*

高田純次さんに学ぶ処世術『適当教典』

公開日: : 最終更新日:2019/06/15

 

日本人は「きまじめ」だけど「ふまじめ」。

決められたことや、過酷な仕事でも
我慢してやりこなす「きまじめ」な国民性だけど、
足下の問題や、家族や社会の問題を
きちんと考えないで逃げてしまう。
政治家や誰かがやってくれるだろうと
他人任せにする「ふまじめ」さも合い備えている。

これらが進めば、どんどん自分の首が絞まっていく。
今の日本の状態がそれ。

どちらかに行き過ぎず、適当な塩梅がちょうどいい。
仏教で言うところの中道でしょうか。

そんないま、高田純次さんの発言が再評価されている。

東京の街行く人々は
みんな無表情で冷たく日々を暮らしている。
先行きの見えない暗い毎日。
ともすると、すべてがネガティブに見えてしまう。

高田純次さんというと適当芸人として有名。
高田さんの適当な発言に、みんなクスッとし、
「あ、適当でいいんだ」と励まされもする。

そんなに深刻にとらえる事もない。
生きていれば何とかなるさ。
活路も見出せるさ。ケセラセラ。

ただ、高田純次さんの適当は、
実はただ適当なだけではない。
道理を突いているのです。

1980~2000年くらいまで、日本のテレビでは
コメディアンをいじめて笑うと言う、
陰湿な笑いが流行っていた。

当然、高田純次さんも理不尽な
ヒドイ目にあわされてきた。

文章の行間から、その屈辱や辛さを乗り越えた
たくましさが伝わってくる。

適当と言っても、いつも人を笑わせようとしている
相手を思いやる心にもとれる。

くだらない事言ってるヤツには、
もっとくだらないこと言って、
「お前の考えくだらないぞ」と遠巻きに教えてる。

実は高田純次さんの娘さんが、妻と同級生で、
学校行事で実際の高田純次さんを見かけた事があるそうです。

高田さんはルックスも良いのですが、
もの静かで、本当にダンディでカッコ良かったそうです。
良い意味で他のお父さんとは違っていたそうです。

タレントのオーラとは、目立つと言う事ではないと思います。
自分自身が看板となる覚悟そのものではないでしょうか。

適当の中には、人生の厳しさを乗り越えた強さがあるのです。

そういえばこの本を読んでいて、
高田さんが役者を目指す前の職業に
グラフィックデザイナーというのがありました。

なんだ、自分と同業。
勝手に親近感が湧いてしまいました。

関連記事

『鬼滅の刃 無限列車編』 映画が日本を変えた。世界はどうみてる?

『鬼滅の刃』の存在を初めて知ったのは仕事先。同年代のお子さんがいる方から、いま子どもたちの間

記事を読む

no image

モラトリアム中年の悲哀喜劇『俺はまだ本気出してないだけ』

  『俺はまだ本気出してないだけ』とは 何とも悲しいタイトルの映画。 42歳

記事を読む

『君たちはどう生きるか』 狂気のエンディングノート

※このブログはネタバレを含みます。 ジャン=リュック・ゴダール、大林宣彦、松本零士、大

記事を読む

『下妻物語』 若者向け日本映画の分岐点

台風18号は茨城を始め多くの地に甚大なる被害を与えました。被害に遭われた方々には心よりお見舞

記事を読む

no image

『やさしい本泥棒』子どもも観れる戦争映画

人から勧められた映画『やさしい本泥棒』。DVDのジャケットは、本を抱えた少女のビジュアル。自分は萌え

記事を読む

no image

『ムヒカ大統領』と『ダライ・ラマ14世』に聞く、経済よりも大事なこと。

最近SNSで拡散されているウルグアイのホセ・ムヒカ大統領のリオで行われた『環境の未来を決める会議』で

記事を読む

『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』これからのハリウッド映画は?

マーベル・ユニバース映画の現時点での最新作『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』をやっと

記事を読む

『龍の歯医者』 坂の上のエヴァ

コロナ禍緊急事態宣言中、ゴールデンウィーク中の昼間、NHK総合でアニメ『龍の歯医者』が放送さ

記事を読む

『ノマドランド』 求ム 深入りしない人間関係

アメリカ映画『ノマドランド』が、第93回アカデミー賞を受賞した。日本では3月からこの映画は公

記事を読む

『薔薇の名前』難解な語り口の理由

あまりテレビを観ない自分でも、Eテレの『100分de名著』は面白くて、毎回録画してチェックし

記事を読む

『新幹線大爆破(Netflix)』 企業がつくる虚構と現実

公開前から話題になっていたNetflixの『新幹線大爆破』。自

『ラストエンペラー オリジナル全長版」 渡る世間はカネ次第

『ラストエンペラー』の長尺版が配信されていた。この映画は坂本龍

『アドレセンス』 凶悪犯罪・ザ・ライド

Netflixの連続シリーズ『アドレセンス』の公開開始時、にわ

『HAPPYEND』 モヤモヤしながら生きていく

空音央監督の長編フィクション第1作『HAPPYEND』。空音央

『メダリスト』 障害と才能と

映像配信のサブスクで何度も勧めてくる萌えアニメの作品がある。自

→もっと見る

PAGE TOP ↑