逆境も笑い飛ばせ! 日本人のユーモアセンスは!?『団地ともお』
『団地ともお』は小学生。
母親と中学生になる姉と
三人で団地暮らし。
父親は単身赴任で別居中。
父親不在のこの家庭、
ときどきお父さんが帰ってくる
エピソードがある。
そのときのお父さん、
なんと顔が殆ど描かれていないのです。
顔半分陰が入っていたり、
顔が画面から見切れてて、表情が無い。
お父さん、とってもいい人で家族思い。
ともおもお父さんが大好き。
お父さんがたまに帰れば、
ずっとちょっかい出してる。
お父さんは家でも仕事してる。
家族のためと思って。
お世辞にも高収入とは言いがたい。
身を粉にして働いてる。
職かえればいいのに……。
このお父さん、
一言でいってしまえば「社畜」そのもの。
良い人故に負のスパイラルにハマってる。
そのお父さんを、顔の無い表現で表してる。
シニカルな笑いのセンス。
お父さんの登場シーンは
ずっとゲラゲラ笑っていました。
日本人は喜劇が苦手。
そもそもまじめすぎて
ユーモアセンスがあまりない。
あんまり笑いを求めていると
不真面目だ、ふざけていると怒られてしまう。
エンターテイメントも低くみられがち。
無用の長物と。
しかしながら人間らしい生き方として、
どんな逆境に立たされても、
明るく前向きにとらえる
ユーモアセンスは大事。
これといったときに
ウィットにとんだ発想でかわして行くのは、
とても知的でセンスがいい。
笑いが不真面目ならばと、
どうしても泣きの方へ向かう。
本当に高尚なエンターテイメントは、
泣ける事が売りにはならないはず。
山田洋次監督曰く、
「観客を泣かせるのは簡単。
観客を如何に笑わせるかが、とても難しい」。
どんな逆境にも笑える要素をみつけていく。
これはポジティブに生きるヒントであり、
豊かな人生を送る秘訣でもある。
人間らしく生きるのには、
笑いをみつけるセンスは磨くべき。
エンターテイメントは低俗ではない。
人が人らしく生きるために、
とても役立つものなのです。
関連記事
-
-
映画化までの長い道のり『のぼうの城』
鳥取市のマスコットキャラクター 『かつ江(渇え)さん』が批判を受けて非公開にな
-
-
『Ryuichi Sakamoto | Opus』 グリーフケア終章と芸術表現新章
坂本龍一さんが亡くなって、1年が過ぎた。自分は小学生の頃、YMOの散会ライブを、NHKの中継
-
-
『日本沈没(1973年)』 そして第2部が始まる
ゴールデンウィークの真っ只中、twitterのトレンドワードに『日本沈没』があがった。NHK
-
-
『下妻物語』 若者向け日本映画の分岐点
台風18号は茨城を始め多くの地に甚大なる被害を与えました。被害に遭われた方々には心よりお見舞
-
-
『龍の歯医者』 坂の上のエヴァ
コロナ禍緊急事態宣言中、ゴールデンウィーク中の昼間、NHK総合でアニメ『龍の歯医者』が放送さ
-
-
『るろうに剣心』マンガ原作というより、大河ドラマの続編
自分は実は『るろうに剣心』の マンガもアニメも未見。 でもこの映画を観たいと
-
-
『エターナルズ』 モヤモヤする啓蒙超大作娯楽映画
『アベンジャーズ エンドゲーム』で、一度物語に区切りをつけたディズニー・マーベルの連作シリー
-
-
『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』 マイノリティとエンターテイメント
小学生の息子は『ハリー・ポッター』が好き。これも親からの英才教育の賜物(?)なので、もちろん
-
-
『WOOD JOB!』そして人生は続いていく
矢口史靖監督といえば、『ウォーターボーイズ』のような部活ものの作品や、『ハッピー
-
-
『野火』人が人でなくなるところ
塚本晋也監督の『野火』。自分の周りではとても評判が良く、自分も観たいと思いながらなかなか観れずにいた