*

『マグノリアの花たち』芝居カボチャとかしましく

公開日: : 最終更新日:2019/06/10 映画:マ行,

年末テレビの健康番組で、糖尿病の特集をしていた。糖尿病といえば、糖分の摂取を制限される病気だと思っていた。番組で紹介していたのは、糖が足りなくてなる糖尿病。

『マグノリアの花たち』でジュリア・ロバーツが演じてる役が、その難病にかかっていると聞いた。この映画は未見だった。

人が健康的に日々生活するためには、糖分を摂りすぎてもいけないし、足りないのもよくない。現代日本人は働き過ぎで、食事がどうしても不規則になる。

朝ごはんを食べて会社へ行く。昼食は昼休みに摂るから、正しい時間に食べられる。問題は昼食から夜までの食事。仕事をしていれば、残業になったりする。晩飯にありつけるのは、夜の9時以降になったりする。昼からずっと断食してるから、腹も空いてるし疲れも溜まってる。どうしても寝る間際の時間帯なのに暴飲暴食してしまう。これがすこぶる健康に良くない。

そして知らず知らずのうちに、糖尿病になっている。本人は「食べてないのにどうして?」となるが、糖分が過度に不足しているのも糖尿病なら、それもまた当たり前。

現代日本は、仕事中心の生活でなければ生きていけない。晩飯が遅いのは仕方ないから、どうしたらいいのだろう?

番組では、遅い時間の食事は軽めにして、こまめに間食することを勧めていた。要するに昼から夜にかけての、長時間におよぶ断食が、体に負担をかけてしまうのだと。

そういえば自分も数年前、健康診断の一環で、栄養士さんから食事についてアドバイスを受けたことがある。栄養士さんは、夕食は夜の8時までにすることを勧めてきた。でもいくらなんでも夜8時に晩飯を済ますのは、どう工夫しても難しい。

外食より自炊した方が健康にいいのは誰もが知っている。でも夜8時過ぎに食べる自炊飯より、早い時間に済ませる外食晩飯の方が、健康に良いのだと言う。

夜8時までの晩飯は無理だから、せめて9時までに済ませてしまおうと心がけてみた。すると1カ月もしないうちに体重が5kgも減った。もともと太っていたわけではないので不思議だった。やつれた風もない。身体が軽くなって調子がいい。食生活を改めるだけでこれほどラクになるのなら、いくらでもやりますとも!

『マグノリアの花たち』をどうして観ていなかったのかは、映画が始まってすぐに理由がわかった。この映画のあまりにも女性的な感覚が、映画公開時10代だった自分には、まったく興味がない感性だったからだ。

女三人寄れば姦(かしま)しいとはよく言ったものだ。しかもご丁寧に「かしましい」という漢字は「女」が3つ集まっている。映画はそれこそさまざまな年代の、それぞれ問題を抱えた女たちが集まって、「かしましく」お喋りしている。

冠婚葬祭の人生において重要なイベントに区切って作品は描かれている。ひとつのイベントが1幕として扱われる。イベントとイベントの間に起こった出来事は、登場人物たちの会話で補完する。原作は戯曲なのがすぐわかる。

「芝居カボチャ芋たこなんきん」と、女性が好きなものを語呂良くあげた言葉がある。確かに男で芝居を愉しむ習慣がある人は少ない。むしろ多くの男性は、映画も観なければ本も読まない。テレビドラマの客層は、そもそも女性に絞って作られている。

舞台劇は、限られた空間で演者たちが集まって、ひとつの出来事を観客とともに共有する。共感力の高い女性が芝居を好むのはよくわかる。それが女性たちのお喋りで構成された芝居なら、なおのこと支持される。観客の女性たちは、作中の登場人物たちと一緒になって、このお喋りを興じる。「いろいろあるけど、いろいろなのよ〜」って、こんな楽しいエンターテイメントはないだろう。

小1になる息子が、「お芝居って、何もないところでやるものでしょ?」と言っていた。自分は男だからかその解釈はよくわかる。実際の場所で演じる映画やドラマと違って、芝居はその場で、そこにないものを想像しながら愉しむもの。これはかなり男性的なロジカルなもののとらえ方。

