*

『2つ目の窓』死を意識することが、本当に生きること

公開日: : 最終更新日:2015/11/08 メディア, 映画:ハ行

t02200312_0430060913034500088

河瀬直美監督の自信作ということで、
カンヌで受賞を目指した作品。
受賞こそは逃したが、
現地では評判だったよう。

死生観の映画。

奄美の高校生のカップルを中心に、
彼らの家族や周囲の死を通して、
生きる覚悟をみつめいていく。

哲学的なテーマを内包しているが、
映画は静かで寡黙。

奄美の美しい自然と、
土俗信仰に密着した生活感が
空気感を重視した演出で表現している。

会話も脚本よりも、
その場の雰囲気を重視しており、
ストーリーこそあれど、
ドキュメンタリーのよう。

プロの役者さんの演技と
現地の住民達がみごとにとけ込んでいる。
重要なのはその人の存在感。

いちばん感じたのは「風の音」の演出。

主人公の女子高生の母は
霊媒師で死期を迎えている。
彼女は家族たちに囲まれ、
もっとも人間らしい幸せな死を迎えていく。

女子高生は身近な死を経験することにより、
生きることを意識する。
彼との性的つながりを望むが、彼の方が躊躇する。

これって現代的な恋愛の姿だと思う。

女性の方は常に本質的なものはつかんでいるのだが、
男性の方がなかなか向き合おうとしない。

ここまで女性にリードされなくては
男らしくふるまえない男性の象徴。

メメント・モリ。

この作品のテーマすら伝わるかどうか
懸念してしまうほど、
現代社会は人間が人間らしく
生きていないのかもしれない。

関連記事

『聲の形』頭の悪いフリをして生きるということ

「町山智浩の映画ムダ話」https://tomomachi.stores.jp/items/583

記事を読む

『ベイマックス』涙なんて明るく吹き飛ばせ!!

お正月に観るにふさわしい 明るく楽しい映画『ベイマックス』。 日本での宣伝のされかた

記事を読む

『アーロと少年』過酷な現実をみせつけられて

movies.disney.com[/caption] く、暗いゾ。笑いの要素がほとんどない

記事を読む

『時をかける少女』フリーになって頭角を現した細田守監督

『時をかける少女』というと、自分の世代では 大林宣彦監督・原田知世主演の角川映画を思い出す

記事を読む

『美女と野獣』古きオリジナルへのリスペクトと、新たなLGBT共生社会へのエール

http://www.disney.co.jp/movie/beautyandbeast.html

記事を読む

戦争は嫌い。でも戦争ごっこは好き!! 『THE NEXT GENERATION パトレイバー』

1980年代にマンガを始めOVA、 テレビシリーズ、劇場版と メディアミックスで連続した

記事を読む

『レザボア・ドッグス』チャンスをつかむには、せっかちさんの方がいい

新作準備の『ザ・ヘイトフル・エイト』 の脚本流出で制作中止を発表し、 先日それを撤回した

記事を読む

『台風クラブ』制服に封じ込まれたもの

http://filmex.net/2011/so05.html[/caption] このた

記事を読む

『プロジェクトA』ジャッキー映画でちょっと強くなった気になる

ジャッキー・チェンの映画を観たあとは、観るまえよりちょっとだけ気が大きくなる。なんだか自分も

記事を読む

『トイ・ストーリー・オブ・テラー』続々発表の新作短編、実は大人向け?

BSのDlifeで『トイストーリー』の 新作短編が放送された。 なんでも本邦初公開とのこ

記事を読む

『誘拐アンナ』高級酒と記憶の美化

知人である佐藤懐智監督の『誘拐アンナ』。60年代のフランス映画

『勝手にふるえてろ』平成最後の腐女子のすゝめ

https://cinema.ne.jp/recommend/fur

『SLAM DUNK』クリエイターもケンカに強くないと

うちの子どもたちがバスケットボールを始めた。自分はバスケ未経験

『ペンタゴン・ペーパーズ』ガス抜きと発達障害

スティーヴン・スピルバーグ監督の『ペンタゴン・ペーパーズ』。ベトナ

『デザイナー渋井直人の休日』カワイイおじさんという生き方

https://www.tv-tokyo.co.jp/shibuin

→もっと見る

PAGE TOP ↑