション映画が作りたい激しい情熱の同期生がいた。彼はどうやったら迫力あるカメラワークになるかとかものすごく真剣に研究していた。カメラワークひとつでも、撮り方ひとつで全然変わってくるのをその人から学び、想いの丈を感覚に任せてぶつけても、相手(観客)に届かない事を知った。もうその技術の探求、創作活動は芸術そのものじゃん!! アクション映画をなめてかかっていた自分を反省し、メジャーである事、多くの人に受け入れられる作品というのは、技術的な工夫がものすごくなされている極上品なのだと知りました。(ちなみにその同級生は、その後、有名な監督さんになったらしいと風の噂に聞きました。今彼はどうしてるのだろう……。)
その当時、映画小僧の自分たちが夢中になったのがこの映画。みんなで映画館へ観に行ったり、誰かが輸入版を手に入れたら、それをみんなで絵コンテに落とし直して検証したり、いろいろ研究させてもらった作品です。
ジェイムズ・キャメロンは商業映画としてのセンスは抜群。イヤラシいくらい商売になる映画を技術的に検証して作る。これ好きでしょ?これも好きでしょ?と観客のニーズをがっちりおさえてる。観客としてはなんともムカつくのだけれど、映画自体が面白いので、キャメロンの仕掛けにまんまとのせられてしまう。ホントにズルい監督。このエンターテーメントテクニックは、後の『タイタニック』や『アバター』へと続いて行く訳です。
まったくもう、ジェイムズ・キャメロン憎し!!(笑)
関連記事
-
『ツレがうつになりまして。』鬱を身近に認知させた作品
鬱病を特別な人がなる病気ではなく、 誰をもいつなりうるか分からな事を 世間に
-
『帰ってきたヒトラー』 これが今のドイツの空気感?
公開時、自分の周りで好評だった『帰ってきたヒトラー』。毒のありそうな社会風刺コメディは大好物
-
『アナと雪の女王2』百聞は一見にしかずの旅
コロナ禍で映画館は閉鎖され、映画ファンはストレスを抱えていることだろう。 自分はどうか
-
『カーズ/クロスロード』もしかしてこれもナショナリズム?
昨年2017年に公開されたピクサーアニメ『カーズ/クロスロード』。原題はシンプルに『Cars 3』。
-
『ルックバック』 荒ぶるクリエーター職
自分はアニメの『チェンソーマン』が好きだ。ホラー映画がダメな自分ではあるが、たまたまSNSで
-
『パイレーツ・オブ・カリビアン』 映画は誰と観るか?
2017年のこの夏『パイレーツ・オブ・カリビアン』の新作『最後の海賊』が公開された。映画シリ
-
『JUNO ジュノ』 ピンクじゃなくてオレンジな
ジェイソン・ライトマン監督の『JUNO ジュノ』は、エリオット・ペイジがまだエレン・ペイジ名
-
『トンマッコルへようこそ』国は反目してても心は通じるはず
国同士が争うと、個人が見えなくなってしまう。もしかしたら友達になれるかもしれない人とも傷つけ合わなけ
-
『デヴィッド・ボウイ ムーンエイジ・デイドリーム』 スターの魂との距離は永遠なれ
デヴィッド・ボウイの伝記映画『ムーンエイジ・デイドリーム』が話題となった。IMAXやDolb
-
『ドグラ・マグラ』 あつまれ 支配欲者の森
夢野久作さんの小説『ドグラ・マグラ』の映画版を久しぶりに観た。松本俊夫監督による1988年の