*

『グーニーズ』ヤツは敵か味方か?

公開日: : 最終更新日:2019/06/11 映画:カ行

自分が子どもの頃に夢中になっていた映画を、大人になった今、我が子と一緒に観直すのは楽しい。

以前、家電量販店に子どもたちと行ったとき、デモンストレーションで、2000年代になってからの新作版『インディ・ジョーンズ』が流れていた。ハラハラドキドキで、怖い場面満載の映画に、子どもたちは惹き込まれていた。すぐさま「この映画なに? 観たい!」となった。『インディ・ジョーンズ』は、ちょっと残酷な描写が多いので、ウチの子たちにはまだ早いかな。さすがに手放しで観せられない。……そうだ『グーニーズ』があった! あれなら子どもが主人公だし、コメディだ。安心して観せられる‼︎

でも最近ではこの『グーニーズ』も、テレビではなかなか放送できないらしい。放送コードにひっかかるらしい。

問題になるのはスロースというキャラクター。鎖につながれた大男。地下に監禁されて、絶叫してる。怖いったらありゃしない。スロースは悪党一家の末息子。小さいときに虐待にあって、顔が崩れ、奇形と障害をもつ。でも心は子どものままなので、純粋で優しい。『エレファント・マン』と友だちになれるだろうか? というのがこのキャラクターのアイデアだろう。

『グーニーズ』は、80年代当時のハリウッド映画で流行っていた要素をこれでもかと詰め込んでいる。パッチワークとイノベーションの巧みさ。

スロースは、人権に厳しくなった現代のテレビには、キワドイキャラクターだけど、やっぱり『グーニーズ』の映画には重要な存在。スロースなくては『グーニーズ』はありえない。

ウチの子たちも、スロースが登場した場面では、キャアキャア言って喜んでいた。グーニーズのメンバーで、食いしん坊のチャンクがスロースと対峙する場面、「このあとチャンクはどうなっちゃうの?」と子どもたちは固唾をのむ。怖いと思えた存在でさえ、相手がオープンマインドで接してくれたなら、すぐ友だちになれちゃう。子どもならではの垣根のなさ。容姿の奇異なんて関係ない。

スロースの生い立ちの設定は確かにダークでショッキングで悲惨なだけだけど、そんなキャラクターも『グーニーズ』の仲間に迎えられて、かけがえのない存在となっていく。自分は子どもの頃この映画を観たときに、そんなグーニーズたちの優しさが気に入った。

そしてスロースのように、どんなに過酷で理不尽な状況下にあっても、純粋な気持ちを守り続けることの大切さ。腐らず荒まず怒らず。人生の好転のチャンスはそこにある! いい意味でのおバカさんになろう‼︎

この映画が発表されて30年以上。いまだに愛され続けているのだから、それほど不謹慎な作品ではないのだと思う。今後、テレビではできないテーマでも映画なら扱えるのなら、媒体の区別化ができているのだから、それはそれで良いこと。映画の特別性が高まる。映画鑑賞は、ある程度懐の大きな、心のゆとりのある娯楽となる。

見た目が違うというだけで忌み嫌うのはダメだよと、感受性の鋭い子ならすぐ理解できる。でも見た目で感じた直感も信じたい。そのあんばいが難しい。偏見にならずに、ものごとを見定めるのは、なかなかオトナな技術らしいのです。

関連記事

no image

『キングスマン』威風堂々、大人のわるふざけ。

  作品選びに慎重なコリン・ファースがバイオレンス・アクションに主演。もうそのミスマ

記事を読む

no image

『かぐや姫の物語』この不気味さはなぜ?

  なんとも不気味な気分で劇場を後にした映画。 日本人なら、昔話で誰もが知っ

記事を読む

no image

『GODZILLA』破壊神というより守護神だったハリウッドリブート版

  早くも2018年にパート2をやると 発表されたハリウッド版『ゴジラ』。

記事を読む

『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』そこに自己治癒力はあるのか?

自分はどストライクのガンダム世代。作家の福井晴敏さんの言葉にもあるが、あの頃の小学生男子にと

記事を読む

no image

『この世界の片隅に』逆境でも笑って生きていく勇気

小学生の頃、社会の日本近代史の授業で学校の先生が教えてくれた。「第二次大戦中は、今と教育が違っていて

記事を読む

no image

社会風刺が効いてる『グエムル ー漢江の怪物ー』

  韓国でまたMERSが猛威を振るっていると日々の報道で伝わってきます。このMERS

記事を読む

no image

子どもが怖がる『クレヨンしんちゃん』

  かつて『クレヨンしんちゃん』は 子どもにみせたくないアニメワースト1でした。

記事を読む

『今日から俺は‼︎』子どもっぽい正統派

テレビドラマ『今日から俺は‼︎』が面白かった。 最近自分はすっかり日本のエンターテイメ

記事を読む

no image

『クラッシャージョウ』ガラパゴス前夜にて

  アニメ映画『クラッシャージョウ』。1983年の作品で、公開当時は自分は小学生だっ

記事を読む

no image

『風と共に去りぬ』時代を凌駕した人生観

  小学生の娘が突然、映画『風と共に去りぬ』が観たいと言い出した。なかなか渋い趣味。

記事を読む

『ハンナ・アーレント』考える人考えない人

ブラック企業という悪い言葉も、すっかり世の中に浸透してきた。致

『鬼滅の刃』親公認!道徳的な残虐マンガ‼︎

いま、巷の小学生の間で流行っているメディアミックス作品『鬼滅の

『名探偵ピカチュウ』日本サブカル、これからどうなる?

日本のメディアミックス作品『ポケットモンスター』を原作に、ハリ

『グッド・ドクター』明るい未来は、多様性を受け入れること

コロナ禍において、あらゆる産業がストップした。エンターテイメン

『アナと雪の女王2』百聞は一見にしかずの旅

コロナ禍で映画館は閉鎖され、映画ファンはストレスを抱えているこ

→もっと見る

PAGE TOP ↑