*

『境界のRINNE』やっぱり昔の漫画家はていねい

公開日: : 最終更新日:2019/06/14 アニメ,

 

ウチでは小さな子がいるので
Eテレがかかっていることが多い。
でも土日の夕方の、青年向けアニメになると
子どもたちは嫌がって、ニュースの方がマシと言う。
日本のアニメは怖いらしい。

この春の土曜日のそのアニメ枠で
境界のRINNE』というのが始まった。
高橋留美子さんの原作の新シリーズとのこと。
自分は『うる星やつら』や『めぞん一刻』で
育った世代なので、懐かしくなって
子どもたちと見入ってしまった。

正直子ども時代からの刷り込みもあるだろうけど、
やっぱり『るーみっくわーるど』は面白かった。
絵も今風にアレンジはされてはいるものの、
テイストはあの頃と同じ、
暗い世界観を明るくコメディタッチで描いている。

霊が見える少女と、死神のハーフの少年が、
学校の怪談のような、成仏できない霊を
二人で協力して除霊していくという内容。

物事のトラブルの原因は
目に見えないものの存在のせい。
それを納得させて、事件を解決させる。

基本的には『妖怪ウォッチ』も同じ。
でも『妖怪ウォッチ』はつまらない。
『妖怪ウォッチ』は楽屋落ちのような
ナアナアな甘さが感じられるから。
せいぜい考えてるのは金儲け。
きちんと伝説や古典、宗教などを
調べて作っているように感じない。

世の中には古くから伝えられている
確固たる強い物語が受け継がれている。
古いものを尊重する心で描かれている作品は
子どもの心にも何かしら
制作者の敬意の念が伝わるはず。

この『境界のRINNE』は、
そういった古い伝承への敬意が感じられる。
死霊という暗いテーマにもきちんと向き合っている。
それをコメディとして描いているのだから、
なおイイ!

だって主人公の少年の名前が『六道りんね』だもん。
そのまんまじゃん!!

やはり自分が子どもの頃に観ていた
漫画家の表現は、
子どもたちにマンガを通して
視野を拡げ欲しいという願いを感じる。

マンガやアニメが好きなだけで、
それ以外のものになにも興味がない人間が
表現者となってしまう今とは
ぜんぜん違うのだろう。

関連記事

『護られなかった者たちへ』 明日は我が身の虚構と現実

子どもの学校の先生が映画好きとのこと。余談で最近観た、良かった映画の話をしていたらしい。その

記事を読む

『パブリック 図書館の奇跡』 それは「騒ぎを起こしている」のではなく、「声をあげている」ということ

自分は読書が好き。かつて本を読むときは、書店へ行って、平積みされている新刊や話題作の中から、

記事を読む

『ワンダー 君は太陽』親になってわかること

自分はお涙頂戴の映画は苦手だ。この『ワンダー』は、予告編からして涙を誘いそうな予感がする。原

記事を読む

『プライドと偏見』 あのとき君は若かった

これまでに何度も映像化されているジェーン・オースティンの小説の映画化『プライドと偏見』。以前

記事を読む

『鬼滅の刃 無限城編 第一章 猗窩座再来』 映画鑑賞という祭り

アニメ版の『鬼滅の刃』がやっと最終段階に入ってきた。コロナ禍のステイホーム時期に、どうやって

記事を読む

『スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム』 ヴィランになる事情

日本国内の映画ヒット作は、この10年ずっと国内制作の邦画ばかりがチャートに登っていた。世界の

記事を読む

『モアナと伝説の海』 ディズニーは民族も性別も超えて

ここ数年のディズニーアニメはノリに乗っている。公開する新作がどれも傑作で、興行的にも世界中で

記事を読む

『スタンド・バイ・ミー』 現実逃避できない恐怖映画

日本テレビの『金曜ロードショー』のリクエスト放映が楽しい。選ばれる作品は80〜90年代の大ヒ

記事を読む

『怒り』 自己責任で世界がよどむ

正直自分は、最近の日本のメジャー映画を侮っていた。その日本の大手映画会社・東宝が製作した映画

記事を読む

no image

『平成狸合戦ぽんぽこ』さよなら人類

  日テレ好例『金曜ロードSHOW』枠でのスタジオジブリ特集で『平成狸合戦ぽんぽこ』

記事を読む

『たかが世界の終わり』 さらに新しい恐るべき子ども

グザヴィエ・ドラン監督の名前は、よくクリエーターの中で名前が出

『動くな、死ね、甦れ!』 過去の自分と旅をする

ずっと知り合いから勧められていたロシア映画『動くな、死ね、甦れ

『チェンソーマン レゼ編』 いつしかマトモに惹かされて

〈本ブログはネタバレを含みます〉 アニメ版の『チ

『アバウト・タイム 愛おしい時間について』 普通に生きるという特殊能力

リチャード・カーティス監督の『アバウト・タイム』は、ときどき話

『ヒックとドラゴン(2025年)』 自分の居場所をつくる方法

アメリカのアニメスタジオ・ドリームワークス制作の『ヒックとドラ

→もっと見る

PAGE TOP ↑