『となりのトトロ』 ホントは奇跡の企画
公開日:
:
最終更新日:2021/08/22
アニメ
先日『となりのトトロ』がまたテレビで放映してました。
ウチの子ども達も一瞬にして夢中になりました。
今でこそ、このトトロも、
キャラクターが独り立ちするくらいの
メジャー作品ですが、制作当時、
よくこんな地味な企画が
通ったものだと感心してしまいます。
この作品が発表された1988年は
『AKIRA』や『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』など、
いまだに観続けられている作品が多発した年です。
しかし当時、日本産のアニメと言えば、
海外か架空の世界が舞台の作品ばかり。
日本が舞台だったり、ましてや昭和30年代など、
制作側がぜったい見向きもしないテーマでした。
ましてや当時は、アニメブームも終わり、
日本人が日本の映画をまったく観ない時代でした。
「日本映画はつまらない」と言われた時代です。
今でこそ老若男女が認める本作。
子どもは楽しく、大人は懐かしく切ない。
アニメ業界だけでなく、
日本映画を代表する作品となりました。
宮崎駿監督の企画は泥臭く見えたでしょう。
実はこういった足下を描いていくスタンスは、
先見性があったということを
理解できる人は少なかったはずです。
制作者側の「これはつくらなくてはいけない作品だ」と、
思い込みであっても自分の作品を信じて突き進む。
それが徐々に周囲の人を動かしていく。
この作品、観客動員の興行収入ではコケています。
しかしテレビ放送で人気を得て、
現在の地位までのし上がっています。
良作はいずれは人に受け入れられるのです。
ただ、認められるには人の目に触れる場所は
作っていかなければなりません。
自分の作品を信じて突き進む、
そんな制作者側の情熱が、
いまは少なくなってしまったのかも知れません。
そして、やはり今でも名作と言われる作品は、
正しい情熱が正しい方向で注がれていると感じます。
関連記事
-
-
『イノセンス』 女子が怒りだす草食系男子映画
押井守監督のアニメーション映画。 今も尚シリーズが続く『攻殻機動隊』の 続編にも関わらず
-
-
『斉木楠雄のΨ難』生きづらさと早口と
ネット広告でやたらと『斉木楠雄のΨ難』というアニメを推してくる。Netflix独占で新シーズ
-
-
戦争は嫌い。でも戦争ごっこは好き!! 『THE NEXT GENERATION パトレイバー』
1980年代にマンガを始めOVA、 テレビシリーズ、劇場版と メディアミック
-
-
『機動戦士ガンダム 水星の魔女』 カワイイガンダムの積年の呪い
アニメ『機動戦士ガンダム 水星の魔女』が面白い。初期の『機動戦士ガンダム』は、自分は超どスト
-
-
『リメンバー・ミー』 生と死よりも大事なこと
春休み、ピクサーの最新作『リメンバー・ミー』が日本で劇場公開された。本国アメリカ公開から半年
-
-
『機動戦士ガンダムUC』 小説から始まり遂に完結!!
2010年スタートで完結まで4年かかった。 福井晴敏氏の原作小説は、遡る事2007年から。
-
-
『精霊の守り人』メディアが混ざり合う未来
『NHK放送90年 大河ファンタジー』と冠がついたドラマ『精霊の守り人』。原作は
-
-
『ミニオンズ』 子ども向けでもオシャレじゃなくちゃ
もうすぐ4歳になろうとしているウチの息子は、どうやら笑いの神様が宿っているようだ。いつも常に
-
-
『バケモノの子』 意味は自分でみつけろ!
細田守監督のアニメ映画『バケモノの子』。意外だったのは上映館と上映回数の多さ。スタジオジブリ
-
-
『私ときどきレッサーパンダ』 世間体という呪い
コロナ禍の影響でこの2年間、映画館への足がすっかり遠のいてしまった。上映作品も軒並み公開延期