*

『はだしのゲン』残酷だから隠せばいいの?

公開日: : 最終更新日:2019/06/13 ドラマ, 映画:ハ行,

 

明日8月6日は広島の原爆の日ということで、『はだしのゲン』ドラマ版の話。

小学校の学級文庫には必ずあった『はだしのゲン』。自分が小学生だった頃は、マンガが学校においてあること自体奇跡だった。なので騙されて読んでしまうのだけれど、この作品は広島の原爆の物語。途中からは残酷な場面が連続して、自分はもうホラーマンガのごとく怖がって読んだものです。ただホラーと違うのは、この地獄絵図はニセモノではなく実際に起こったこと。それがもうショックだった。

数年前、この『はだしのゲン』を学校図書に置かないという動きがあった。原作者の中沢啓治氏が亡くなってすぐだったので、なんだか卑怯な感じがしたものです。小学図書からの撤去理由はさまざまだったが、やはりこの作品の根底には戦争への怒りがある。悲しみよりもはるかに大きな怒り。そして左寄りの思想へ向かっていく後半部分を危惧したのかも知れない。もちろん小学生の段階から偏った思想に向かうのは感心できないが、それならば右の本も読んでみたり、多角的に物事を見る目を養ってあげる方が正しい。蓋をするのはやましいことがあるからなのではと疑ってしまう。

この作品は2007年にテレビドラマ化された。残酷な表現もテレビ放映用にマイルドに演出されている。そうなることによって「ああこんな話だったのか」と、物語の骨格がしっかりとみえてきて、初見のような感想を持つトンチンカンな自分がいた。弟役の子がマンガ原作にそっくりなのね。中井貴一さんが演じるゲンのお父さんは、戦時中の管理の厳しい中でも自分の意見をしっかり通す立派な人。その時に自分の意思表示をハッキリさせるということはどれだけ勇気のいることか。もちろん周囲から心ない迫害にもあいます。なにが正しいのかわからなくなります。そんなお父さんも原爆のとき姉と弟と共に死んでしまう。どんなに立派な人でも死んでしまうという。子どもが怯えながら死んでいく場面はとてもかわいそう。戦争の理不尽さを伝える重要な悲しい場面です。これは海外の人でも共感できるはず。

まだ小さな自分の子ども達も、いずれは戦争の残酷さを伝える本や物語に触れることでしょう。自分も小学生低学年のときに原爆のことを知り、夜寝れなくなったことを覚えている。あのときの衝撃はいまでも鮮明に記憶している。ウチの上の子は感受性が強いから、きっとショックで泣くだろうな。気の毒だな。そのときせめて一緒に泣いてあげよう。そして落ち着いたら話し合おう。戦争のこと、人生のことについて。

関連記事

『チ。 ー地球の運動についてー』 夢に殉ずる夢をみる

マンガの『チ。』の存在を知ったのは、電車の吊り広告だった。『チ。』というへんなタイトルがキャ

記事を読む

『呪術廻戦』 邪悪で悪いか⁉︎

アニメ映画『呪術廻戦0』のアマプラ独占配信の予告を観て、『呪術廻戦』をぜんぶ観たくなった。実

記事を読む

『デューン/砂の惑星(1984年)』 呪われた作品か失敗作か?

コロナ禍で映画業界は、すっかり先行きが見えなくなってしまった。ハリウッド映画の公開は延期に次

記事を読む

『時効警察はじめました』むかし切れ者という生き方

『時効警察』が12年ぶりの新シリーズが始まった。今期の日本の連続ドラマは、10年以上前の続編

記事を読む

『藤子・F・不二雄ミュージアム』 仕事の奴隷になること

先日、『藤子・F・不二雄ミュージアム』へ子どもたちと一緒に行った。子どもの誕生日記念の我が家

記事を読む

no image

『スノーマン』ファンタジーは死の匂いと共に

4歳になる息子が観たいと選んだのが、レイモンド・ブリッグスの絵本が原作の短編アニメーション『スノーマ

記事を読む

no image

ホントは怖い『墓場鬼太郎』

  2010年のNHK朝の連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』で 水木しげる氏の世界観も

記事を読む

no image

『ピーターパン』子どもばかりの世界。これって今の日本?

  1953年に制作されたディズニーの アニメ映画『ピーターパン』。 世代を

記事を読む

『ツイン・ピークス』 あの現象はなんだったの?

アメリカのテレビドラマ『ツイン・ピークス』が 25年ぶりに続編がつくられるそうです。

記事を読む

『ドライブ・マイ・カー』 綺麗な精神疾患

映画『ドライブ・マイ・カー』が、カンヌ国際映画祭やアカデミー賞で評価されているニュースは興味

記事を読む

『ウィキッド ふたりの魔女』 陰惨な世界を軽やかに歌い上げよう

観るべきかやめるべきか迷っていた映画『ウィキッド ふたりの魔女

『ひらやすみ』 とがって、たたかれ、まるくなり。

2025年の冬、自分のSNSのタイムラインでは『ひらやすみ』と

『プレデター バッドランド』 こんなかわいいSFアクション映画が観たかった

『プレデター』の最新作が公開される。近年日本では洋画が不人気。

『藤本タツキ 17-26』 変態宣言を強要する珠玉のアニメ短編集!

『チェンソーマン』は、期待してなかったにも関わらず意外とハマっ

『Ryuichi Sakamoto: Diaries』 こうしてすべてが変わっていく

『Ryuichi Sakamoto: Diaries』という映

→もっと見る

PAGE TOP ↑