*

『とと姉ちゃん』心豊かな暮らしを

公開日: : 最終更新日:2019/06/12 ドラマ,

NHK朝の連続テレビ小説『とと姉ちゃん』が面白い。なんでも視聴率も記録更新しているらしい。たしかにここのところの展開はエキサイティングだ。

ドラマのモデルになっているのは、雑誌『暮らしの手帖』の創始者・大橋鎭子さん。この雑誌は、自分も幼少の頃祖母が愛読していた。当時、幼心に「なんだか昔っぽい雑誌だな〜」と思っていた。いまとなっては、時代が一周りして新しいデザインにみえる。

ホワイトスペースを贅沢にあしらった紙面レイアウトは、雑誌のコンセプトである「心豊かな生活」をそのまま表している。昔も今もまったくブレていない。しかしそれは頑固とは違う。人の本質は永遠に変わらないということ。むしろブレてコロコロ変わっているのは時代の流行の方だ。

ドラマの主人公・とと姉ちゃんは、どんなに悪環境に置かれても、前向きに乗り越えていき、周囲の人たちを味方にしてしまう。

とと姉ちゃんが最初に就職した先は、今で言うブラック企業。男女雇用均等法もない戦前、女性が働くだけで生意気とか言われてしまう。とても原始的な感じもするが、実情のブラック具合は現代とそれほど変わらない。

戦争を迎え、戦後の物資のない世の中。生きていくのもやっとの頃。そのまっただ中で、豊かな生活をイメージしていくのは至難の技。そんなの夢物語だと諦めてしまえばそれきりだが、その夢を大切にしていけば、それはいつか実現していく。目指しているのは、人間らしい生き方。

『暮らしの手帖』が示している生活は、お金をかけた豊かさではない。いかに心が豊かに生きてゆけるかの提示。とてもクリエイティブだ。

バブル時代は、金をいかにかけるかが豊かかと思われていた。とても下品な考えだ。いまでもお金さえかければいいと考えている人も多いのも事実。

オシャレと話題のカフェへ出向いてみたら、混んでて落ちつかず、ただただ高いお茶代を払っただけなんてよくある。むしろ近所の公園のベンチで、水筒に入れてきたお茶を飲んだ方が幸せを感じたりもする。

この不景気な現代、経済ばかりを追いかけるのはとてもダサい。これは人を蹴落としてでも自分だけは金持ちになりたいという利己的な思想。これからのオシャレさんは、いかにお金をかけずに、自分らしく心豊かに生きられるかにかかっている。そうなると物資がない戦後間もなくと現代は近い状況。

ドラマでも描かれていたが、オシャレと話題になると、それを模倣したニセモノが必ず登場してくる。技術的にマネをするのはいくらでもできる。いまさら手垢のついた内容を、いままでと同じ視点でコラージュして記事にしている雑誌なんて数多にある。

ホンモノは、もう次のステップに進んでいるはずだ。仮に同じ素材をあつかっていたとしても、切り口が新たになっている。もちろんそれで読者がついてゆけず失敗してしまうこともあるけれど。

情報を発信する者は、常にどんな人に届けたいか相手の姿をイメージしていなければならない。それは価値観の押し付けではなく、私の好きなものはあなたも好きかしら?と投げかける気持ち。発信者は会ったこともない誰かへ、常にラブレターを送っている。

その真摯な声に気づける自分でもありたいものだ。ニセモノに騙されたらつまらないからね。

 

関連記事

『結婚できない男』 日本産良質コメディ!!

『結婚できない男』は2006年のドラマ。 もうずいぶん前の作品になります。 当時、自分も

記事を読む

『パブリック 図書館の奇跡』 それは「騒ぎを起こしている」のではなく、「声をあげている」ということ

自分は読書が好き。かつて本を読むときは、書店へ行って、平積みされている新刊や話題作の中から、

記事を読む

『裏切りのサーカス』 いちゃいちゃホモソーシャルの言い訳

映画『裏切りのサーカス』が面白いという勧めを知人から受けて、ずっと気になっていた。やっと観る

記事を読む

『チェンソーマン』 サブカル永劫回帰で見えたもの

マンガ『チェンソーマン』は、映画好きにはグッとくる内容だとは以前から聞いていた。絵柄からして

記事を読む

no image

キワドいコント番組『リトル・ブリテン』

  『リトル・ブリテン』という イギリスのコメディ番組をご存知でしょうか?

記事を読む

no image

『ツレがうつになりまして。』鬱を身近に認知させた作品

  鬱病を特別な人がなる病気ではなく、 誰をもいつなりうるか分からな事を 世間に

記事を読む

『ベルサイユのばら(1979年)』 歴史はくり返す?

『ベルサイユのばら』のアニメ版がリブートされるとのこと。どうしていまさらこんな古い作品をリメ

記事を読む

『ヒックとドラゴン』真の勇気とは?

ウチの2歳の息子も『ひっくとどらぽん』と 怖がりながらも大好きな 米ドリームワークス映画

記事を読む

no image

『あさが来た』 はるがきた⁉︎

NHK『連続テレビ小説』の『あさが来た』に遅ればせながらハマってしまった。 放送当初より自分の

記事を読む

『IT(2017年)』 それが見えても終わらないために

スティーヴン・キングの有名小説で映像化は2回目になる『IT』。邦題には『“それ”が見えたら、

記事を読む

『ブラッシュアップライフ』 人生やり直すのめんどくさい

2025年1月から始まったバカリズムさん脚本のドラマ『ホットス

『枯れ葉』 無表情で生きていく

アキ・カウリスマキ監督の『枯れ葉』。この映画は日本公開されてだ

『エイリアン ロムルス』 続編というお祭り

自分はSFが大好き。『エイリアン』シリーズは、小学生のころから

『憐れみの3章』 考察しない勇気

お正月休みでまとまった時間ができたので、長尺の映画でも観てみよ

『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』 あらかじめ出会わない人たち

毎年年末になるとSNSでは、今年のマイ・ベスト10映画を多くの

→もっと見る

PAGE TOP ↑