*

『ターミネーター2』 メジャーだって悪くない!!

公開日: : 最終更新日:2021/05/25 映画:タ行, 映画館

今年の映画業界はビッグネームの続編やリメイク・リブート作で目白押し。離れてしまったかつての映画ファンを取り戻そうとしてるのか? それともただ単に新しい企画がないのか? こんなに立て続けにメジャー作が公開されると、全部消化するのは不可能だろうな。

『ターミネーター』シリーズもリブートされる。このシリーズは初期作の生みの親ジェイムズ・キャメロンが監督を降りてからも何度も新作が作られ、テレビシリーズにもなった。自分もぜんぶ観てると思うけど、やっぱり最初の2作品にはかなわない。なんとなく自分の中では『ターミネーター2』でシリーズは完結しているような印象だ。

『ターミネーター』の続編で、後に新作を発表する度社会現象にまでなるキャメロン監督の続投。1作目では低予算だったにも関わらず、パート2は超大作になっていた。

この映画が公開された1991年は自分はまさに映画学生。そのころアートシネマが流行っていて、自分も小難しい映画こそ映画と信じてた頃だった。ジャームッシュやヴェンダース、タヴィアーニ兄弟とか独立系映画に憧れていた。

そんな矢先に出会った学校の仲間で、もうメジャーアクション映画が作りたい激しい情熱の同期生がいた。彼はどうやったら迫力あるカメラワークになるかとかものすごく真剣に研究していた。カメラワークひとつでも、撮り方ひとつで全然変わってくるのをその人から学び、想いの丈を感覚に任せてぶつけても、相手(観客)に届かない事を知った。もうその技術の探求、創作活動は芸術そのものじゃん!! アクション映画をなめてかかっていた自分を反省し、メジャーである事、多くの人に受け入れられる作品というのは、技術的な工夫がものすごくなされている極上品なのだと知りました。(ちなみにその同級生は、その後、有名な監督さんになったらしいと風の噂に聞きました。今彼はどうしてるのだろう……。)

その当時、映画小僧の自分たちが夢中になったのがこの映画。みんなで映画館へ観に行ったり、誰かが輸入版を手に入れたら、それをみんなで絵コンテに落とし直して検証したり、いろいろ研究させてもらった作品です。

ジェイムズ・キャメロンは商業映画としてのセンスは抜群。イヤラシいくらい商売になる映画を技術的に検証して作る。これ好きでしょ?これも好きでしょ?と観客のニーズをがっちりおさえてる。観客としてはなんともムカつくのだけれど、映画自体が面白いので、キャメロンの仕掛けにまんまとのせられてしまう。ホントにズルい監督。このエンターテーメントテクニックは、後の『タイタニック』や『アバター』へと続いて行く訳です。

まったくもう、ジェイムズ・キャメロン憎し!!(笑)

関連記事

『007 スペクター』シリアスとギャグの狭間で

評判の良かった『007 スペクター』をやっと観た。 前作『スカイフォール』から監督は続

記事を読む

『チャレンジャーズ』 重要なのは結果よりプロセス!

ゼンデイヤ主演のテニス映画『チャレンジャーズ』が面白いとネットで話題になっていた。なんでも劇

記事を読む

no image

『台風クラブ』制服に封じ込まれたもの

このたびの台風により、被害を受けられた皆様に心からお見舞い申し上げます。 台風18号が東日本に

記事を読む

『Ryuichi Sakamoto | Opus』 グリーフケア終章と芸術表現新章

坂本龍一さんが亡くなって、1年が過ぎた。自分は小学生の頃、YMOの散会ライブを、NHKの中継

記事を読む

『デューン/砂の惑星(1984年)』 呪われた作品か失敗作か?

コロナ禍で映画業界は、すっかり先行きが見えなくなってしまった。ハリウッド映画の公開は延期に次

記事を読む

『tick, tick… BOOM! 』 焦ってする仕事の出来栄えは?

毎年2月になると、アメリカのアカデミー賞の話が気になる。エンターテイメント大国のアメリカでは

記事を読む

『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』 お祭り映画の行方

『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』やっと観た! 連綿と続くMCU(マーベル・シ

記事を読む

『デッドプール&ウルヴァリン』 マルチバース、ずるい

ディズニープラスの年末年始の大目玉作品といえば、『インサイド・ヘッド2』かこの『デッドプール

記事を読む

『帰ってきたヒトラー』 これが今のドイツの空気感?

公開時、自分の周りで好評だった『帰ってきたヒトラー』。毒のありそうな社会風刺コメディは大好物

記事を読む

『THE FIRST SLAM DUNK』 人と協調し合える自立

話題のアニメ映画『THE FIRST SLAM DUNK』をやっと観た。久しぶりに映画館での

記事を読む

『ケナは韓国が嫌いで』 幸せの青い鳥はどこ?

日本と韓国は似ているところが多い。反目しているような印象は、歴

『LAZARUS ラザロ』 The 外資系国産アニメ

この数年自分は、SNSでエンタメ情報を得ることが多くなってきた

『牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件』 みんな良い人でいて欲しい

『牯嶺街少年殺人事件』という台湾映画が公開されたのは90年初期

『パスト ライブス 再会』 歩んだ道を確かめる

なんとも行間の多い映画。24年にわたる話を2時間弱で描いていく

『ロボット・ドリームズ』 幸せは執着を越えて

『ロボット・ドリームズ』というアニメがSNSで評判だった。フラ

→もっと見る

PAGE TOP ↑