3D映画が『アバター』以来すっかり浸透した。
自分も最初の頃は3Dで作られた映画は3Dで楽しむべきと
上映館や上映時間を工夫して3D映画を観ていた。

最近ではすっかり3Dにも飽きて、
入場料が割高な3D版はあえて選ばず、
2Dで観ることが多くなった。

ただこの『ゼロ・グラビティ』は
絶対3Dで観なくては!と感じさせてくれた。
自分にとっては大奮発のIMAXでの鑑賞。
その選択でみごとに正解。
疑似宇宙体験がみごとにできた。

この映画の企画意図としては、3D撮影技術を使って
宇宙遊泳を疑似体験できる映画ができないだろうか?
ぐらいのものでしかなかったと想像する。

監督のアルフォンソ・キュアロンが
息子とともに書いた脚本は、
現在の宇宙空間で想定される事故のオンパレード。
次から次へとトラブルが発生してくる。

演出もアルフォンソ監督の得意とする
長回し演出を駆使し、撮影技術の随をつくして
宇宙空間へいざなってくれる。

登場人物も二人だけという地味な作りも
作品自体の密度を濃くさせる。

宇宙が舞台の映画だが、SF作品ではないんです。
時代設定は現代だし、登場するのも現代のテクノロジー。
言って見れば今日起こっても
不思議がない事故のシュミレーション。

ジャンルとしては
SFというより、ディザスターやスリラーに近い。
悲観的妄想が、興味深いフィクションになる好例。

問題提起としては、この映画の事故の原因となる
大気圏上に無数に放置されっぱなしの
スペースデブリの存在。

スペースデブリとは
人類が宇宙研究やGPSなどで使った
人工衛星やシャトルの廃棄物。
宇宙へのゴミの不法投棄みたいなもの。

今後このスペースデブリが、
宇宙空間上だけの問題ではなく、
地球に住む我々になにか危害を
加える可能性も大いに予想される。

無音で迫り来るスペースデブリの存在が
不気味で怖いったらありゃしない。

先日この作品をあらためて
自宅のBlu-rayで鑑賞し直してみた。
もちろん2D環境で。

劇場の臨場感には及ばずとも、
充分にスリリングな映画体験が出来た。

これは脚本を含め、撮影技術や演技、
あらゆる技術的工夫の結晶でしょう。

エモーショナルな作品というよりは
充分に計算されつくされた
クールな映画といったところでしょうね。