このたびの台風により、被害を受けられた皆様に心からお見舞い申し上げます。

台風18号が東日本に猛威を振るった9月9日は相米慎二監督の命日でもあった。相米慎二と台風……、『台風クラブ』!! 自分はその頃まだ映画監督の名前で映画を観ることのなかった中学生の頃、同年代の中学生が登場する『台風クラブ』をテレビの放送で初めて観た。相米慎二監督作品では、薬師丸ひろ子さんの「カイカン」で有名な『セーラー服と機関銃』とか、『うる星やつら/オンリー・ユー』の併映だった『ションベン・ライダー』を観ていたので、無意識のうちに相米作品は観ていたことになる。相米慎二監督の映画が今の規制の多い日本で、地上波放送は難しいかもしれない。

相米慎二監督といえば、カット割をしないで長回しのロングショットで延々ワンシーンを撮る演出が有名。緊張感や臨場感を伝えるスタイル。この作風は終始一貫していた。昨今の映画の役者の顔のアップばかりの映像に慣れてしまった目には、あらためて新鮮な感じすらする。

映画は台風で学校に閉じ込められた中学生達が、台風のように思いを開放、爆発させていくというもの。当時中学生だった自分には、どうも感情移入ができない「大人っぽい世界」だった。そもそも中学生が登場人物の設定でも、実際の中学生が演じているわけではなく、何歳か年上のお兄さんお姉さんが中学生を演じているし、大人目線で描かれた中学生の世界は、リアルタイムの中学生には達観しすぎていて、よくわからないものだった。この頃の1〜2歳年上はかなり大きな差がある。そもそもその頃の自分は、何も考えず何もこだわりがなかったので、「こんなものなのかな〜」とファンタジーを観るような感覚だった。岩井俊二監督作品や『おおかみこどもの雨と雪』など、後の日本の青春映画に多大に影響をあたえている。

キレやすい学生という言葉が生まれる前のこの映画。10代といえばきらびやかな記憶というよりも、鬱屈した灰色の時期という印象しかない。思春期はその暗い自分と真っ向から向き合うか、目をそらすくらいかが個性で、人生でいちばんつまらない時期なのではと思ってしまう。その灰色の記憶を刷新するために青春映画は存在しているのかと感じてしまうのです。昨今のただただ明るく軽い日本の青春作品は、現実逃避の現れなのではないのかと邪推してしまう。そもそも10代は心も体も形成される大事なとき。その大切な時期を制服で閉じ込めて、みんな同じに統制しようとするから、うっぷんも出てくるのでしょう。

日本社会はとくに飛び抜けた個性を嫌います。それが天才的な才能で、世の中を良くするかも知れない能力であったとしても、新しいものを嫌い、封じ込めようとする性質があります。大人が理解できないことを子どもがしでかすことへの脅威。それを規則で封じ込める。でもそれでは天才は生まれない。この恐怖をを社会が乗り越えられたとき初めて社会が成長していくのかもしれません。

ホントは10代だからこそ色々経験を積まなければいけない時期なんだと思います。制服に封じ込めて、規則でがんじがらめにするのではなく。10代のうちに生涯の仕事を決めておかなければ、社会で役に立つまでの時間がかかりすぎる。大学を卒業する頃にやっと仕事を考えるなんて遅すぎると感じてしまうわけです。