*

『グランド・ブダペスト・ホテル』大人のためのオシャレ映画

公開日: : 最終更新日:2019/06/15 映画:カ行

 

ウェス・アンダーソン監督作といえば
オシャレな大人の映画を作る人というイメージ。

本作もまったくもってオシャレな
作品となっていました。

本当に演出や美術、音楽と
どこをとってもステキで、
映画を観ているだけで気分が良くなってくる。

物語自体は決してハッピーなものでは
ないのだけれど、どこかさばけていて、
悲劇もあっけらかんと笑い飛ばしている。

劇場には女性客が圧倒的に多い。
このオシャレ感覚を感じ取っているのでしょう。

本作もハイテク撮影技術を駆使して、
観客におもしろおかしい映像体験をさせようと、
演出の工夫が随所にみられます。

普通、こういった凝ったことをすると、
役者さんの演技がぎこちなくなり、
かえってつまらなくなってしまうのですが、
ウェス作品ではそんな破綻はなく
自然な流れで、オシャレ空間が流れていく。

ではオシャレとはなんぞや?

高価なものを身にまとい、
目立つことをさすのでは決してない。

オシャレな人は、
自分の身の丈に合うものを、
値段ではない観点で選び、
精神的にもっとも心地いいところを
常に選んでいます。

ウッディ・アレンの映画でさんざっぱら
成金が価値も分からないものに
大金をつぎ込んでいる姿を笑っています。

まさにこれは日本をはじめとする
アジアの富裕層のお金の使い方。

オシャレどころか、ダサい。

本当にオシャレというのは、
自分が他者からみられていることを
意識し、覚悟を決めること。

自分が磨けてこそのオシャレなのです。

だからオシャレな人は感じがいいのです。

そういったオシャレエッセンスのこもった
本作のような映画に触れて、
洗練された精神を学んでいくのも
とても大切なことですね。

関連記事

『ゲゲゲの女房』本当に怖いマンガとは?

水木しげるさんの奥さんである武良布枝さんの自伝エッセイ『ゲゲゲの女房』。NHKの朝ドラでも有

記事を読む

『コジコジ』カワイイだけじゃダメですよ

漫画家のさくらももこさんが亡くなった。まだ53歳という若さだ。さくらももこさんの代表作といえ

記事を読む

no image

『カーズ/クロスロード』もしかしてこれもナショナリズム?

昨年2017年に公開されたピクサーアニメ『カーズ/クロスロード』。原題はシンプルに『Cars 3』。

記事を読む

『君の名前で僕を呼んで』 知性はやさしさにあらわれる

SF超大作『DUNE』の公開も間近なティモシー・シャラメの出世作『君の名前で僕を呼んで』。イ

記事を読む

『コンテイジョン』映画は世界を救えるか?

知らないうちに引退宣言をしていて、いつの間に再び監督業に復帰していたスティーブン・ソダーバー

記事を読む

『ゴーストバスターズ(2016)』 ヘムジーに学ぶ明るい生き方

アイヴァン・ライトマン監督作品『ゴーストバスターズ』は80年代を代表するブロックバスタームー

記事を読む

『聲の形』頭の悪いフリをして生きるということ

自分は萌えアニメが苦手。萌えアニメはソフトポルノだという偏見はなかなか拭えない。最近の日本の

記事を読む

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』映画監督がアイドルになるとき

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズの監督ジェームズ・ガンが、内定していたシリーズ

記事を読む

no image

ピースの1つじゃない『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』

  『アベンジャーズ2』にあたる『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』の公開を

記事を読む

『関心領域』 怪物たちの宴、見ない聞かない絶対言わない

昨年のアカデミー賞の外国語映画部門で、国際長編映画優秀賞を獲った映画『関心領域』。日本が舞台

記事を読む

『新幹線大爆破(Netflix)』 企業がつくる虚構と現実

公開前から話題になっていたNetflixの『新幹線大爆破』。自

『ラストエンペラー オリジナル全長版」 渡る世間はカネ次第

『ラストエンペラー』の長尺版が配信されていた。この映画は坂本龍

『アドレセンス』 凶悪犯罪・ザ・ライド

Netflixの連続シリーズ『アドレセンス』の公開開始時、にわ

『HAPPYEND』 モヤモヤしながら生きていく

空音央監督の長編フィクション第1作『HAPPYEND』。空音央

『メダリスト』 障害と才能と

映像配信のサブスクで何度も勧めてくる萌えアニメの作品がある。自

→もっと見る

PAGE TOP ↑