*

『グーニーズ』ヤツは敵か味方か?

公開日: : テレビ, メディア, 映画:カ行

© 1985 – Warner Bros. All rights reserved.

自分が子どもの頃に夢中になっていた映画を、大人になった今、我が子と一緒に観直すのは楽しい。

以前、家電量販店に子どもたちと行ったとき、デモンストレーションで、2000年代になってからの新作版『インディ・ジョーンズ』が流れていた。ハラハラドキドキで、怖い場面満載の映画に、子どもたちは惹き込まれていた。すぐさま「この映画なに? 観たい!」となった。『インディ・ジョーンズ』は、ちょっと残酷な描写が多いので、ウチの子たちにはまだ早いかな。さすがに手放しで観せられない。……そうだ『グーニーズ』があった! あれなら子どもが主人公だし、コメディだ。安心して観せられる‼︎

でも最近ではこの『グーニーズ』も、テレビではなかなか放送できないらしい。放送コードにひっかかるらしい。

問題になるのはスロースというキャラクター。鎖につながれた大男。地下に監禁されて、絶叫してる。怖いったらありゃしない。スロースは悪党一家の末息子。小さいときに虐待にあって、顔が崩れ、奇形と障害をもつ。でも心は子どものままなので、純粋で優しい。『エレファント・マン』と友だちになれるだろうか? というのがこのキャラクターのアイデアだろう。

『グーニーズ』は、80年代当時のハリウッド映画で流行っていた要素をこれでもかと詰め込んでいる。パッチワークとイノベーションの巧みさ。

スロースは、人権に厳しくなった現代のテレビには、キワドイキャラクターだけど、やっぱり『グーニーズ』の映画には重要な存在。スロースなくては『グーニーズ』はありえない。

ウチの子たちも、スロースが登場した場面では、キャアキャア言って喜んでいた。グーニーズのメンバーで、食いしん坊のチャンクがスロースと対峙する場面、「このあとチャンクはどうなっちゃうの?」と子どもたちは固唾をのむ。怖いと思えた存在でさえ、相手がオープンマインドで接してくれたなら、すぐ友だちになれちゃう。子どもならではの垣根のなさ。容姿の奇異なんて関係ない。

スロースの生い立ちの設定は確かにダークでショッキングで悲惨なだけだけど、そんなキャラクターも『グーニーズ』の仲間に迎えられて、かけがえのない存在となっていく。自分は子どもの頃この映画を観たときに、そんなグーニーズたちの優しさが気に入った。

そしてスロースのように、どんなに過酷で理不尽な状況下にあっても、純粋な気持ちを守り続けることの大切さ。腐らず荒まず怒らず。人生の好転のチャンスはそこにある! いい意味でのおバカさんになろう‼︎

この映画が発表されて30年以上。いまだに愛され続けているのだから、それほど不謹慎な作品ではないのだと思う。今後、テレビではできないテーマでも映画なら扱えるのなら、媒体の区別化ができているのだから、それはそれで良いこと。映画の特別性が高まる。映画鑑賞は、ある程度懐の大きな、心のゆとりのある娯楽となる。

見た目が違うというだけで忌み嫌うのはダメだよと、感受性の鋭い子ならすぐ理解できる。でも見た目で感じた直感も信じたい。そのあんばいが難しい。偏見にならずに、ものごとを見定めるのは、なかなかオトナな技術らしいのです。

関連記事

『マイティ・ソー バトルロイヤル』儲け主義時代を楽しむには?

http://marvel.disney.co.jp/movie/thor-br.html[/ca

記事を読む

90年代再燃か!?『ONE OK ROCK』

若い子に人気の『ONE OK ROCK』。 映画『るろうに剣心』実写版三部作の主題歌で

記事を読む

『ラストサムライ』渡辺謙の作品選び

トム・クルーズ主演の日本を舞台にした時代物ハリウッド映画『ラストサムライ』。渡辺謙さんのハリ

記事を読む

夢物語じゃないリサーチ力『マイノリティ・リポート』

未来描写でディストピアとも ユートピアともとれる不思議な映画、 スピルバーグ監督の『マイ

記事を読む

『結婚できない男』日本でもこんなに良質なコメディがありました!!

『結婚できない男』は2006年のドラマ。 もうずいぶん前の作品になります。 当時、自分も

記事を読む

『FOOL COOL ROCK!』サムライ魂なんて吹っ飛ばせ!!

『FOOL COOL ROCK! ONE OK ROCK DOCUMENTARY FILM』

記事を読む

はやいことに三代目『いないいないばぁっ!!』『みいつけた!』

小さい子どもがいる家の 朝の定番番組はNHK Eテレ。 ホントは朝はニュースとかみた

記事を読む

『「宇宙戦艦ヤマト」をつくった男 西崎義展の狂気』夢を現実にした最低で最高の男

©︎東北新社 Lisenced by東北新社[/caption] 芸能界は怖いところだよ。よ

記事を読む

『あん』労働のよろこびについて

この映画『あん』の予告編を初めて観たとき、なんの先入観もなくこのキレイな映像に、どんなストー

記事を読む

アーティストは「神」じゃない。あなたと同じ「人間」。

ちょっとした現代の「偶像崇拝」について。 と言っても宗教の話ではありません。 先日妻

記事を読む

『風と共に去りぬ』時代を凌駕した人生観

小学生の娘が突然、映画『風と共に去りぬ』が観たいと言い出した。

『光とともに…』誰もが生きやすい世の中になるために

©戸部けいこ・秋田書店[/caption] 小学生の娘が、学校

『ゲゲゲの女房』本当に怖いマンガとは?

水木しげるさんの奥さんである武良布枝さんの自伝エッセイ『ゲゲゲ

『チャーリーとチョコレート工場』歪んだ愛情とその傷

映画が公開されてから時間が経って、その時の宣伝や熱狂が冷めたあ

『ドラゴンボール』元気玉の行方

http://www.maniado.jp/community/ne

→もっと見る

PAGE TOP ↑