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『ジャングル大帝』受け継がれる精神 〜冨田勲さんを偲んで

公開日: : アニメ, メディア, 映画:サ行, , 音楽

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作曲家の冨田勲さんが亡くなられた。今年は音楽関係の大御所が立て続けに亡くなっている。ご冥福をお祈り致します。

自分にとって冨田勲さんの印象といえば、シンセサイザー奏者というよりも、『ジャングル大帝』や『リボンの騎士』など、手塚治虫さんのテレビアニメの音楽の印象が強い。

とくに『ジャングル大帝』の壮大なテーマ曲は、再放送を観ていた当時幼稚園児だった自分でも、カッコいいと感動していたものです。当時のアニメは子ども向けに作られているので、主題歌といえば主人公の名前が歌詞に入った、子ども向けの覚えやすいメロディーなのがあたりまえ。この『ジャングル大帝』では、オーケストラの歌なしのインスト曲がオープニングテーマ。舞台となるアフリカのリズムを交えた、ハリウッドの大作映画のサントラさながらの重厚な音づくり。

この『ジャングル大帝』は、制作当初から海外進出を念頭に置いて制作されていたらしい。ミュージカル要素の強い、映像とシンクロした音楽は、ディズニー映画の作り方を、日本のテレビアニメに取り入れたことになる。手塚治虫さんは、自身も大ファンであるディズニー作品のスタイルを、日本版でイノベーションしようとしたのだろう。

ディズニー映画の大作の作風は現在に至るまで一貫して、子ども向けであっても幼稚な作りをしていないこと。大人にも通用する最高のエンターテイメントの技術を導入する。それは子ども達に最高のものを観せてあげたいという、制作者達の思いの現れだろう。この演出技術の素晴らしさだけで、ストーリーに感情移入する前から感動させられてしまう。

このテレビアニメ『ジャングル大帝』が制作された1960年代は、アニメーションというジャンル現れたばかり。日本ではまだまだこれからどんなものに化けていくのかわからない時代。制作者達はこの新しいジャンルで何が出来るか模索していただろう。新しい芸術に携わるカッコよさ、どれだけワクワクすることだろうか。だからこそ、現在の日本のアニメが、ごく限られた人向けだけに作られている現状は、ちょっと寂しかったりもする。

『ジャングル大帝』を海外へ持っていったとき、冨田勲さんのこの音楽はとてもユニークな印象を与えたことでしょう。のちにディズニーで発表され、いまだミュージカル版はロングランの記録を伸ばしている『ライオンキング』は、この『ジャングル大帝』からインスパイアを受けているのは周知のこと。『ライオンキング』発表当時、アメリカから手塚側はディズニーを盗作で訴えるべきではと打診されていた。その返答が「手塚は生前、ディズニー作品を愛していたのでむしろ光栄に思っているでしょう」というもので、ゴシップを期待していた世の中に、逆に美談となって伝わった。

作品が生まれるには、過去の良質な作品を愛するものがそれに影響され、ブラッシュアップされ新作となっていくことは、クリエイティブの世界ではよくあること。それをパクリととるかオマージュととるかは、その新作の中にある、過去作への真摯な敬愛の念が感じられればすぐ判断できる。

手塚治虫さんの作品は、そもそもディズニーのタッチの模倣からはじまっている。それをパクリと言われたら、もう立場がない。もし裁判大国アメリカのノリで訴えてしまったら、つまらない泥試合にしかならなかっただろう。お互いがお互いのファンだからこそ、名作が生まれる。新作のモチベーションは敬愛から!

原作の漫画『ジャングル大帝』は、主人公レオが生まれ、親離れして家族をつくり、命尽きるまでの一代記。レオが最後を迎える頃、息子は少年期のレオと瓜二つになっている。こうして命は受け継がれていく。壮大なテーマは『ライオンキング』でも『サークル・オブ・ライフ』として、やはり受け継がれていく。

作者がこの世を去ったあとでも、その精神は次世代へと脈々と受け継がれていくのは、なんともロマンに溢れている。

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