流転の民族ユダヤ人は、どこの社会に行っても成功していくらしい。商売上手だったり、仕事ができるのはもちろんだが、どうやらそれだけではないみたい。

ユダヤ人と言えばずっと虐げられ続けている歴史がある。迫害を受けたユダヤ人は、当然自分たちの権利を得ようと闘う。

とかく虐げられられた民族は、自分たちの人権獲得のみに目がいってしまいがち。でもユダヤ人のすごいところは、自分たちのことだけではなく、すべての人たちがより良く生きられる社会を目指そうとする。そんな利他的で高尚な志なら、成り上がっていくのも当然だ。

なんでも実はアメコミも、ユダヤ人が作り出したカルチャーだとか。子どもたちに正義の心を伝えるための、道徳教育の目的があったらしい。人のために生きることの大切さを教えようと。

アメコミのヒーローたちは、正義のために闘いながらも、常にその立場の矛盾に苦悩している。アメコミというジャンル名にも関わらず、アメリカ人ではないユダヤ人の発案というのも、移民でできた国らしい。

そういえばマーベルのドンであるスタン・リーもユダヤ系。アメコミ=ユダヤ人説は信憑性がある。

昨年、ワーナー&DCと、ディズニー&マーベルの監督通しのディスり合いがあった。みんなが正義の心でハッピーに生きる術を問う、アメコミのテーマからすると、なんとも不本意なエピソード。アメコミ創始者たちは、さぞ悲しんだだろう。

スタン・リーは一連のマーベル・シネマティック・ユニバースには、必ずワンシーン、カメオ出演する。このことをウチの子どもたちに伝えたら、毎回新作を観るたびに「みつけた!」ときゃあきゃあ言って喜んでる。ディズニーアニメの『ベイマックス』にもサプライズ出演してるのだから、ファンサービスも徹底してる。

『ドクター・ストレンジ』の名を自分が初めて聞いたとき、『ドクター・ストレンジラブ』こと『博士の異常な愛情』のリメイクなのかと勘違いしてしまった。自分はアメコミ自体には疎いのだが、この一連のマーベル映画シリーズは毎回楽しみにしている。

『ドクター・ストレンジ』を、人気俳優ベネディクト・カンバーバッチが演じる。彼が今後、アベンジャーズの仲間に入っていくのも期待大。

この映画のイマジネーションは、近年のSF映画の面白かった部分の、パッチワークのてんこ盛り。以前のハリウッドなら、パクリだと裁判沙汰になりそうなくらい。場面場面の元ネタ映画を探るのも楽しい。まあ悪く言えばオリジナリティがないんだけど、基本的に明るく軽いコメディタッチの映画なので、ポップコーンムービーとしては上出来。大のオトナが、コスプレして飛び回るんだから、大まじめにやられても困っちゃう。

監督のスコット・デリクソンは、やっぱり自分と同年代。きっと映画オタクのまま、映画監督になっちゃったのだろう。

天才外科医のドクター・ストレンジが、不慮の事故により、医師の道を断念せねばならなくなる。諦めきれないストレンジは、魔術の力で、外科医に戻ろうとする。修行をするうちにスーパーヒーローになっいくというのが映画の大筋。

魔術で闘う設定なので、何でもアリのようなアクションシーンが展開される。その見せ場でたくさん笑わせてくれる。ハチャメチなようでいて、観客がちゃんと理解ができるよう、きちんと整理されている。エンタメはわかりやすいことも大事。

自分は残念ながら2D版での鑑賞だったが、これが3Dや4DXだと、酔うんじゃないかと思われる映像の連続。ディズニー映画だから、当然アトラクション要素は想定してるだろう。

ロケ地は、ロンドン、ニューヨーク、カトマンズ、香港と世界を股にかけている。経済的にも文化的にも、すっかりパワーが弱まって、オトナの事情ばかりがねじくれまくった日本には、もうハリウッドは来てくれないんだろな。ちょっと前だったら、アジアのポジションは日本だったかも?

見習い魔術師のストレンジが、悪漢と闘い、相手を殺めてしまう。「自分は人の命を救いたくて医者になったのに、人を殺してしまった!」苦悩するストレンジの姿は、マーベルキャラクターらしい。

ドクター・ストレンジはエリート外科医。アイアンマンのトニー・スタークも、メカニックのエリート。アベンジャーズでこの2人が相見えたときの化学反応が楽しみだ。カンバーバッチとロバート・ダウニーjrの共演は見ものだ。そういえば双方の代表作は『シャーロック』だったっけ。

アベンジャーズの新メンバー登場のエピソードは、いつも説明的であまりパッとしない。でも新キャラの設定を理解しておかないと、後でおいてけぼりにされちゃう。

さあ、ドクター・ストレンジはどこへ行く? とりあえず『マイティソー』の次回作に、ストレンジは帰って来るらしいけど。