*

原作への愛を感じる『ドラえもん のび太の恐竜2006』

公開日: : 最終更新日:2019/06/14 アニメ, 映画:タ行,

 

今年は『ドラえもん』映画化の
35周年だそうです。

3歳になる息子のお気に入り映画
『ドラえもん のび太の恐竜2006』。
数あるドラえもん映画の中でも
特にこの作品がお気に入りのようです。

この映画、自分にとっても思い入れのある作品。
思い返せば35年前、小学校低学年の自分が
生まれてはじめて劇場で観た映画が
この作品のオリジナルである『ドラえもん のび太の恐竜』。
この『~2006』はリメイク作品にあたる。

自分がこの映画のオリジナル版を観た当時、
はじめての劇場のスクリーンが大きいので
感動したのを憶えています。

劇場は大入りで、立ち見で観ました。
当時は今のように、席確保が予約制じゃなかったのです。

子どもなので手すりのあるところまで一人で行って、
同伴してくれた父親は、後ろの方で観ていました。
映画が観れた感動で、コンディションの悪さなど
気にもなりませんでした。
懐かしい思い出です。

おそらく『~2006』のスタッフも同じような
子ども時代の記憶があるのでしょう。
原作への愛が本作からにじみ出ています。

本作は今までのボイスキャストから
一新しての初の映画版。
心機一転のスタート作に『のび太の恐竜』を
選ぶのは当然といったところ。

藤子プロがなんとかして過去の
藤子・F・不二雄氏の作品で
もう一度一儲けできないかと
欲もあったのでしょうが、
スタッフの原作への愛や、
藤子F氏への尊敬の念のほうが勝り、
今のドラえもん映画の再評価へと繋がったのでしょう。

自分も子どもにかこつけて、
この『平成ドラえもん映画』を毎年楽しみにしています。

この映画版、藤子F原作のリメイク作と、
今のスタッフのオリジナルストーリー作との
毎年交互に発表しています。

リメイク作は文句なしに面白いのですが、
オリジナル作はどうもイマイチ。

今は絵の描ける人は多いのだが、
物語が書けない人が多いという表れでしょう。
藤子F氏がいかにストーリーテラーだったかがわかります。

いつも藤子作品では、ファンタジーの世界の中に
きちんとした科学的根拠を織り交ぜて
その世界観の説得力をつけてくれ、感心させられます。

これは手塚治虫氏からも受け継がれている精神。
子ども向けだからといって決してバカにされたくない
本格的なハードSFを子どもにも理解できるレベルで
やってのけるという枷を作っていたのでしょう。

だからSFファンが観ても見応えがあるのです。
ドラえもんを侮る事なかれ!!

関連記事

『呪術廻戦』 邪悪で悪いか⁉︎

アニメ映画『呪術廻戦0』のアマプラ独占配信の予告を観て、『呪術廻戦』をぜんぶ観たくなった。実

記事を読む

『クレヨンしんちゃん』 子どもが怖がりながらも見てる

かつて『クレヨンしんちゃん』は 子どもにみせたくないアニメワースト1でした。 とにか

記事を読む

『チェルノブイリ』 あれ、みんな英語しゃべってる?

先日、福島で震度6強の地震があった。311の東北震災から、もうすぐ10年が経とうとする矢先の

記事を読む

『否定と肯定』感情を煽るものはヤバい

製作にイギリスのBBCもクレジットされている英米合作映画『否定と肯定』。原題は『Denial

記事を読む

no image

『her』ネットに繋がっている時間、私の人生は停まっている

スパイク・ジョーンズ監督作品『her/世界でひとつの彼女』は、本格的なSF作品としてとても興味深い。

記事を読む

『透明なゆりかご』 優しい誤解を選んでいく

NHKで放送していたドラマ『透明なゆりかご』。産婦人科が舞台の医療もの。これは御涙頂戴の典型

記事を読む

『インサイド・ヘッド』むずかしいことをゆかいに!!

ピクサーの2015年作品『インサイド・ヘッド』。ものすごい脚本だな〜、と感心してしまう映画。

記事を読む

no image

『反社会学講座』萌えアニメも日本を救う!?

  まじめなことにユーモアをもって切り込んでいくのは大切なことだ。パオロ・マッツァリ

記事を読む

『ロード・オブ・ザ・リング』 ファンタージーがファンタジーのままならば

Amazonのオリジナル・ドラマシリーズ『ロード・オブ・ザ・リング 力の指輪』が配信開始にな

記事を読む

『のだめカンタービレ』 約束された道だけど

久しぶりにマンガの『のだめカンタービレ』が読みたくなった。昨年の2021年が連載開始20周年

記事を読む

『SHOGUN 将軍』 アイデンティティを超えていけ

それとなしにチラッと観てしまったドラマ『将軍』。思いのほか面白

『アメリカン・フィクション』 高尚に生きたいだけなのに

日本では劇場公開されず、いきなりアマプラ配信となった『アメリカ

『不適切にもほどがある!』 断罪しちゃダメですか?

クドカンこと宮藤官九郎さん脚本によるドラマ『不適切にもほどがあ

『デューン 砂の惑星 PART2』 お山の大将になりたい!

ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督、ティモシー・シャラメ主演の『デューン

『マーベルズ』 エンタメ映画のこれから

MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)の最新作『マーベ

→もっと見る

PAGE TOP ↑