クリストファー・ノーランの映画みたいに、やれ70mmがどうのIMAXがどうのと、フォーマットにこだわるのは男性的。ちまちまマニアックな理屈に深入りするのも、映画の愉しみ方のひとつ。でもあんまりオタクな世界に没入してしまうと、肝心な映画の内容に入っていけなくなって本末転倒。

よく女性からは「で、その映画おもしろいの? 内容ぜんぜんわかんないんだけど」なんて言われちゃう。映画の愉しみ方は、男と女とで大きな違いのポイントだ。

自分ととらえ方が違う人と出会ったとき、それを面白がるか、排除しようとするかで、その人の人生は変わってくる。

『マグノリアの花たち』は、公開当時の10代の自分だったらサッパリわからない映画だっただろう。でも中年になった今だからこそ、この一件無駄話ばかりのように感じるところの面白さを愉しめるようになってきた。

歳をとると、感性にも多様性が芽生えてくる。こだわりが減り、ルーズになるのだろう。もののとらえ方ひとつで人生が豊かになるのなら、多角的にものごとをみつめていくクセをつけた方がお得に決まってる。

関連記事

no image

『ゲゲゲの娘、レレレの娘、らららの娘』天才と呼ばれた普通の父親たち

  なんともうまいタイトルの本。本屋さんをブラブラしていたら、水木しげるさんの追悼コ

記事を読む

no image

『かもめ食堂』クオリティ・オブ・ライフがファンタジーにならないために

  2006年の日本映画で荻上直子監督作品『かもめ食堂』は、一時閉館する前の恵比寿ガ

記事を読む

no image

『ローガン』どーんと落ち込むスーパーヒーロー映画

映画製作時、どんな方向性でその作品を作るのか、事前に綿密に打ち合わせがされる。制作費が高ければ高いほ

記事を読む

no image

『鉄道員』健さんなら身勝手な男でも許せちゃう?

  高倉健さんが亡くなりました。 また一人、昭和の代表の役者さんが逝ってしまいまし

記事を読む

no image

『間宮兄弟』とインテリア

  江國香織さん原作の小説を、故・森田芳光監督で映画化された『間宮兄弟』。オタクの中

記事を読む

no image

『ローレライ』今なら右傾エンタメかな?

  今年の夏『進撃の巨人』の実写版のメガホンもとっている特撮畑出身の樋口真嗣監督の長

記事を読む

no image

『ワンダー・ウーマンとマーストン教授の秘密』賢者が道を踏み外すとき

  日本では劇場未公開の『ワンダー・ウーマンとマーストン教授の秘密』。DVDのジャケ

記事を読む

no image

『この世界の片隅に』逆境でも笑って生きていく勇気

小学生の頃、社会の日本近代史の授業で学校の先生が教えてくれた。「第二次大戦中は、今と教育が違っていて

記事を読む

no image

『真田丸』歴史の隙間にある笑い

NHK大河ドラマは近年不評で、視聴率も低迷と言われていた。自分も日曜の夜は大河ドラマを観るという習慣

記事を読む

no image

『ゲゲゲの女房』本当に怖いマンガとは?

  水木しげるさんの奥さんである武良布枝さんの自伝エッセイ『ゲゲゲの女房』。NHKの

記事を読む

no image
『八甲田山』ブラック上司から逃げるには

今年になって日本映画『八甲田山』のリマスター・ブルーレイが発売されたら

no image
『さよなら、人類』ショボくれたオジサンの試される映画

友人から勧められたスウェーデン映画『さよなら、人類』。そういえば以前、

no image
『若草物語(1994年)』本や活字が伝える真理

読書は人生に大切なものだと思っている。だから自分の子どもたちには読書を

no image
『未来のミライ』真の主役は建物の不思議アニメ

日本のアニメは内省的で重い。「このアニメに人生を救われた」と語る若者が

no image
『映画から見える世界 上野千鶴子著』ジェンダーを意識した未来を

図書館の映画コーナーをフラついていたら、社会学者の上野千鶴子さんが書い

→もっと見る

PAGE TOP ↑