*

『猿の惑星: 創世記』淘汰されるべきは人間

公開日: : 最終更新日:2019/06/15 ドラマ, 映画:サ行,

 

『猿の惑星:創世記』。
もうじき日本でも本作の続編にあたる
『猿の惑星:新世紀』が公開される。

果たして70年代に作られた『猿の惑星』シリーズの
続編にあたるのかリブート作にあたるのか、
公開当時は作品の位置づけがよくわからなかったが、
続編が作られると言う事は、
リブート作と解釈してよさそう。

久しぶりにメッセージ性の強い
SF娯楽映画で、とても面白かった。
SF作品はこういった社会風刺性がないと物足りない。

若い科学者が父親のアルツハイマーを
治そうとして新薬を猿に実験台にする。
この新薬発明には成功をみるが、
実験台にされた猿は、
人間よりも高い知能を身につけていくという
前シリーズからの説得力のある新解釈。

もうそれだけでSFとして面白い。

知性を身につけていく猿のシーザーの姿は
ダニエルキイスの『アルジャーノンに花束を』の
白痴の青年を彷彿とさせる。

猿のシーザーの知性ある表情の
CG演技にはうならされます。

そしてここで描かれているのは差別問題。

人間は新猿類(?)よりも無知にみえ、
彼らを低レベルに迫害します。
本当に人間が憎らしく見え、
猿たちが反乱を起こす様は爽快感さえある。

人間は他の生き物や地球に対して横暴すぎた。

ここ最近、未曾有の災害が
世界のあちこちで発生しているのは、
もしかしたら地球規模の意思が、
人間を粛正しようとしているのでは
と脅威すら感じてしまう。

人間は私利私欲のために何をしていたのか、
本気で見返らなければいけないのかもしれません。

地球や宇宙規模からすると、
人間はただのバクテリアにすぎず、
もっとも淘汰されるべき存在なのかも知れません。

今だからこそのテーマ性。
制作者のセンスを感じます。


関連記事

no image

『バトル・ロワイヤル』 戦争とエンターテイメント

深作欣二監督の実質的な遺作がこの『バトル・ロワイヤル』といっていいだろう。『バトル・ロワイヤル2』の

記事を読む

『千と千尋の神隠し』子どもが主役だけど、実は大人向け

言わずもがなスタジオジブリの代表作。 フランスのカンヌ映画祭や アメリカのアカデミー賞も

記事を読む

no image

『スター・トレック BEYOND』すっかりポップになったリブートシリーズ

オリジナルの『スター・トレック』映画版をやっていた頃、自分はまだ小学生。「なんだか単純そうな話なのに

記事を読む

『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』ディズニー帝国の逆襲

自分は『スター・ウォーズ』が大好きだ。小学1年のとき、アメリカで『スター・ウォーズ』という得

記事を読む

no image

『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』集え、 哀しい目をしたオヤジたち!!

  『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』はマーベル・ユニバースの最新作。『アベン

記事を読む

『ジョジョ・ラビット』 長いものに巻かれてばかりいると…

「この映画好き!」と、開口一番発してしまう映画『ジョジョ・ラビット』。作品の舞台は第二次大戦

記事を読む

no image

『間宮兄弟』とインテリア

  江國香織さん原作の小説を、故・森田芳光監督で映画化された『間宮兄弟』。オタクの中

記事を読む

no image

『ベルサイユのばら』ロックスターとしての自覚

「あ〜い〜、それは〜つよく〜」 自分が幼稚園に入るか入らないかの頃、宝塚歌劇団による『ベルサイユの

記事を読む

『愛の渦』ガマンしっぱなしの日本人に

乱交パーティの風俗店での一夜を描いた『愛の渦』。センセーショナルな内容が先走る。ガラは悪い。

記事を読む

no image

『湯殿山麓呪い村』即身仏、ホントになりたいの?

  先日テレビを観ていたら、湯殿山の即身仏の特集をしていた。即身仏というのは僧侶が死

記事を読む

『夜明けのすべて』 嫌な奴の理由

三宅唱監督の『夜明けのすべて』が、自分のSNSのTLでよく話題

『きみの色』 それぞれの神さま

山田尚子監督の新作アニメ映画『きみの色』。自分は山田尚子監督の

『ベルサイユのばら(1979年)』 歴史はくり返す?

『ベルサイユのばら』のアニメ版がリブートされるとのこと。どうし

『窓ぎわのトットちゃん』 他を思うとき自由になれる

黒柳徹子さんの自伝小説『窓ぎわのトットちゃん』がアニメ化される

『チャレンジャーズ』 重要なのは結果よりプロセス!

ゼンデイヤ主演のテニス映画『チャレンジャーズ』が面白いとネット

→もっと見る

PAGE TOP ↑