*

『ゴジラ(1954年)』戦争の傷跡の貴重な記録

公開日: : 最終更新日:2019/06/15 映画:カ行

 

今年はゴジラの60周年記念で、
ハリウッドリメイク版ももうすぐ日本公開。
なにかと話題多き作品です。

あらためて第一作を観直します。
いちばん最初に画面に出てくるのは
「賛助 海上保安庁」の文字。

自衛隊、海上保安庁の全面協力を得ての撮影。
本物とミニチュアが混合する編集は見事。

当時の特撮技術では限界があるのですが、
この編集方法からして、
「本物をつくってやる」
という制作者の意気込みを感じる。

戦後10年経っていない作品。
本作は大人向けに大まじめに作っている。

戦争の傷跡が、町並みや日本人の心のなかに
まだ鮮明と残っているのが
作品を通して伝わってきます。

前半はゴジラという破壊の象徴が現れたときの
社会情勢の姿をシミュレーションしている。

国会でヒステリックに
正論を言っている議員は、若き菅井きん。
やはりいつの時代も女性のほうが正しい事をいう。

後半はドラマ部分となる。
以前は余計な感じがしていた。

しかし、ここで核についてや、
オッペンハイマーやキューリー夫人に通じる
マッドサイエンティストにされてしまう科学者の苦悩や
未来に対しての警告が込められている。
SF作品としては最も重要なポイント。

中盤に見せるゴジラの東京破壊。
これは戦争そのもののイメージ。
圧倒的な破壊。

以前聞いた空襲で生き延びた人のお話しで、
命からがら逃げ延びて、
燃えている町を見た時、思ったそうです。
「全部焼けてしまえ! その方が清々する!!」

そういった気分の象徴がゴジラ。
後の続編は、子ども向けになっていき、
そういった哀しみの度合いは
薄れていったように感じます。

多くのゴジラ作品を手がけた大森一樹監督は
「ゴジラは決まり事が多くて、実は作りづらい」
とぼやいていたそうです。

本来のテーマがどんどん薄れていった『ゴジラ』。
もともとは暗く重い問題提起作品だったのです。

ゴジラという存在もそうでしょうが、
当時としては、都市の破壊がまだ生々しく
ものすごいショックを観客に
与えたのではないでしょうか。

SFは戦慄がはしってなんぼのもの。
ハリウッドの新作はどうなっているのか、期待大!!

関連記事

『ケイコ 目を澄ませて』 死を意識してこそ生きていける

『ケイコ 目を澄ませて』はちょっとすごい映画だった。 最新作『夜明けのすべて』が話題に

記事を読む

『キングスマン』 威風堂々 大人のわるふざけ

作品選びに慎重なコリン・ファースがバイオレンス・アクションに主演。もうそのミスマッチ感だけで

記事を読む

『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』 そこに自己治癒力はあるのか?

自分はどストライクのガンダム世代。作家の福井晴敏さんの言葉にもあるが、あの頃の小学生男子にと

記事を読む

no image

何が来たってへっちゃらさ!『怪盗グルーのミニオン危機一発』

  世界のアニメ作品はほぼCGが全盛。 ピクサー作品に始まり、 母体であるディズ

記事を読む

no image

『グランド・ブダペスト・ホテル』大人のためのオシャレ映画

  ウェス・アンダーソン監督作といえば オシャレな大人の映画を作る人というイメージ

記事を読む

『ゴーストバスターズ』ファミリー向け映画求む!

ずっと頓挫し続けてた『ゴーストバスターズ』の新作が、今年の夏公開される。ものごとって決まった

記事を読む

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』映画監督がアイドルになるとき

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズの監督ジェームズ・ガンが、内定していたシリーズ

記事を読む

『風立ちぬ』 招かざる未来に備えて

なんとも不安な気分にさせる映画です。 悪夢から覚めて、夢の内容は忘れても、 ただただ不安

記事を読む

『鬼滅の刃 無限列車編』 映画が日本を変えた。世界はどうみてる?

『鬼滅の刃』の存在を初めて知ったのは仕事先。同年代のお子さんがいる方から、いま子どもたちの間

記事を読む

『かぐや姫の物語』 この不気味さはなぜ?

なんとも不気味な気分で劇場を後にした映画。 日本人なら、昔話で誰もが知っている 『

記事を読む

『ウィキッド ふたりの魔女』 陰惨な世界を軽やかに歌い上げよう

観るべきかやめるべきか迷っていた映画『ウィキッド ふたりの魔女

『ひらやすみ』 とがって、たたかれ、まるくなり。

2025年の冬、自分のSNSのタイムラインでは『ひらやすみ』と

『プレデター バッドランド』 こんなかわいいSFアクション映画が観たかった

『プレデター』の最新作が公開される。近年日本では洋画が不人気。

『藤本タツキ 17-26』 変態宣言を強要する珠玉のアニメ短編集!

『チェンソーマン』は、期待してなかったにも関わらず意外とハマっ

『Ryuichi Sakamoto: Diaries』 こうしてすべてが変わっていく

『Ryuichi Sakamoto: Diaries』という映

→もっと見る

PAGE TOP ↑