*

『機動警察パトレイバー the movie2』 東京テロのシミュレーション映画

公開日: : 最終更新日:2021/10/09 アニメ, 映画:カ行

今実写版も制作されている
アニメ版『パトレイバー』の第二弾。

後に『踊る大走査線』や
『ダークナイト・ライジング』などに
多大に影響させる本作。

東京でももしテロが起こったらの
完全なるシミュレーションを映画でやってみせる。
アニメとは思えないリアリティある考察の表現。

本作の発表は1993年。
自衛隊のPKO派遣で、第二次大戦後はじめて
日本人が戦争に巻き込まれるのではと、
不安感がこの映画の冒頭で描かれている。

海外へ派遣された自衛隊は
攻撃され撃たれない限り、
戦争行為を絶対にしてはならない。
反撃の許可がおりずに部下を全滅させられた
元自衛官が東京でおこすクーデターと言う名のテロ。

これはかつて軍部が政府にクーデターを起こした
『226事件』のイメージ。

自衛隊が海外で戦争に巻き込まれたら?
自衛官や警官がもし日本でクーデターを起こしたら?
日本政府が責任逃れのたらい回しをはじめたら?
日本の警察や自衛隊が機能しなくなったら?

数々の恐ろしいシミュレーション。

そしてかつて軍人が起こした
政府へのクーデター『226事件』をきっかけに
日本は軍国主義へと進み、
世界大戦へと流れ込んで行きました。

戦争とはなんぞや?
平和ボケの日本人に問題提起していきます。
ちょっとアニメの域、超えてます。

周知の通り1995年には
東京で『地下鉄サリン事件』が発生し、
我々は現実にテロリズムと遭遇します。

この映画で伝える報道や東京の混乱が
まさに本作で描かれたものと
そのもの同じだったと記憶してます。

オウム真理教の連中も、
オタクなので本作を観ていた事でしょう。

模倣犯だったのか? 偶然だったのか?
この映画のシミュレーションが正確だったのか?

閉塞感漂う現代社会。
想像上恐ろしいと思って描いたフィクションが、
それよりも酷い状況になったりしている。

ただずっと言われているのが、
作者が警笛のつもりで放った作品に対し、
観客が自分ごとととらえられる
想像力が欠如しすぎているということ。

本作でスタッフとして参加していた
『ももへの手紙』の沖浦啓之監督が、
お忍びで劇場で『パトレイバー1』を観たとき、
上映終了後ファンの放った開口一番の感想が
「メカはいいけど、キャラがね」だったそうです。

映画を観てこの程度の感想しか出てこない
ファンの低能さに愕然としたと聞きます。

作者が命を削って描いた警告が
誰にも届かないという無力感。

作品を観るのも、想像力が必要なのです。

たとえ娯楽作品でも、
制作者がそれなりに心血注いだ作品には、
メッセージがあります。
生きるためのヒントも隠されています。

制作者は芸術家肌だったり天才肌だったりする人が多い。
凡人には見えないもを伝えていたりするのです。

現代の日本人は相手を思いやったり、
物事を見定めて行く想像力が
イマイチ足りなくなってしまったようです。

たかがアニメ、されどアニメ。

関連記事

『名探偵ピカチュウ』日本サブカル、これからどうなる?

日本のメディアミックス作品『ポケットモンスター』を原作に、ハリウッドで製作された実写映画『名

記事を読む

no image

『ゴジラ(1954年)』戦争の傷跡の貴重な記録

  今年はゴジラの60周年記念で、 ハリウッドリメイク版ももうすぐ日本公開。 な

記事を読む

『鬼滅の刃 遊郭編』 テレビの未来

2021年の初め、テレビアニメの『鬼滅の刃』の新作の放送が発表された。我が家では家族みんなで

記事を読む

『鑑定士と顔のない依頼人』 人生の忘れものは少ない方がいい

映画音楽家で有名なエンニオ・モリコーネが、先日引退表明した。御歳89歳。セルジオ・レオーネや

記事を読む

『牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件』 みんな良い人でいて欲しい

『牯嶺街少年殺人事件』という台湾映画が公開されたのは90年初期。その頃映画小僧だった自分は、

記事を読む

『スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム』 ヴィランになる事情

日本国内の映画ヒット作は、この10年ずっと国内制作の邦画ばかりがチャートに登っていた。世界の

記事を読む

『コジコジ』カワイイだけじゃダメですよ

漫画家のさくらももこさんが亡くなった。まだ53歳という若さだ。さくらももこさんの代表作といえ

記事を読む

『レゴバットマン/ザ・ムービー』男のロマンという喜劇

映画『レゴバットマン』が面白いという噂はずっと聞いていた。でもやっぱり子ども向けなので後回し

記事を読む

『怪物』 現実見当力を研ぎ澄ませ‼︎

是枝裕和監督の最新作『怪物』。その映画の音楽は坂本龍一さんが担当している。自分は小学生の頃か

記事を読む

no image

『グランド・ブダペスト・ホテル』大人のためのオシャレ映画

  ウェス・アンダーソン監督作といえば オシャレな大人の映画を作る人というイメージ

記事を読む

『ウィキッド ふたりの魔女』 陰惨な世界を軽やかに歌い上げよう

観るべきかやめるべきか迷っていた映画『ウィキッド ふたりの魔女

『ひらやすみ』 とがって、たたかれ、まるくなり。

2025年の冬、自分のSNSのタイムラインでは『ひらやすみ』と

『プレデター バッドランド』 こんなかわいいSFアクション映画が観たかった

『プレデター』の最新作が公開される。近年日本では洋画が不人気。

『藤本タツキ 17-26』 変態宣言を強要する珠玉のアニメ短編集!

『チェンソーマン』は、期待してなかったにも関わらず意外とハマっ

『Ryuichi Sakamoto: Diaries』 こうしてすべてが変わっていく

『Ryuichi Sakamoto: Diaries』という映

→もっと見る

PAGE TOP ↑