『塔の上のラプンツェル』 深刻な問題を明るいエンタメに
大ヒット作『アナと雪の女王』もこの
『塔の上のラプンツェル』の成功なしでは
企画すら通らなかったと思います。
ディズニーは自社の制作アニメは
最近までパッとせず、以前クビにした
ジョン・ラセターのピクサースタジオを買収し、
彼をスーパーバイザーにして、
なんとかして起死回生を狙っていた。
明るくて可愛い女の子が
冒険していくプリンセスもの。
ディズニーの定番を踏襲しながらも、
プリンセスを迎えにくる若い男は泥棒だったりして、
チョイワルなところが現代的。
グリム童話を原作とした本作。
グリムの話なので、基本はドロドロした
心情が見え隠れしている。
本作ではラプンツェルと継母の関係。
継母はラプンツェルを幼少時にさらって育てた魔女。
継母は下界は危険だからと、娘を塔の上に幽閉する。
ラプンツェルの魔法の髪が治癒力を持っているので、
その力を独占したいためだ。
親の都合で子どもを
自立させまいとする親がたまにいる。
どんな理由があれど、
子どもはいつか親元を巣立つのが自然。
子どもを外に出すまいとする親は、
なにがしかの問題があると思う。
親の言っていることが
必ずしも正しいとは限らない。
子どもはいつか気づくのです。
絶対的であった親の存在も、
実は大したことはないのだと。
自分も親の過干渉に耐えきれず
家出をするように出て来た身。
あのとき家を出てなかったら、
今、結婚して自分の家庭など
持てていなかったと思います。
時として理解のない親に対して、
厳しい決断をしなければならない時もあります。
自分自身の人生をまもるために。
親離れができない子ども。
子離れができない親。
どちらも自然の摂理からはズレているのです。
自分の人生に責任を取れるのは
誰よりも自分自身しかいないのですから。
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