*

『崖の上のポニョ』 子ども目線は逆境を超える

公開日: : 最終更新日:2021/10/03 アニメ, 映画:カ行

日中二歳の息子の子守りをすることになった。

『風立ちぬ』もBlu-rayになることだし、
宮崎駿監督の前作『崖の上のポニョ』を
息子と観ようと思い、再生してみた。

さっきまで騒いでいた息子は、
一瞬にして作品に魅入っておりました。
微動だにしないくらいの集中。

とくに息子が注目していたのは、
ラーメンや蜂蜜入りミルクなど、
食べ物が登場する場面。
嬉しそうに観ておりました。

津波の映画なので3.11以降は
テレビにかけにくくなった作品だと思います。

子ども目線で描かれているので、
津波もファンタジーのギミック。
水の下の町も、救助活動をしている大人達ですら
夢のような出来事となります。

子どもはどんな逆境でも
ポジティブにとらえられる生命力があります。

本作は「子どもが初めて観る映画を作る」と
宮崎監督が言っていた作品。

宮崎監督は、子どもの感受性のまま
大人になったような方だと聞きます。
この感性は子どもウケするツボを
確実にキャッチしているのです。

しかしながら、宮崎アニメはどの作品も、
暗く重いテーマが内包しています。
どんなにかわいいキャラクターが登場しても、
どこか憂いていてセンチメンタルな作りです。

この『ポニョ』はその暗さがなく、
まったくのノーテンキな作品に仕上がっています。
もちろん作中にちりばめられた
無数のメタファーを解読していったらキリがないのですが……。

ここで理屈抜きの子ども映画を描いたからこそ、
次作の『風立ちぬ』で、大人向けの
暗い警笛を鳴らすような映画を作れたのかも知れません。

ポニョは五歳。
上の娘と同じ歳。

まだ娘が妻のお腹の中にいるとき、
映画館で『ポニョ』を観ました。

子ども達が大活躍するこの映画。
子どもの声にお腹の娘はポコポコ反応していました。
明らかにお腹の中で映画を楽しんでいる様子。

「ここからでてきたら、またいっしょにみようね」

お腹の娘に声をかけました。
その二ヶ月後に娘は生まれました。

五歳になった今もジブリ映画は大好きです。

関連記事

no image

『王と鳥』パクリじゃなくてインスパイア

  先日テレビで放送された 『ルパン三世・カリオストロの城』(以下『カリ城』)、

記事を読む

no image

『東京ディズニーランド』お客様第一主義の行方

  自分はディズニーランドは大好きです。 子どもたちも喜ぶし、 自分も子どもみた

記事を読む

『シェイプ・オブ・ウォーター』懐古趣味は進むよどこまでも

今年2018年のアカデミー賞の主要部門を獲得したギレルモ・デル・トロ監督の『シェイプ・オブ・

記事を読む

『機動戦士ガンダムUC』 小説から始まり遂に完結!!

2010年スタートで完結まで4年かかった。 福井晴敏氏の原作小説は、遡る事2007年から。

記事を読む

『天気の子』 祝福されない子どもたち

実は自分は晴れ男。大事な用事がある日は、たいてい晴れる。天気予報が雨だとしても、自分が外出し

記事を読む

no image

日本人が巨大ロボットや怪獣が好きなワケ

  友人から「日本のサブカルに巨大なものが 多く登場するのはなぜか考えて欲しい」と

記事を読む

『ウォーリー』 これは未来への警笛?

映画『ウォーリー』がウチでは再評価UP! 『アナと雪の女王』を観てから我が家では デ

記事を読む

『銀河鉄道999』 永遠の命と拝金主義

『銀河鉄道999』は自分が小学生低学年の頃、 社会現象になるくらいの人気があった。

記事を読む

『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』 言わぬが花というもので

大好きな映画『この世界の片隅に』の長尺版『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』。オリジナル

記事を読む

『銀河鉄道の夜』デザインセンスは笑いのセンス

自分の子どもたちには、ある程度児童文学の常識的な知識は持っていて欲しい。マンガばかり読んでい

記事を読む

『THE FIRST SLAM DUNK』 人と協調し合える自立

話題のアニメ映画『THE FIRST SLAM DUNK』をや

『Ryuichi Sakamoto: Playing the Piano 2022 +(プラス)』 推しは推せるときに推せ!

  新宿に『東急歌舞伎町タワー』という新しい商

『イニシェリン島の精霊』 人間関係の適切な距離感とは?

『イニシェリン島の精霊』という映画が、自分のSNSで話題になっ

『ドライブ・マイ・カー』 綺麗な精神疾患

映画『ドライブ・マイ・カー』が、カンヌ国際映画祭やアカデミー賞

『ブラックパンサー ワカンダ・フォーエバー』 喪の仕事エンターテイメント

作品全体からなんとも言えない不安感が漂っている。不思議なエンタ

→もっと見る

PAGE TOP ↑