*

一見水と油かと思いきや。寂聴さんとホリエモンの対談集『死ぬってどういうことですか?』

公開日: : 最終更新日:2019/06/15

 

尊敬する瀬戸内寂聴さんと、
自分はちょっとニガテな
ホリエモンこと堀江貴文さんの対談集
死ぬってどういうことですか?

寂聴さんホリエモンにキレルみたいな記事をみて
胃が苦しくなったが、
この水と油のようなお二人の対談には興味が湧いた。
しかも「死生観」についての対談。

普段避けていた存在でもあるホリエモン。
こんな機会でもなければ
彼の言葉に耳をかたむけることもなかったので、
結果的にとても良かった。

瀬戸内寂聴さんは御歳92歳。
言わずもがなものすごい恋愛経験を経て、
人生の酸いも甘いも経験して尼僧になった方。
言葉には重みがあり、説得力がある。

ホリエモンは天才。
文脈からADHDの気があるのが伺える天才。
ものすごく道理がわかってらっしゃる。
それで随所に心ないような発言がみえるのだが、
丁寧に聞いていけばどの言葉も筋が通っている。

宣伝の記事では寂聴さんとホリエモンが
口論したように感じるが、
まったくもってそんな事はなく、
お互いがお互いを尊重し、終始穏やか。

基本的に二人の意見は一致していて、
視点は違えど核心は一つなのがわかる。

二人がぶつかったようにみせて宣伝するのは間違い。
奇をてらった本編とは関係のない書評。
自分と違う意見が出た時、
「どうしてそう思うの?」と質問している。
ディスカッションはそうしてはじまるもの。
異なる意見を責めている訳ではない。

その人のインテリジェンスはこういったところにでる。
知識人はこうでなくては!

これからの日本に必要なのは、
たとえ意見の異なった相手でも、
意見を発する人を尊重し、耳を傾けて行く事。

自分と異論を放つものを排除するなんて
幼稚な発想は改めたいものです。

いろんな意見があって、はじめてディスカッションができ、
よりよい世の中へと向かって行く第一歩となるのです。

お二人の話を聞けば聞く程、
右とか左とかでは計り知れない問題が多い。

理論理屈で論破するのも違うし、
こわいこわいと感情論で冷静さを欠くのも違う。
かといって
順序だてて物事を考察して行くことは大切だし、
直感を信じることもまた大切。

この本を読んではじめてホリエモンと言う人が
なんとなく理解できたのは大きな収穫。

ホリエモンと自分は同世代。
彼の才能は本書でも十分伝わる。
凡人離れした天才です。

それゆえ欠如している部分も大きい。
それは「人との共感力」。

彼は、道理や理屈では凡人より
遥かに高い知識をもっています。

如何せん経験がともなわないので、
わからないといったところの落差が激しい。

彼も本書で語っていますが、
親にきちんと愛情を注がれてこなかったと言う事。

だからこそ自分の子どもや家族、恋人といった
「人の心」には本質的に興味がない。

そんな同世代って多いと思います。
自分も親からは上手に愛情を受けない
幼少期を送りました。

ただ自分は子ども時代寂しい思いをした分、
自分が親になった時は
子どもの話を聞ける大人になりたいと、
未来の自分に約束しました。

優秀なビジネスマンにはなれそびれたけれど、
その子どもの頃の自分との約束は
いまでも守り続けたいと思っております。

ホリエモンやヒルズ族といわれるタイプの人種とは
根本的な人生観が違うみたい。
だからこそホリエモンがニガテだったのかも知れません。

本書を読んで、このニガテ意識は
なんとなく払拭できましたけどね。

関連記事

no image

『デッドプール2』おバカな振りした反骨精神

映画の続編は大抵つまらなくなってしまうもの。ヒット作でまた儲けたい企業の商魂が先に立つ。同じキャラク

記事を読む

no image

『高い城の男』占いは当たらない?

  映画『ブレードランナー』の原作者フィリップ・K・ディックの代表作『高い城の男』。

記事を読む

no image

『鉄コン筋クリート』ヤンキーマインド+バンドデシネ

アニメ映画『鉄コン筋クリート』が公開されて今年が10周年だそうです。いろいろ記念イベントやら関連書籍

記事を読む

『映画から見える世界 上野千鶴子著』ジェンダーを意識した未来を

図書館の映画コーナーをフラついていたら、社会学者の上野千鶴子さんが書いた映画評集を見つけた。

記事を読む

no image

映画づくりの新しいカタチ『この世界の片隅に』

  クラウドファンディング。最近多くのクリエーター達がこのシステムを活用している。ネ

記事を読む

no image

『おさるのジョージ』嗚呼、黄色い帽子のおじさん……。

  もうすぐ3歳になろうとするウチの息子は イヤイヤ期真っ最中。 なにをするにも

記事を読む

no image

『オール・ユー・ニード・イズ・キル 』日本原作、萌え要素を捨てれば世界標準

  じつに面白いSF映画。 トム・クルーズのSF映画では 最高傑作でしょう。

記事を読む

『薔薇の名前』難解な語り口の理由

あまりテレビを観ない自分でも、Eテレの『100分de名著』は面白くて、毎回録画してチェックし

記事を読む

no image

『反社会学講座』萌えアニメも日本を救う!?

  まじめなことにユーモアをもって切り込んでいくのは大切なことだ。パオロ・マッツァリ

記事を読む

no image

育児ママを励ます詩『今日』

  今SNSで拡散されている 『今日』という詩をご存知でしょうか。 10年程

記事を読む

『ブラックパンサー』伝統文化とサブカルチャー、そしてハリウッドの限界?

♪ブラックパンサー、ブラックパンサー、ときどきピンクだよ〜♫

『ベニスに死す』美は身を滅ぼす?

今話題の映画『ミッドサマー』に、老人となったビョルン・アンドレ

『白洲次郎(テレビドラマ)』自分に正直になること、ズルイと妬まれること

白洲次郎・白洲正子夫妻ってどんな人? 東京郊外ではゆかりの人と

『サトラレ』現実と虚構が繋がるとき

昨年、俳優の八千草薫さんが亡くなられた。八千草さんの代表作には

『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』考えずに依存ばかりしてると

クエンティン・タランティーノ監督の最新作『ワンス・アポン・ア・

→もっと見る

PAGE TOP ↑